カテゴリ:「アルパイン」の独り言( 107 )

講習会のお手伝い。

 2013年11月9日(土)~10日(日)
 うっすら雪化粧が施された爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳。
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 この週末は、日ごろからお世話になっている山岳総合センター主催の講習会をお手伝い。受講生のみなさんとの嬉しい再会でもある。
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 まず、受講生同士でペアを組んでアンザイレン。
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 講習も3回目とあって、それほど危うげなくリード&フォローで登っていく。
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 懸垂下降の準備もお手のもの。
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 普段、何気なくやっている動作も、第三者の視点で見ると同時に多くのことをこなしているということに気付く。
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 慣れないビレイ、緊張感が伝わってくる。いいね。
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 高みを目指して。
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 テレマーカーのMさんもがんばる!
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 初日はこのように、人工岩場でリード&フォロー、懸垂下降の基本的な技術を確認。夜は恒例の懇親会。沢登りをやる方、バックカントリーをやる方も多く、話のネタが尽きることはない。

 翌日は、「物見の岩」で実践。予報が芳しくなく出発を30分早めたがこれが奏功し、予報通り雨が降り始めるまでの2時間、ホンモノの岩を登りながら技術を確認することができた。
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 リードとビレイヤーの心地よい緊張感が伝わってくる。
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 一歩一歩、確実に岩を攀じる。
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 慣れるまでは、懸垂下降もおっかなびっくり。
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 焦ることなく、しかし速やかに、確実に。
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 一通り、リード&フォローが終わったところで、無常にも雨が岩を黒く染め始めた。

 撤収して人工岩場へ戻り、受講生の要望が強かったクライミング講習会に。
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 延べ6日間の講習は、これで終了。

 これは終わりではなく、始まりである。それぞれが素敵なパートナーと巡りあい、安全かつアグレッシブに山の世界にどっぷりハマられることをお祈りします。

 ではまた、どこかの山で!

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by kanechins | 2013-11-09 23:17 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

北岳バットレス day2(下部フランケ~Dガリー奥壁)

 2013年 9月29日(日)
 午前02:10起床。結局、sonoは一度も目覚めず10時間近く眠れたらしい、すごいな。それでもまだ眠いらしいが、きっと寝過ぎだと思う。

 お湯を沸かし朝食を摂り、いつになく早くテントを撤収。ヘルメットにヘッドランプを装着し、03:20に白根御池を出発。二俣のトイレで、恒例の朝のお勤め。毎度、タイミングが良いことで。登攀用具をまとめ、幕営装備を河原にデポジット。04:00、二俣発。

 後ろから迫って来るヘッドランプに煽られながら大樺沢を辿るが、「漆黒の闇」と「沢の音」に惑わされ、右往左往しながら登る。C沢を過ぎて「おかしいなぁ、こんなに登ったか?」と思っていたらsonoに「さっきのトコじゃね?」と。「こんなヤブヤブしてた沢だったっけ?」と思いながらも沢を詰めると目印の大岩が。でかした、sono。04:45にD沢出合。初夏に比べると、随分と草が伸び、印象がかなり違う。

 暗闇の中、ゆっくりD沢を詰める。7月に残っていた大きな雪渓は跡形もなく消え、五尾根支稜の岩肌が眼前に。05:05に基部。雪渓が無い時期だと、取り付きがすごく高い所に感じる。やっと周囲が明るくなってきた。タイミングとしてはバッチリだ。

 ザックをアンカーに固定し、「ギアの選定」と「ダブルロープの結束」。朝日がバットレス上部に当たり輝いている。感激に浸るのも束の間、驚いたことに空のワイン瓶が取り付きに捨ててある。な、なんなのだ?

 05:40、下部岩壁の登攀開始。アプローチシューズのまま、1Pはワタシがトップ。40m弱ロープを伸ばしてピッチを切る。写真は、途中で振り返ったところ。
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 程なくして、お陽様が顔を覗かせた。
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 2Pはsono。カンテを越えると、すぐに姿が見えなくなる。
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 グイグイとロープを伸ばして50m一杯まで。まだ登る気配があったのでセルフビレイを解除し、コンテで少し上がると解除コールが。

 フォローで登ると、下部フランケには既に別パーティが取り付いていた!は、はやっ。Dガリーからの巻きも考えたが、やっぱり正規ルートを辿りたいので待つことに。
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 クライミングシューズに履き替え、06:30に下部フランケ(4級下、V-、185m)の登攀開始。

