カテゴリ:「本」の独り言( 19 )

小説「余命10年」/小坂流加 著

 今日は所用があり在宅。陽だまりが暖かい畳部屋にごろんとなって、合間を縫って久ぶりの読書。東京出張の際にKIOSKで、装丁買いした一冊。
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 青天の霹靂。突如、余命10年を告げられた二十歳を迎えた茉莉(まつり)。日記の一文にあった『あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか。長いと思い悠然と構えられますか。短いと思い駆け出しますか。』。

 香りを感じるくらい、季節の描写がすごく丁寧。平易な文章で、一気に読み進んでしまった。時の経過、時々の思いがすごくリアル。読後に知ったのですが、著者は主人公と同じ年ごろの方で、本当に残念ながら、刊行を待つことなく2017年2月に逝去されているそうです。
 
 本文にあった『大袈裟だけど生きたあかしのようなものを、1つでもこの世界に残しておきたかった。』という言葉が、著者の心情に被ります。何気なく読み始めた一冊でしたが、「きみの友だち」以来の嗚咽クラスの号泣。刊行に間に合わなかったのが、本当に心残りです。ご冥福をお祈り申し上げます。

 文芸社文庫NEO『余命10年』(第3回講談社ティーンズハート大賞「期待賞」受賞作品)
(カバーイラスト loundraw)

 

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by kanechins | 2017-12-03 21:43 | 「本」の独り言 | Comments(0)

「O・ヘンリー短編集(二)」/大久保康雄 訳

 久しぶりに本を読む時間を確保。
 選んだ1冊は、押し入れ文庫に眠っていた「O・ヘンリー短編集(二)」。
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 写真ではわからないが、実はかなりボロボロ。
 巻末を見ると、昭和62年印刷となっている。

 おぼろげな記憶だと、高校卒業の頃にどなたかに頂いた可能性が高い1冊。本当にごめんなさい、どなたに頂いたのか記憶が全くございません。しかし、何年かに1度紐解く、大切な本になってます。下さったかた、本当にありがとう。これからも大切にします。

 話がそれたが、久しぶりに読んでみた。翻訳が行われたのが昭和44年ということもあり、正直、ちょっと読みづらい感は否めない。が、それがむしろ文学っぽさを良い意味で感じされてくれる。調べてみたが、大久保氏は専門翻訳家の草分けとのことで、実に多くの翻訳本を残されている。

 中身は、今風に言えばショート・ショート。O・ヘンリーは、調べると1862年(文久2年)生まれで1910年(明治43年)に没するまでに、実に381編の主に短編小説を残した(Wikipedia)。本作は、恐らく中身を聞けば誰もが知っている「賢者の贈り物」をはじめ15編が収録されている。

 短編集の感想を述べるのは難しいが、いずれも人生観に通じる、ウィットや風刺に飛んだ作品が並ぶ。1作を10分程度で読み切れるので、忙しいときにはなかなか便利。およそ100年前に記されたものではあるが、時代を越えて楽しめる1冊である。

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by kanechins | 2017-03-04 20:00 | 「本」の独り言 | Comments(0)

「ぺ」/谷川俊太郎

 新春の1冊目は、谷川俊太郎さんの「ペ」。
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 初版は1982年(昭和57年)。また古い本を、といのも、手放さずに取ってあった本の再読。オリコンTOPはあみん「待つわ」、レコード大賞が細川たかし「北酒場」、映画では「E.T.」の年である。

 詩人、谷川氏が1960年代から手掛けてきたショート・ショートを集めたもので、余裕がある朝、PCに向かっている合間など、ちょっとした時間に読めるのは魅力。

 短い中に計算尽くされたストーリーが詰められており、見事な構成に感嘆するもの、皮肉がぴりっと効いたもの、ブラックの中に考えさせられるものなど、ちょっとした時間を何倍にも楽しませてくれる、古さを感じさせない作品群。

 当時、これを手放さなかった自分と邂逅できたのが、ちょっと嬉しい。
(201701)

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by kanechins | 2017-01-09 09:24 | 「本」の独り言 | Comments(0)

ガダラの豚/中島らも

 大掃除をしていて見つけた本書を、思わず読み始めてしまった。
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 故、中島らも氏により1993年に初版が出た古い小説で、第47回日本推理作家協会賞の受賞作である。1993年といえば、皇太子・雅子さま御結婚、レインボーブリッジ開通、Windows3.1の頃である。

 実は、読むのは4度目。膨大な資料を基に記され、3巻990ページに及ぶ大作であるが、毎回、2晩ほどで読み切ってしまう。読み始めたら止まらない系の小説である。

 書評やあらすじはネットに数多とあるので譲るが、文字で追うからこそ想像の世界が膨らみ結像するのが楽しめる秀作であると思う。
 また何年後かに紐解きたいと思う、思い入れのある書籍である。
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by kanechins | 2016-12-24 20:04 | 「本」の独り言 | Comments(0)

