黒部丸山・東壁「緑ルート」 day1
2011年 08月 27日
今年の目標のひとつ、「黒部の巨人」と称される丸山東壁へ向かう。行く前に組長から「我々の総合力は現在150ポイント、丸山は200ポイントは必要」という台詞に、今思えば「なるほどなぁ」と思える、実に勉強になった3日間であった。
扇沢から、満員電車の装いであるトロリーバスにのり黒部ダムへ。人の流れと別れ、「内蔵助谷へ」という看板に従い「日電歩道」と称される登山道へ。暗いトンネルを抜けると、いきなり眼前に黒部丸山(左)と大タテガビンが迫る。正直、このときの印象は「思ったよりもちっちゃいなー」であったが、それはスケールのデカさと遠近感がそう思わせていたことを、後で痛いほど知ることに。
ダムから続く登山道を200mほど下ると黒部川に。観光放水で、毎秒10tの放水。迫力に圧倒される。
内蔵助谷や下廊下へ続く登山道はよく整備されていた。
ものの1時間半ほどで、内蔵助谷出合へ。早速テントを設営し、登攀具を整える。
真砂へ続く登山道を歩むと、突如「黒部の巨人」が姿を露に。標高差400mほどの大岩壁である。で、でかいぞ。写真中央が今回の目標である「緑ルート(Ⅳ・A2、10P-340m)」だ。
全員が始めてのエリアなので、まずはアプローチ核心か。登山道を前後しながら、スムーズに1ルンゼの押し出しに入ることができた。
どーんと広がる巨人。左が1ルンゼ、中央左が南東壁、そして右側が東壁。
さらにルンゼを詰めると小滝が出てくる。なんとかフリクションクライムで登ることはできたが、下りは結構やらしそうだ。
そして、南東壁基部へ。もうあまりにスケールが大きすぎて、よくわからない。壁沿いに右にトラバースするも、強烈なヤブ。ここのところ、だーれも入っていない様子だし、そもそも丸山全体を見てもだーれもいない。藪を漕いで左岸稜末端を大きく回りこむと中央壁へ。
そして、いよいよ目標の「緑ルート」基部へ。が、すごい染み出し。秋雨前線に祟られ、相当降ったからなー。それにしても、やけに緑が多いなぁ。だから「緑ルートか?」と間違えてしまうほど。
恒例により(?)、ワタシが勇んで1P目(Ⅲ・A1、40m)に取り付く。いきなり1ピン目が遠い。思い切って突っ込み、途中から人工登攀に移る。ボルト7、8本目で終了点?まだロープは余分があるので突っ込みたいのだが、急にボルトラダーが消え右往左往。
カムが決まるようなクラックもなく、一旦ピッチを切ることに。写真は上を見上げたところ。一見簡単そうだがカンテはヌレヌレで悪いし、とにかく支点が取れない。
じきに組長が上がってくるが、やはり悪そう。仕方なく、ハーケンを3、4枚打ち込みながらの登攀に。
「お~い、ピンはどこだぁ~?」。よーくよく草むらの中を探すとピトンがあったりする。
正規の1P目終了点にて、フォローするsono。とにかく、草むらが厄介である。
2P目(Ⅳ・A1、35m)はsono。
上部の草むら帯からボルトラダーが消えたらしく、かなりの苦戦を強いられた様子。
ワタシもフォローで上がる。写真は1P目終了点で待機する組長。
3人が2P目終了点に着くと、既に16:00。いくら3人とはいえ、2Pに4時間強はかかりすぎだなー。まだまだ修行が足りんっ。誰も来る気配がないのでルート工作。シングルロープをフィックス(固定)して懸垂下降。
下りは近道を探しに、右岩稜伝いに藪漕ぎ。が、内蔵助谷に下りるころには崩落地に出くわしてしまい、ヒヤヒヤしながら降り立った。こりゃ使えないな。予報では夕方から雨。だけど、結局、雨は1滴も降らなかった。
軽量化のため、夕食はカレーリゾット。お湯を注ぐ量で「ドライカレー」「カレーリゾット」を選べる優れもの。最近のアルファ米はおいしいなぁ~。
睡眠不足もあってか、21:00には寝袋に。沢沿いなので涼しいのは良いが、虫が多いのは難点。蚊取り線香とワンプッシュ蚊取りでなんとかしのぐことができた。さぁ、明日こそは! (つづく)