 下部フランケ1P目(3P目・V-。以下、括弧内は通算ピッチ数)はワタシ。ルンゼ内を詰めると途中で一瞬迷う場所があるが、周りをしっかり見て弱点を抜ける。浮いた石が多いので、ロープが擦れて落石を起こしやすいので注意する。

 40mちょっとロープを伸ばす。アンカーは先行パーティーが使っていたのでさらに登り、大きな石で支点を構築。先行パーティーはそのまま4尾根の方へトラバースし、下部フランケは貸し切りに!急にDガリーに静けさが訪れた。歩きで基部まで。

 下部フランケ2P目(4P目、Ⅳ+)はsono。
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 フェースの出だしをなんとかフリーで抜けた!が、抜け口が悪そうだった。くさびハングを越え、前回にピッチを切った所も越えてロープを伸ばし、今回も50mオーバーまで伸ばしてくれる。フェースの体感は、フリーだと5.10+位に感じる。
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 下部フランケ3P目(5P目、Ⅳ+)はワタシ。V字状コーナーの内面登攀から始まる。なんか意外に悪くて支点を取りまくっていたら、後で「悪いところで平気でランナウトしたまま突っ込むクセに、ワケわからん」とsonoに笑われた。
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 思い切りが必要なカンテへの乗り上げを2度ほど繰り返すと、前回の撤退ポイントへ。残置してしまったシュリンゲと捨てビナを無事にクリーンできたのでよかった、ほっ。まだロープに余裕があったので、一杯まで伸ばす。ここの核心は、屈曲したくそ重たいロープだった。

 下部フランケ4P目(6P目、Ⅳ)はsono。「左にトラバースできそうなバンドを探しながら行って」と何度も言ったのだが、それらしき場所が見当たらないみたいでどんどん登って行く。
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 登りすぎると大変そうとsonoも思ったのか、クライムダウンしてきて、適当な所から左にトラバースを始めた。

 「適当な所で早めに切ってね」と言ったのに、どんどんロープを伸ばし、Dガリーまで行ってしまった。フォローするもとても「バンド」とは呼べない場所だったが、随所にハーケンが打ってあったので、恐らくこれが正解だろう。

 しかし!核心は最後に訪れた。下り気味のトラバースは、フォローの方が怖い。最後はボロっボロの草付きのクライムダウンだったので、冷や汗が止まらなかった。Dガリーに入るとリングボルトが打たれていたので、やはり正解か。08:55、Dガリー合流。
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 アプローチ1P目(7P目)はワタシ。写真は、登り始めてすぐに振り返ったところ。カンタンなルンゼ内をノープロ(テクション)でロープ一杯伸ばす。
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 続く、アプローチ2P目(8P目)はsono。
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 今回も50m以上伸ばしてくれて、セルフ解除で同時登攀。いよいよ、憧れのDガリー奥壁が近づいてきた。sonoの頭の上にある多段ハングがそれ。右上はマッチ箱のコル。
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 先ほど、なかなか解除のコールが無かったが、行って納得。なんと取り付きに巨大ウoコが!?丁寧に石を載せてあるが、広いテラス、他に幾らでも場所があったのでは?強烈な臭いと紙まで残置され、捨てられたワインボトルといい、本当に残念でならない。。。

 気を取り直して。さぁ、いよいよ念願のDガリー奥壁(3級上、Ⅳ+、120m)だ。09:35、登攀開始。

 Dガリー奥壁1P目(9P目、Ⅴ+)のハング帯はワタシに譲ってくれた、ありがと。ハングというよりも、幾つかマントル課題が続く感じ。ジャムも効くし、カムのキマリも良く、のびのびと登ることができた。無事にオンサイトを収め、ピッチを切る。長いこと夢見てきたピッチだっただけに、涙がこぼれそうになった。こんなに感激したのは、いつ以来だろう。やっぱ、山っていいな。

