雪崩講習会(2日目)。

 2012年1月22日(日)
 午前5時00分起床。外はまだ真っ暗で、軽く雪が舞っている。昨晩の雨で、道路の雪がかなり溶けた。1月の大町にしては暖かいな~><。朝食を頂き、掃除をして出発。

 今日は実際に山の中で、班に分かれての講習。鹿島槍のリフトを1本乗り、一旦林道へ。
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 林道では、まず搬出のパッキングから。
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 傾斜がある場所の登下降を想定し、下降時は立木を使ってムンターヒッチ(半マスト)で確保、登高時は1/3引き上げシステムで確保する。ATCガイドを使用しての1/3を教えてもらう、なるほど。
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 引き上げるときは雪面との抵抗を減らすために、軽く持ち上げると良い。
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 さらにリフトを1本乗り、ゲレンデトップから黒沢尾根に入る。簡易的に弱層を見るハンドテスト。
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 雪柱を持ち上げて、軽く下から叩くだけで10数cmの所からスパッと切れた。
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 崩壊した部分をひっくり返して見てみると、内部の弱層部分に霜ができているのがわかる。
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 もう一度、大町のグラフを見てみよう。
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 場所、標高が違うので一概には言えないが、19日の高温と直射日光で表面に霜が発達し、20日の気温降下とともに降雪したものが上載積雪となっている予想と一致する。

 続いて、雪崩捜索訓練を2つの設定で。
 まず、3人パーティ全員が雪崩に巻き込まれるが、うち2人は途中で脱出。1人が埋没したという、実際にありそうな設定から。皆、講師レベルの人たちなので、2人ずつペアで実演し、良いところ、悪いところをそれぞれ協議する。
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 ほぼ共通しての反省点は、最初の状況判断と掘り方かな。深さ1~2mの埋没者を掘り出そうとすると相当手前から掘らないといけないのに、ついついクロスサーチで電波の強いところをめがけて掘ってしまう^^;。

 続いて、8人パーティのうち、ビーコンを装着した2人と、ビーコンがない1人を捜索する場合。
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 複数埋没捜索であったが、慣れたみなさんだったので7分程度で2名のピンポイント捕捉。しかし、やっぱりワタシも含めて掘り方が甘いかな~。折角人数がいるのだから、システマティックに掘っていかないと非効率。掘る練習の必要性を感じた。
 
 ゾンデ捜索。こうなったら、基本的にはアウトだけれど、諦めないこと。ゾンデ捜索は、一旦捜索した部分で見逃すとなかなか再び入ることはないので、丁寧な捜索が求められる。
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 続いて、ピットを掘っての断面の観察。ホントは直射日光が当たらない場所で行うこと。雪温の調査、指の触診による断面構造の把握、結晶の観察、コンプレッションテストなど。プローブで積雪量を測ると110cm程度。去年は170cmあったので、やっぱり雪が少ないなー。
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 力の入れ具合などは、とても文章では表現できない。何度もやって感触をつかむしかないかなー。
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 雪面内部の温度を10cmごとに計測。雪は断熱効果が高いため、積雪当時の気温がメモリーされるとか。うーん、なんか感慨深い。雪の中に温度差が生じると、昇華と凝結により弱層が生まれることがある。

 雪崩捜索の手法は各論あるようだが、自分なりに理解した「全体の流れ」を備忘のために記す。「こうしたら良い」などご意見があったら、ぜひコメントをいただきたい。

(1)統率できる人が各メンバーの役割を指示。2次雪崩の監視役を決め、発生時に逃げる方向を確認する。2人の場合は実質、見張りを置くのは不可能なので、作業しながらも上部に気を配る。

(2)周囲の安全をよく確認し、静かにかつスピーディーに現場へ。

(3)発生地点に到達したら、2次雪崩が来た場合の退避方向を確認。ゾンデ、スコップを取り出し、ビーコンを受信状態にする。狭いルンゼの場合には1人が飛んで末端から上がり、残りが上から探すと探索距離が短くなり早い。広いスラブ面の場合は2人が雪崩の両端付近を下降しながら捜索する。

(4)遺留物を発見したら大きな声でコールし位置を伝達。遺留物を持ち上げ確認。(そのまま遭難者が埋まっている場合もある)。

(5)雪崩発生地点と遺留物を結ぶ直線上、流れが変わる場所、デブリ付近に埋没していることが多いので、それを考えながらラフサーチを続ける。

(6)二次雪崩が発生したら、監視役は速やかに笛などで合図。解除も笛で行う。

(7)電波を捕捉したらコールする。それぞれの位置や状況によるが、3人が一つの電波に執着せず、もう一人の埋没者を捜索するか、プローブを出すなど状況に応じて行動する。ザックは安全地帯に木やピッケルで固定するか、背負って行動する(二次雪崩で流失させないため)。

(8)埋没が浅いと想定されたり、トリプルアンテナの場合にはピンポイント捜索を1人が続け、他のメンバーはスコップを準備する。埋没が深かったりシングルアンテナの場合には2mくらいを切ったらプロービングに変えるのも良い。

(9)プローブがヒットしたら、プローブは抜かずに斜面下側のかなり手前から広く掘り進む。埋没者に近づいたら手で掘る。

(10)発見したら、まず呼吸を確保するため頭をやさしく速やかに掘り出す。複数埋没時は発見した埋没者のビーコンを切り、全身を掘り出したらマットを乗せたツエルトに包むなどして保温し、安全地帯へ搬送する。状況に応じて、手が空いている人が別の捜索に入る。

(11)意識を確認し、必要に応じてCPRを施す。湯たんぽを作れるなら、脇の下や首の付け根に入れる。

(12)必要に応じて救援要請を行う。

(13)安定したら、もう1人の捜索に入る。以下、同様。

 雪崩の捜索訓練は今までに何度も行っているが、やっぱり焦ってしまうためか思ったとおりに動けない。訓練でこれなら、いざとなったら推して知るべし。反復練習だけが自信と落ち着きを得られる最良の方法と思われる。

 慣れた人ばかりで、雪崩発生から2人を掘り出し安全地帯に搬送するまでスピーディに行えた。しかし。現実には現場到着時間に加えて埋没深度はもっと深いであろうから、救出までははるか長い時間を要するであろう。やはり、雪崩に巻き込まれてはいけないのだ。

 こうして、2日目の講習もあっという間に終了。何かの折りに、少しでも多くの人にこれらの技術を伝達しないと。
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 講師の東先生、センターのKさんをはじめ、ご一緒いただいた皆さま、ありがとうございました。慣れない班長で、至らなくてごめんなさい。

 雪崩事故が少しでもなくなりますように。皆様の安全登山をお祈り申しあげます。
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by kanechins | 2012-01-22 22:23 | 「山」の独り言 | Comments(0)

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