冬の鷹 / 吉村昭 著

 中津藩(現大分県中津市)の藩医であった前野良沢(りょうたく)は、鎖国政策において唯一外交があったオランダ語を習得するため、藩命により長崎へ。そこで偶然に手にした腑分け書「ターヘル・アナトミア」。杉田玄白らと翻訳に取り組むが、辞書や文法書がない時世で困難を極め、苦心の末に「解体新書」が完成する。
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 しかし、不十分な翻訳に不満を抱く良沢は訳者としての記載を固辞。以後、医師や師範として脚光を浴びる玄白と、ただひたすら蘭語の翻訳に尽力する良沢の人生は大きく分かれていく。良沢1人でも、玄白1人でも成しえなかった偉業が、どのように成し遂げられたのかが詳細に記され、実に興味深かった。

 吉村昭氏の著作は、「高熱隧道」「三陸海岸大津波」を読んだことがあるが、「彼ほど史実にこだわる作家は今後現れないだろう」と言われるほど徹底した取材等に基づいて著述されるノンフィクション作家。

 歴史系の小説は苦手で全くと言ってよいほど読んだことがないが、本書は時間は要したものの、躍動感溢れるストーリー展開につい惹き込まれて、時間が経つのを忘れてしまった。
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by kanechins | 2018-03-04 20:10 | 「映画」の独り言 | Comments(0)

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