 sonoも快適に登ってきた。恐らく、2人ともめっちゃニヤけていたと思う。
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 Dガリー奥壁2P目(10P目、Ⅴ)はsono。本当に天気が良く、マッチ箱のコルを懸垂で降りてくる人たちも実に楽しそうだ。赤いスラブに稲妻のように走るクラックライン沿いに登る。
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 小さいハングを越えると姿が消えたが、50m一杯出てもまだ登っていく。トランシーバーから「ワイドの取り付きまであと数m」ということで、セルフを解除し同時登攀。一気に60m、2ピッチ分を登ってしまった。見事、ワイド手前でピッチを切ってくれたsono。
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 Dガリー奥壁3P目(11P目、Ⅳ)はワタシ。出だしのワイドは体が入るほど広くなかったため、体を乗り出して豪快に越えると上部要塞だ。
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 チムニーを抜けた所から振り返る。
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 大崩落によって「あの」チムニーは本当に消失していた、涙。写真は、2009年10月4日にAWC2の皆と第4尾根を登ったときのもので、今は無き「枯れ木テラス」と、今回崩落した岩。右側の三角形の岩が全て崩落し、奥壁の最終ピッチも消失。
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 崩落後、ここは新たに4尾根との合流点となった。抜け口はルンゼっぽい所が1カ所あるだけなので、ここで渋滞が発生。先行の2人パーティー、5人パーティーが並んでいる。
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 ピッチを切るか悩んだが、まだロープは半分も出ていないので一気に抜けることにする。待つこと、なんと40分!いよいよ順番が回って来た。随所にボルトやハーケンが打たれているので、安心して登れる。フリーで5.9有るか無いかで立体的な動きが楽しい。先行パーティーが詰まっていたのでハイマツで支点を作り、sonoを上げる。
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 後は、終了点までロープアップを兼ねて歩き11:45に登攀終了。渋滞さえ無ければ、1時間ちょっとの登攀であった。バックは鳳凰三山。
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 富士さん、応援ありがとう!
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 終了点から稜線って、意外にある。息を切らして登り詰めると、間ノ岳が出迎えてくれた。
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 そして、12:20に日本第2位の高峰「北岳」山頂(3,193m)へ!
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 感激の余韻に浸っていたいところではあったが、帰りのバスに間に合わなければならない。まだ登攀は終わっていないのだ。名残惜しいが、12:30に下山開始。

 12:35に吊尾根分岐。ココから「八本歯のコル」までは道が良く整備されていて、アッという間。しかし、そこから大樺沢まで、やはり先日の大雨でかなり荒れており、大変。

 登ってきたルートを振り返るのも、アルパインの醍醐味。写真が600mの大岸壁、北岳バットレス。
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 Dガリー奥壁を拡大したところ。赤点線は、今回攀じ登ったルート。
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 下部フランケを含めた全体イメージ。こうやってみると、結構長いなぁ。
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 14:00に二俣へ帰着。デポした荷物を回収し、14:30に二俣発。「バスは17:00まであるんじゃね?」と言われたが、なんか行きのタクシーで「最終は16:00だから気をつけてね」と言われた気がして、念のために早めに降りることに。

 二俣から50分、15:20に広河原着。ウソかホントかわからないが「次のタクシーが最終だよ」と言われた。いやぁ、焦って正解であった。これで乗り遅れた日には、いつかの過酷なロード再来になるところであった。
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 初めてバットレスを登ったのは、飯田山岳会時代だから2006年9月だ。写真は当時、マッチ箱の上から撮影したDガリー奥壁。このときに「いつかこの壁を、自力で登ってやりたい!」と思ったのを覚えているし、これがクライミングを本格的に始める原動力でもあった。そういえば、BrianやTakakoも一緒だったなぁ。
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 あれから7年。何度かトライするチャンスはあったが、2010年9月には取り付きで雨敗退。今考えたら、当時の実力(登攀能力だけでなく、支点構築やルートファインディングなど)では、恐らく登れなかったと思う。

 次にチャンスがあったのは2013年7月。メンバーの体調不良で下部フランケ上部からの撤退。しかし、その後雨に見舞われ、あのまま突っ込んでいたら3人パーティーだったし、濡れたスラブに苦戦を強いられ、多分ビバークになっていたと思う。撤退技術の確認も出来たし、これはこれで正解だったと思う。

 そして、今回。念願だった「青空の下での赤いスラブ」を登ることができた。永年の夢が叶った。続けていたら、登れることがわかった。本当にクライミングをやってきて良かったと思った。今まで色々なルートに付き合ってくれて相互研鑽できたsono、そしてここまで育ててくださった皆さんに、ココロから感謝です。

 ちょっと抜け殻っぽくなってしまったが、また次の目標を定めて、これからも頑張りたいな。
 引き続きみなさん、よろしくお願いします!
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by kanechins | 2013-09-29 01:01 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(2)

北岳バットレス day1(広河原~白根御池)

 2013年 9月28日(土)
 北海道ツアーの余韻が冷めやらぬ中、週末は北岳へ。高気圧が安定して張り出し好天予報。今後のスケジュールを見ても、この週末が我々にとって今年最後のチャンス。否が応でもココロが逸る。

