裏剱ツアー3 (阿曽原~下ノ廊下~黒部ダム)

 2013年10月14日(月)
 04:30に起床の予定であったが、周りのテントは3時過ぎからごそごそし始める。「早く起きるに越したことはないだろう」と、4時前に起床。朝食を摂り、朝露でビッショリに濡れたテントを撤収にかかる。

 テン場や小屋に泊まった人達の大半は昨日、下ノ廊下を下ってきた様子で、欅平へ向かうハイカーがほとんどであった。こんなに早く出る必要があるのかわからないが、連休最終日だし早目に帰るのはきっと正解だろう。
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 ヘッドランプを点けたまま、05:25にテン場を出る。いきなり急な登り。登り切った辺りで、ヘッドランプが無くても歩ける明るさになってきた。改めて見ると、崩落の規模の大きさに慄く。こんなの喰らったら、一溜りも無いな。
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 仙人ダムを06:20に通過、順調だ。高熱隧道は、今朝は少し涼しかった。時間帯で温度が変わるのか?長丁場になることがわかっていたので、休まずにそのまま歩き始める。すぐにスノーシェドがあり、長いトンネルを抜けると吊り橋へ。足を運ぶ場所がなかなか狭くて、高い所が苦手なワタシはかなりビビリが入った。
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 無事に橋を渡ると、今度は急な登りが待ち受けていた。九十九折(つづらおり)の道を登ると、黒部峡谷の右岸壁に、まるで巨大なコンセントのような設備が見える。黒部ダムの地下発電所から来る送電線の接続口らしい。よくよく見ると、小鳥の顔みたいでかわいらしい。
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 道はすぐに細く、険しくなる。岩に打たれたボルトには頼りない細い針金がどこまでも伸びているが、これでも無いよりはマシだ。写真で見るとそれほどでも無いようではあるが。。。
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 振り返るとこんな感じで、かなり高度感がある。
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 奥に水平に伸びる道が望めるが、この高さ。 時折転落事故があると聞くが、それも納得。これは万が一でも墜ちることは許されない。ここを資材を担いで歩いただなんて。
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 人気ルートだけあって、道は良く整備されている。
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 名前のとおり、本当に水平だ。当時、水準を取って掘ったのかな?
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 険しい渓谷にはなかなか太陽の光が届かない。緊張感もって歩いていると、不意に吊り橋が現れた。ここが、地図を見ていて永年ずーっと気になっていた十字峡(08:20)だ。
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 橋を渡ったところに荷物を置いて、「展望台」という看板に従い下って行く。わ、なかなか圧巻だ。パノラマ撮影だと周囲が歪んでしまって「十字」っぽくないが、上から見れば黒部川に左からは剱沢が、右からは西沢が流れ込む「十字」を呈している。
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休憩を兼ねて、しばらく流れ行く水を眺める。黒部川の上流を望む。
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 剱沢。この上部には、日本最悪と言われる険谷「剱大滝」があるらしい。
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 ここはまだ、全行程の3分の1程度だ。08:35、先を急いで出発。ここからしばらく、水面からも高さがさほどない穏やかな道となり、ぐんぐんと距離を稼ぐことができる。
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 振り返ったところ。急ではあるが、穏やかな山容とも言える。
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 「そろそろ平坦な道にも飽きてきたなぁ」という所で峡谷は再び険しい様相になってきた。地図にある白竜峡の入口である。
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道は再び狭く険しくなり、緊張感が増してくる。この頃から、黒部ダム側から降りて来るハイカーとのすれ違いが出てくるので、道を譲り合うようになる。しかし、まぁよくこんな歩道を掘ったものである。
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 この辺りの風景は、ワタシの予想をはるかに上回るスケールで、その自然美にすっかり呑み込まれてしまった。歩いていて墜ちる気はしなかったが、すれ違い時や写真を撮るときに、少し危険を感じた。ハーネスを着けてセルフビレーを取っている人を見かけたが、特にカメラマンには有効だと思った。
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標高が上がるに連れて紅葉も彩りを与えてくれる壮大な峡谷美に見とれながら歩くうちに、核心部を通過。ここを回り込むと、黒部別山谷の出合だ。
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 10:10、黒部別山谷。人どころか、獣すら引き寄せぬ山容だ。
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 出合に下りるところが少し険しく、登りと下りで渋滞するポイントとなっていた。
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 ここを越えると、再び道は穏やかになる。ここからが長い道のりであった。一部、崩落した場所を巻くために、立派なハシゴ道が作られていた。工事された方、すごいわ。
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 振り返ると、こんな感じ。
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 所々に、大きなスノーブリッジが残っていた。すんごく細い柱なので、崩れるのも時間の問題。
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 大タテガビンが見えてからが遠いこと。
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 内蔵助谷出合前が、特に崩落がひどい。先般の地震による傷跡の大きさに驚きながら、献花が残された場所で、この事故で不幸にも亡くなられた方に手を合わせる。

細かなアップダウンが続く道を越えると、11:50に内蔵助谷出合へ。ふたたび丸山東壁を眺めることができてよかった。黒部ダムからの紅葉ツアーなのか、広場には名札を付けたハイカーで賑わっていた。
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さすがに足に疲れを感じたので、丸山が良く眺められる場所を確保して大休止。内蔵助のおいしい水で喉を潤し、ゆっくりランチとしゃれ込む。空は青空、本当に気持ち良くて帰るのが嫌になる。ここまで来れば、後は慣れた道。40分の大休止を取る。きもちいー!