「世界から猫が消えたなら」川村元気 著

 先日、通勤時に聞いていたラヂオで川村さんが話題に上がっていた。
 今までに観た映画「告白」、「宇宙兄弟」、「寄生獣」などをはじめ、まだ観ていないが「君の名は。」も手掛けたのが川村さんということを知った。

 その彼の作家デビュー作が「世界から猫が消えたなら」。そのタイトルに惹かれ、帰り道に購入。
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 突如、余命わずかであることを知らされた30歳の「僕」。家では、悪魔が待っており、「実は・・・明日あなたは死にます。」と。
 「この世界から何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得る」。生きるために、身の回りの何気ないものが消えていく。消えることで、いや、消えないと気付かない大切ななにか。

 ちょっと色々と考えされされた、雨の休日に相応しい一冊。別に天気が良いときに読んでもよいが、時間があるときにゆったりと過ごしたいときにおすすめの一冊であった。たぶん、この本は手放さないであろう。

 映画化もされたらしいので、機会があればぜひ、観てみたいな。

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by kanechins | 2016-11-19 21:30 | 「本」の独り言 | Comments(0)

小説「震える牛」/相場英雄

 中野駅前で発生した強盗殺人事件。迷宮入りするかと思われた事件を、ベテラン刑事田川が追う。
 たまたま居合わせて殺害されたと思われていた2人の裏には、大型ショッピングセンターの在り方や、食の安全にまつわる事象が交錯する。
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 ストーリーが頻繁に前後し登場人物や背景を理解するのに少々苦労したが、多くの伏線が張り巡らされる、実に読み応えがある作品であった。

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by kanechins | 2016-11-03 23:09 | 「本」の独り言 | Comments(0)

小説「民王」

 総理大臣武藤泰山と、大学生の息子翔がある日突然入れ替わってしまう。
 翔は仕方なく国会答弁に立つも、アンチョコにある漢字の誤読を連発して支持率は急落。しかし、現社会の問題に直面している翔の実直な思いに触れるにつれ、自身が総理としてのあるべき姿を見直していく快活なストーリー展開で、一気に読んでしまった。
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 読後、遠藤憲一さんが好演するドラマをYouTubeで拝見しはじめたら、さあ大変。
 実に面白くて、寝不足をよそに全8話を2晩で観てしまった。

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by kanechins | 2016-10-29 01:02 | 「本」の独り言 | Comments(0)

小説「七つの会議」/池井戸潤

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 熾烈なコスト競争の挙句に生じた欠陥部品を発端に、戻ることができない道を辿る人々と企業。
 池井戸小説は軽快なテンポに乗ってスカッとするようなものが多い中で、本作品はもし自分がその場に置かれていたらと思うとぞっとするような、リアリティ溢れる重い内容。良い意味でかなりぐったり感が残る作品であった。

 ありきたりなコンプライアンス研修よりも、この小説を読むほうがためになる気がする。

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by kanechins | 2016-10-22 23:59 | 「本」の独り言 | Comments(0)

小説「陸王」/池井戸潤著

 池井戸さんの最新作が出たと聞いて、初版を購入したまま積ん読になっていた一冊。
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 『オレたちバブル入行組』『下町ロケット』『七つの会議』など、自身の銀行員としての経験をもとに、日本の底力である中小企業を主人公に快活でリズミカルな読み口の、読み始めたら止まらない作品が続く池井戸氏の新作。わくわくして買ったまま、すっかり忘れていた、汗。

 老舗の足袋業者が先行き不透明な状況を打破すべく、足袋造りの技術を活かしてランニングシューズの開発に取り組むというストーリー。読み始めたらあっという間。睡眠不足も厭わず、2晩で読み切ってしまった。秋の夜長に、オススメの一冊。そういえば、このところ走っていないなぁ。。。


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by kanechins | 2016-09-27 00:41 | 「本」の独り言 | Comments(0)

『パラドックス13』 東野圭吾 著

 ある日突然、街から人が消えた。
 そこに残された13人は、境遇も年齢も異なる男女。襲い掛かる天変地異からサバイバルすべく力を合わせるも、極限状態では「善悪の概念」が180度変わる。
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 終わりが近づくにつれて一体、どうなってしまうのか、どうオチをつけるのかハラハラしたが、そこはさすが、見事に纏め上げられていた。2009年に発売され、文庫化。講談社文庫、850円(税別)-1505
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by kanechins | 2016-01-16 05:00 | 「本」の独り言 | Comments(0)


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