 さすがに前夜は仕事が遅くまでかかってしまい、朝はのんびり7時半集合。中央道を南に走り、白根インターで降りる。夏の混雑も終わり、紅葉にはまだ少し早いためか、この時間にしては人は少なめ。それでも上部の駐車場は満車で、金山沢温泉のところまで下る。折良く、タクシー(1,100円)が迎えに来てくれる。

 夜叉神峠を過ぎると、雲一つない澄み切った青空に南アルプスの峰々が燦然と輝いていた。軽くストレッチをし、登山届を提出。11:40にアプローチ開始。もはや慣れた道となっているが、今日はやけに体が軽い。
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 途中、7月に来たときにはなかった土砂崩落が幾つか。いつぞやの大雨でやられたらしい。なんだか、北岳も年々、どんどん崩れてきているなぁ。
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 13:40、二俣。
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 今思えば、ここに登攀用具をデポしておけば良かったのに、そのまま白根御池に向かう。14:10に白根御池着。
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 前回と違い、テント場は人もまばら。池のすぐ横にテントを設営し、受付を兼ねて夕食セットを持って小屋へ。今回は偵察が要らなかったので、15:30に早めの夕ご飯。さすがに日が陰ると冷え込み、大人しく缶ビールに留めておく。
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 テントに戻り、寒いもんで寝袋に入ったらそのまま寝てしまった。ということで、オドロキの16:30就寝!まぁ、明日は02:00起床だからよしとするか。
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 「んあぁ、よく寝た!」と思ってスマホを見たら、まだ20:00過ぎ!?しばらく寝付けず、ラフロイグを舐めたり、満点の星空を眺めに外に出て見たり。空気が冷え込み、猛烈に星が綺麗だ。そうは言っても、寝ないとな。今夜のテン場は静かで助かった。(つづく)
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by kanechins | 2013-09-28 22:48 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

岩講習のお手伝い。

 2013年 8月10日(土)
 この週末は、某所で開催された山ヤ向けの「岩登り入門講習」をお手伝いさせていただく機会に恵まれた。参加者は北は秋田から南は滋賀まで、総勢18名。2倍の競争率ということで、その人気が伺える。机上講習のあと、人工壁で実技。まずは入念なストレッチから。
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 大半の方々は、初めてハーネスを履くような方ばかり。「正しいエイトノット」の結び方から。
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 ギアの使い方、セットの仕方、仕組みなどを順を追って説明する講師陣。ダブルM山、M田さん。ムンター&クローブヒッチ、懸垂下降などの基本を下部で時間をかけてマスター。
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 足の置き方、姿勢などアドバイスを受けながら、トップロープで傾斜が緩い斜面を登る。
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 実際に懸垂下降。
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 2013年 8月11日(日) 
 2日目は、初日の技術確認を行ったのち、リード&フォローでテラスまで登り、自分たちで下降支点を構築して懸垂下降し、ロープを回収できるまでをマスター。
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 山ヤさんだけあって、みんな普通に登ってくる!
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 Kさんも頑張る!
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 照り返しが強く、汗が流れる。まるで屏風を登っているかのよう。
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 2年前にKテレでご一緒したMさん。参加者でバックカントリーされる方も少なくなく、テレマーカーも何人かいらっしゃって嬉しくなった。
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 これだけのアツい山ヤな方々に会う機会はそうもないので、なんだかコッチも岩を始めた頃を思い出してアツくなったなー。

 猛暑の中、2日間に渡りお疲れ様でした。皆様のこれからのご活躍と安全登山をお祈りしてます!
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by kanechins | 2013-08-10 04:07 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

3年越しの北岳バットレス day2

 2013年8月4日(日)

 01:50起床。テントの入口を開けるときは、いつもどきどきする。ええい、と飛び出ると満天の星空で一安心。昨晩の喧騒でほとんど眠れず、眠い眼をこすりながら朝食を摂り、夜露で濡れたテントを撤収。

