穂高合宿day2(前穂高岳・北尾根~奥穂高岳)
2017年 07月 16日
午前2:30起床。テントから顔を出すと、漆黒の夜空に星が散りばめられている。機内モードを解除し天気図を確認すると、太平洋高気圧の縁にある前線が昼頃に南下するようだ。それまでには、稜線には出られるであろうと判断。
各々で朝食を摂り、アイゼン、ピッケル、ヘッドランプを装着して、涸沢を午前3:55に出発。(撮影:しげ)
例年よりも雪が多いと聞いていたが、7月に入ってからの高温と多雨により、かなり融雪が進んでいた。
北穂方面の雪も、思っていたよりも少ない。
途中でアイゼンを外し、礫地帯を登る。
5:25に5・6のコルへ。テントは2張程度張ることができる。ブヨだらけで、48のミントスプレーを拝借。5:35、出発。
まずは、5峰の登り。下部はリッジ状を辿る。(撮影:しげ)
主に奥又白側に巻きながら、踏み跡を辿る。
こんにちは、槍ヶ岳。
5峰への登りは難しくはないが、滑落が許されない部分が多々ある。
5峰に立つと、そそり立つ4峰が現れる。ぱっと見は、かなり険しい。
先行パーティは既に4峰を登り終えている様子。6:25、4・5のコル。北部の峰々がガスに飲み込まれ、槍ヶ岳周辺の峰々にもレンズ雲がかかり始める。天気が荒れるのは時間の問題だ。休まずに、先を急ぐ。
4峰は涸沢側から入り、ぼろぼろのルンゼを詰めるところから始まり神経を使う。(撮影:しげ)
右に左に偵察を繰り返しながら、高度を上げる。ロープが欲しくなるような場所に出たら間違いで、少し戻って反対側を見ると、ちゃんと弱点がある。ルートファインディングが楽しめるパートである。
奥穂高岳。雲が厚みを増してきた。
要所要所に、下降用の支点がある。
できるだけ、岩が硬い部分を選ぶ。(撮影:しげ)
途中から涸沢側を登るようになる。行き詰ったところで、奥又白側へトラバース。
何年か前に、sonoと登った前穂高岳・奥壁が見えてきた。こんなところを登っていたのか!?
4峰の頂きまで上がると、いよいよ核心の3峰が見えてきた。取り付き、中間部そして上部に人がいるのがわかる。3・4のコルへは、つい踏み跡がある奥又白側に入りがちであるが、山頂まで詰めるのが正解。
取り付き周辺の様子。
先行パーティは30m位でピッチを切っていた。こっちは、50m一杯までロープを伸ばして確保体制に。1P目はⅢ級程度?
山頂直下の抜け口は、ややかぶっていてパワフル。(撮影:のり)
3峰の山頂直下で、とうとうガスに追いつかれてしまう。
程なくして、3峰の山頂。写真は、懸垂下降地点。
2峰、そして本峰への登りは歩き。コンティニュアスでロープを引くも、傾斜がなく、湿って重みが増したロープはずしりと重いが、足取りは軽い。
そして、10:10に前穂高岳(3,090m)山頂!
荷をまとめ、軽く食事を摂る。天気は徐々に悪化しているので、先を急いで10:30に出発。岳沢から上がってくるガスはどんどんと濃くなり、暗くなってきた。どこも歩けそうな道だけに、マーキングに救われる。
11:00、紀美子平。さすがに、この予報で奥穂方面に進む人はいないようだ。
途中から雨が本格的に降り出し、強風と3,000mという標高に体温が奪われる。ゆっくり、しかし確実に歩みを進め、12:50に日本第3位の高峰、奥穂高岳(3,190m)山頂。なんか、晴れた奥穂に来たことがない、苦笑。
風は益々強さを増し、すぐに出発。強い西風に耐えながら高度を下げ、後半の鎖場、ハシゴ場を慎重に下る。
そして、13:35に穂高岳山荘着。油断はできないが、ほぼほぼ安全地帯に降りてきた感じでほっとする。
残ったパンを頬張りながら、小屋で暖かいコーヒーを頂く。おー!冷えた身体に染み渡るコーヒーの香り!こんなにおいしいコーヒーは久しぶりである、ご馳走さまでした!14:10、出発。
ザイテングラードは雪はほぼ無し。濡れた岩尾根を慎重に下る。
ザイテングラードの末端。
ここから北へ大きくトラバースし、涸沢小屋方面に下るトレースを辿る。
そして、16:15に涸沢小屋着。お疲れ様でした!
一旦テントに戻って荷をまとめ、涸沢ヒュッテへ。この天気なので、連休中日なのにテラスはガラガラ。ビールで乾杯し、ラーメンを頂く。体が塩分を欲しているのがわかり、これまた美味しい!
そうこうしているうちに、また雨が本格的に降り始めた。屋根の下で雨が遠のくのを待つが、前線の真下にいるのか止む気配がない。まぁでも、涼しい涸沢でのんびり過ごせるのは贅沢なことである。
雨が弱まった隙にテントに戻ると、やはり今日も暗くなる前に寝息を立て始めたようだ。(つづく)