そうは言っても、帰らねばなるまい。紅葉シーズンを迎えてトロリーバスも混雑が予想される。12:30に再出発。
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 程無くして、13:00に黒部ダム下部に到着。行きは有難迷惑だったミストシャワーが、今日は心地よい涼を与えてくれた。
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 渡渉すると、最後の大登りだ。3日間の歩行距離はなかなかで、さすがに体が重い。それでもなんとか、ダムの入口まで這い上がった。さようなら、丸山。またいつの日か。
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トンネルをくぐり、13:30に駅に到着。一旦、改札口へ向かう。かなりの行列となっていた。ならんでいるとすぐに改札が始まり、待ち時間なくトロリーバスに乗車することができた。

 無事に扇沢に帰着。
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 車に戻ると、初日からずっと同じ道を辿ってきた金沢のご夫婦も近くに車を駐めており、会釈を交わす。お互いに、ほんとお疲れ様でした^^。

下ノ廊下は、山を始めてからずーっと気になっていた場所。通行できる期間が限られ、また行程もなかなか長いので、テント泊で行こうと思うと機会がなかなか無かった。

初日の天気は過酷ではあったけれど、こうして天候に恵まれる中で仙人池、そして下ノ廊下を歩くことができて、本当に良かった。想像以上に素晴らしい劔岳、下ノ廊下の自然美にココロから拍手を送りたい。

打ち上げは、恒例になりつつある焼き肉。ともあれ、無事に帰ってきたことに感謝。
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 本日の概念図。
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 GPS電波が狭い渓谷ではエコーしてしまうのか誤作動が多く、正確な踏路が記録されなかった。本日の行程は、歩行沿面距離は18km、登り累積1,200m、下り累積460m(全て推測)となった。
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Commented by ゆきんこ at 2013-10-28 13:00 x
もう・・・読むほどに想いが溢れ、心が揺さぶられ・・・
でも私などがどんなに言葉を尽くしても足りない!剱!!

北陸に居た頃には
ガツガツビンボー症で、早月尾根から入山を・・・とか
どうせなら本峰踏んで・・・とか
池ノ平いくなら北方稜線も!!!とかとか・・・
そうやって壮大すぎる計画を描いているうちに、裏剱、立ち入ることなく山から離れてしまっている今です。。

一体いつになったら、私いなくても健やかにネンネできるようになってくれるんだろう・・・と、甘えん坊の息子の寝顔を見ながら考える昼下がり。

でも、ほんとココだけは!
どうしても、行かねばならない所だから!!
こっちからなら、扇沢から、何なら小屋フル活用したっていい、手段云々よりまずそこに行かねばだから!!
目下の、そしてマストの、具体的な目標を突きつけられて、良かった。いつもありがとう!

何だか訳分からんけど動揺してるけど・・・私も頑張るよ!
Commented by ゆきんこ at 2013-10-28 13:06 x
剱のバリエーションルートは、どれもこれも本当に素晴らしいですよ!
とひとことで言っても、それこそ無数にありますが!!
長野からならそう遠くもないし・・・これから楽しみだね~♪

ちなみに、ウチのダンナ殿は、私と一緒に行った本峰南壁のルートからが、初登頂でした。
終了点がほぼ山頂のおいしさ!

かねちんはいかに!?
Commented by kanechins at 2013-10-30 23:56
★ゆきんこさん
 熱いコメント、ありがとう!そうよね、金沢からならいくらでも計画立てられるよねぇ~!扇沢からだとお金が結構かかることもあって、また「生剱」を近くで見たこともなかったのであんまりモチが上がらなかったけれど、間近で見て一気にヒートアップしました。来年は、どこかしら登ってみたいと思います!
そっか、ご主人とは南壁から!終了点が山頂間近というのは、ほんと美味しい!リストのトップに挙げておきます!
今はぜひ、お子さんとの時間を大切にしてください!いずれ、好機は訪れると思います。慌てず、しかしじっくりと思い続けていれば、いつか必ず!!
ほんと、一度名古屋に遊びに行かせてください!どうぞ、今後ともよろしくお願いします!
by kanechins | 2013-10-14 23:10 | 「山」の独り言 | Comments(3)

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