 03:05、白根御池発。
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 二俣で登攀の準備を調え、幕営道具をデポ。03:55、再出発。D沢出合いに04:35。「あれ?鳳凰三山の上空が白み始めた!?」、そうだ、今は夏なので日の出が早いのだ。
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 D沢を登りはじめたところでヘッドランプを解除。浮石が多いD沢を慎重に詰める。
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 05:10、dガリー大滝基部。取り付きまで雪渓が残っているが、第5尾根支稜へ続く道は雪が切れていた。アイゼン、ピッケルも持参したが、不要なようだ。Dガリー大滝へはシュルンドに降りるのにピッケル必要?
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 かなり彷徨ってみたものの、第5尾根支稜がよくわからない。どうやら、目の前の傾斜の緩いスラブが第5尾根支稜なのか?シュルンドに堕ちないよう気をつけながらトラバースし、シュリンゲが垂れる取り付きへ。見た目はカンタンそうだしⅢ級とのことなので、時間短縮でアプローチシューズのまま進むことに。

 05:40、登攀開始。1P目はワタシ。実際に登りはじめると、見た目よりも急。ホールド、スタンスも少し脆そうな気がして慎重に進む。ハーケンが見つからず、30mのうち2、3個しかランナーが取れなかった。写真は1P目をフォローする2人。
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 2P目はsono。写真のカンテまでがちょっと悪いが、残置は豊富。そこからは、ぐいぐいカンテを登れ、50mいっぱいロープを伸ばして解除のコールが。
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 緩傾斜帯に入る。見上げると、昨日お話した「お茶の時間」の方々が、ピラミッドフェースに取り付いているのが望めた。それにしても、いい天気!暑くもなく、快適である。
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 よく写真で見かける「下部フランケ」(Ⅴ-、5P)の取り付き。うーん、カッコいい!写真右側のルンゼが継続3P目(下部フランケ1P目、V-・50m)。
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 06:30、下部フランケ登攀開始。お願いします。
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 Ⅴ-と書いてあるのでビビっていたが、カムの効きもよく、ルートさえ間違えなければさほど難しくはない。
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 2人を引き上げ、継続4P目(Ⅳ+、50m)はsono。青空に聳える緑が映える壁、素敵!写真のフェースはピトンが連打されているらしいが、厳しそうだ。見た目は寝ているが、実際に行ってみるとかなりの傾斜であった。ピトン連打のフェースからクサビハング、凹角を越えてピッチを切る。
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 フォローするfukuchan。
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 フォローして納得。逆層スラブとなっており、スタンスがプアでかなり厳しい。体感は継続3P目がⅣで、4P目はフリーだと5.10cくらいに感じた。

 続く5P目(Ⅳ+)はワタシ。V字凹角内の内面登攀ののち、ハングを左に越える。リングボルトのアンカーがあったがロープがまだ10mほどあると言うので、さらに凹角を登る。滲み出しでクラック内が濡れておりいやらしい。あらゆるムーヴを駆使し、左のカンテを超える。岩は硬いので快適!ピッチの切り所を誤ったのか終了点がなかったので、リングボルトとキャメロット#3で流動支点を構築。いよいよ、憧れのDガリー奥壁が近づいてきた!
 
 08:20、フォローの確保が準備できたところで、異変に気付く。ご本人の了承が得られたので、記録として残したい。どうやらfukuchanの体調が急変し、うなだれたまま動けないとのこと。fukuchan側のロープを張り、荷物を降ろしてもらう。休憩して、しばらく様子を見ることに。

 判断のときだ。「この先はまだ7、8Pの未知のルートが続き、登れば登るほど退却が困難になる」「意識はあるようなので、救援を呼ぶほどではない」「ヘリでピックアップしてもらうにも、フランケ下部までは下ろさないと」「いずれにせよ、下るしかない」「動けないようなら、カウンターラペルでなんとか降ろせるなぁ」など、冷静に考えられた。加えて、こうなるとは全く予想していなかったが、登りながらずっと下降(退避)経路を確認していた自分にも気付いた。ひとえに、先日のセルフレスキュー研究会のお陰だと思う。

 しかし、ここで大変なことに気付く。自分はハンマー&ハーケンを持っていない(後続のsonoが持っている)し、捨て縄も60cmクラスのを1本持っているだけ(240とか長いのも数本持っていたが、二俣に置いてきた)。目の前には、サビサビのリングボルトが1本あるだけ。

 リング1本での下降はカンベン、と周囲を探すと、残置ハーケンが。捨て縄では長さが足らなかったので120cmのシュリンゲと捨てビナで下降支点を構築。貧乏性なので、一番傷んでいるシュリンゲとビナをじっくり選んで構築。よく考えたら、命を預けるだけに一番良いものを使用するべきだった!?ロープを解除してもらい、ダブルで45mほどの下降を、09:00に開始。こんな美しいルートの中に残置して申し訳ないが、お許しください。

 ピラミッドフェースを抜けた「お茶の時間」のKさんが心配して「お手伝いしましょうか」と声を掛けてくださる、ありがたい。謝意と退却する旨を伝え、下降に入る。折りしも、後続パーティが4P目に入っており、トップに事情を説明して横を下降させていただく。
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 自力で懸垂下降できるまで復活したのが幸いで、下降路を確保しながら4P目を降りる。
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 さらに3P目も下降し下部フランケの取り付きへ下ると、少しほっとした。と思ったら、さっきまでの好天がウソのようにガスってきた。そうだ、これが北岳だ。
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 気温の低下を感じ、今にも雨が降ってきそうであったので、第5尾根支稜(なのか?)の懸垂に入る。途中、屈曲するところが手間であったが、3Pで取り付きまで下ることができた。この頃から霧雨が舞い始めた。あのまま登っていたら、核心のスラブで悲鳴をあげるところだった!?
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 岩もロープも雨で濡れて下降に手間取ったものの、11:35に下部岩壁取り付き。
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 あとは岩雪崩に気を付けながらD沢を下り、夏道とD沢との出合いに12:40着、ほっ。写真がD沢の目印となる大岩。
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 二俣に13:30着。幕営道具やギアをsonoと分配したところで急に睡魔が襲ってきて、休憩と言う名目で寝入ってしまった。はっ、と起こされたのが14:15頃?14:25に下山開始し、アレだけ賑やかだったのがウソみたいな、静かな広河原に15:35着。
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 高度を下げたらfukuchanの体調もすっかり良くなり、無事に下山できた。よかった、よかった。

 今回、色々と反省した。
 アルパインのトップを務めるのにも関わらず「ハンマーとハーケン」は後続に持たせたままであった(たまたま残置ハーケンがあったから良かったけれど、無ければカムを残置するところであった)。また、「捨て縄」も短めのを1本持っていただけ(結局、自分のも含めて撤退に消費した捨て縄は5本)であった。ルートを抜けるのが当たり前と過信し過ぎて、退却の準備なんてほとんど成っていなかった。考えれば、天候の急変や落石・滑落などによる負傷、時間切れ、ルートミスや体調不良など、途中退却する可能性なんて色々とあるはずだ。とどのつまり、スポーツマルチ気分から抜けきれていない、山をなめた自分がいた。以後、より気をつけます。

 体調不良なんて、誰にでもある。かくいうワタシも、前に錫杖・左方カンテで動けなくなったこともあったなぁ。でも、こういったことが起こりうるといった意識を持つことって大切だな、と改めて思えた、貴重な経験であった。

 あぁ、それにしても、またもや奥壁にフラれてしまった。それでも、青空の下であの赤いスラブを駆け抜けるのが夢でもあるし、今回の退却はタイミングとしてはとてもよかったと思う。またの機会を楽しみに、これからも精進を続けたいな。また一緒に行こう!
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by kanechins | 2013-08-04 20:11 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(4)

3年越しの北岳バットレス day1

 2013年 8月3日(土)
 長いこと憧れのルートがある。「北岳バットレス・下部フランケ~Dガリー奥壁」の継続登攀だ。8、9年前、アルパインを始めて間もない頃に第4尾根から見下ろした真っ赤なスラブ。いつか自力でこの壁を登りたいという気持ちが、クライミングのモチベーションと言っても過言ではない。

 このルートにトライする機会に恵まれたのは、2010年9月。その時の記録は、なんだか実に初々しい。結局は天候不良で退却。「乗っているときに登ってしまおう」と企んでいた翌月に、まさかの第4尾根の大崩落。不幸にも、知人の山仲間がビバーク中に落石を受けて亡くなってしまう。ご冥福をお祈りするとともに、それ以来、バットレスからなんだか気が遠のいてしまった。

 あれから3年。ふとしたことから、再びバットレスに行く機会に恵まれた。今回のメンバーはsono&fukuちゃんの3人。この時期のバットレスは初めてなので、まさかの芦安駐車場「満車」にびっくり!?そうか、世間は夏休みか。

 「釣堀」と呼ばれる「入河原」に車を停めると、タクシーが迎えに来てくれる!?片道1.100円(含むマイカー規制協力金100円)を払えば、快適に広河原まで運んでくれる。登山届を受け付けに出すと「バットレスですか?今日、事故があったみたいなので、十分に気をつけてくださいね」と言われる。はい。
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 11:20、久し振りにテント、食糧、火器にギアのフルセットに加え、アイゼン&ピッケルもザックに括り付けて出発。レスキュー班が準備をしていた。大事に至っていないとよいのだが。気が引き締まる。
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 「初北岳がバットレス」という、なんたら贅沢なfukuchanは、満面の笑み。
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 大樺沢ルートに入る。第一印象は、なぜだか「ただいまー」って感じ。3年越しの割りに、道を覚えているものだな。
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 カナダ遠征まで、いよいよ10日。今回の目的は登攀だけにあらず、彼ら遠征組2人のトレーニングも兼ねている。仲間に入れてくれてありがとう。しかし、短期間でfukuchanはよくここまできたなぁ。
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 14:00に二俣着。二俣付近から見上げる、大樺沢の様子。荷物を置いて、D沢まで偵察に。
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 バットレス沢の出合い。
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 D沢を越え、八本歯のコルへ向かう分岐。この1週間でかなり雪渓も溶け出し、ほぼ夏道が出ていた。
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 静かだ。もっとも、この時間にここを登る人のほうが稀だよな。
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 D沢付近から見上げる下部岩壁とピラミッドフェース。
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 画面中央に走るクラックラインが、明日登る「下部フランケ」だ。
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 二俣側から、最初の雪渓がバットレス沢、次の水の流れが激しいのがC沢、そして枯沢で大きな岩に矢印が書かれているのがD沢と確認。明日は暗闇の中をD沢に入らないといけないので、偵察をしておいてよかった。

 二俣にクライミングギアをデポし、16:20に白根御池を目指して出発。
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 ちゃちゃっと歩いたら、16:30に白根御池に。行ってビックリ、すごいテントの数!張る場所が少なく、仕方なく賑やかな若者軍団の近くに幕営。幕営料は1人500円。トイレはきれいだし、水(南アルプス天然水?)も無料と、快適。
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 バットレス方面はずっとガスが立ちこんでいて、ヘリが近づいては遠ざかっている。しかし、夕方になる前にガスの合間を縫って、無事にリフトアップできたみたい、よかった、よかった。
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 ココが素敵なのは、生ビール(850円)があること!夕食の準備をしながら、明日の無事を祈って乾杯!小屋前にいらっしゃったクライマーさんに声を掛けたら、バットレスで検索すると詳細な記録満載な「お茶の時間」の著者さんであった、お会いできて光栄です^^。

 明日は午前2時起きなので、早々に就寝。しかし!悪い予感が的中。若者たちは盛り上がりまくり、21時になっても22時になっても賑やか。デリケートなワタシは全く眠れず。しまった、こんなときに限ってマイ耳栓を忘れてくるなんて。結局、0時近くまで大きな声で談笑していて、ほとんど眠れないまま朝(深夜?)を迎えることになった。。。  (つづく)
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by kanechins | 2013-08-03 00:59 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

エレクトリック・レディ・ランドもどき(小川山・仏壇岩)

 2013年 7月21日(日)
 (本記録はトポなしで取り付いた結果、本来のエレクトリック・レディ・ランドとは異なるルート取りとなっております。)

 今日の予定は未定。カナダ組がルートファインディングの練習をしたいとのことなので、あまり考えずに仏壇岩を提案。トポが無かったのだけれど、「それがかえって練習になるのでは」ということで決定。

 ペンギン岩へのアプローチは以前に下見していたので、なんとか。まずは林道をフェニックスの大岩直前まで進む。そこから仏壇岩が遠望できるが、「遠い」そして「でかい」印象。涸沢沿いに登ると、仏壇岩がどんどんと大きく迫ってくる。
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 ガレガレの岩場を慎重に進む。
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 初めての岩場はアプローチ核心。トポがないのでペンギン岩と仏壇岩の位置関係がわからず、右往左往。写真は、まさに見たとおりのペンギン岩。
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 ザックを置いて、ぐっと左に回り込んだら「岩の墓場」があったので、そこを詰めたら仏壇岩の基部であった。取り付きがわからなかったので、偵察で基部を左に上がっていく。テラスまで上がると、眼前に広がる岸壁に目を見張った。こ、こんな巨岩が小川山にあったのだ!?
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 これも見たとおりの「モアイクラック」が走る前衛峰(亀頭岩)。この段階で、ペンギン岩=前衛峰の裏側と誤解。
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 「取り付きにはハーケンが打ってある」という情報はあったので、探してみる。恐らくコレだろうというところから、カナダ組(sono&fuku)、kane&megで50mシングルでアンザイレンして登攀開始。アプローチでかなり迷ったため、この時で既に11:30。
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 1P目は後で調べると5.9(40m)。ルンゼ状を進むが、浮石が多くホールド&スタンスも脆くて不安定。カムがばっちり効くような場所も少なく、かなりひやひやしながらの登攀を強いられた。5.9という表記よりもⅤ級とかの表記がしっくりくるピッチであった。
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 右手に見えるモアイクラック、美しい。
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 1P目終了点はテラスになっており、下降支点が整備されていた。そこでビレー。さて、2P目。ワタシは正面のクラックではないかと思ったが、sonoは「右手のスラブにリングボルトが打たれていたとこじゃね?」、と登っていく。(正解は正面クラックで、ここは恐らく中央カンテルート)
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 そうこうしているうちに、megが登ってきた。
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 2P目(5.9、50m)は岩も安定してきて、やっと楽しめる感じ。
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 ルート取りは自然で、途中、コーナーっぽいところもガシガシ登れて、クラックをやっている人なら快適なピッチ。写真は途中から振り返ったところ。
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 50mロープいっぱいで、ぎりぎりテラスへ。残置支点はなく、複数のカムで支点を構築。3P目は、写真の上部に上がったところでsonoは右往左往。右にも左にも行けそうで、最終的には左側から登攀。なお、正規ルートはここで一旦ピッチを切り(5.5)、右側のワイド~ハンド(5.9)を登るみたい。
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 雰囲気は、前穂奥壁。フォローするmeg。
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 3P目を振り返る。なかなかの高度感ではあるが、岩は硬く安定しているので快適。
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 そのままロープを伸ばし、左側から一気に3ピッチで山頂へ!この時、既に16:00。写真は、いつか行ってみたい涸沢岩峰群。
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 屋根岩1~5峰も遠く眼下に望める。
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 が、今度は下降点がない!?トポがないと、そもそも懸垂で降りられるのか、歩きなのかすらわからない。後続のうちらが荷をまとめているうちに、fukuchanが下降点を発見!RCC2本+シュリンゲナッツという心もとないものではあったが、これに頼るしかない。
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 初めてのエリアの下降って、方向とかピッチ長とかわからずに不安が大きい。でも、これもカナダに向けては良い練習だ。
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 うまくピッチを切ることができ、2ピッチの下降でどこかのコル(鞍部)に降り立った。
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 下降路を振り返ったところ。いくらでもルートが作れそうだ。
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 はて、ここで悩む。方角的には下を見て右なのだが、適当な支点はないし、歩いて降りるにはガレガレで悪い。左側に行けば朝通ったペンギン岩の基部まで懸垂できそう。
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 しかし、そこからの回り込みを考えると相当遠回り。時間が迫ってきた。試しに右側に行って見ると、なんとか降りられそう。50mシングルで2回懸垂したら、ぴったりザックのところに降りてくることができた。この時点で18:00。
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 慌てずに荷をまとめて、下降開始。座布団大の岩がごろごろと不安定な状態で積み上がった場所を慎重に下降。ちょっとしたミスで岩雪崩が起きそうなので、ここがもっともリスキーかも。ありがとう、仏壇岩。
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 暗闇が迫るなか、ぐんぐんと高度を下げる。
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 小川山が漆黒の闇に包まれた19:35、林道へ到着。あとはのんびり廻目平まで歩を進め、20:00過ぎにキャンプ場に到着。出発が遅れたこと、4人パーティであったこと、アプローチで迷ったこと、トポがなかったこと、下降で迷ったことなどで12時間行動になってしまったが、カナダ組にとっては良い経験になったことと思う。

 帰ってからトポを見直したら、結果的には「もどき」なルート取りとなってしまった。が、下降路もわからないまま自分達でルートを判断して登っていくのはとても冒険的で、久しぶりにアルパインな雰囲気を楽しめてよかった。アプローチが遠く、岩も不安定ではあったが、「小川山はちょっとな」というアルパイン嗜好の方には良い1本と思われる。仏壇岩はフリーのエリアではなく、そして本ルートは5.9でもない。Ⅴ級を登るつもりで、ぜひトライ頂きたい1本である。

 使用ギア:50mシングル×2本、キャメロット(#0.3~3) 2セット(支点構築を含め、2セットあれば安心)、アルパインヌンチャク多数(特にシングルロープでの登攀であったので、延長に多数必要であった。ダブルなら節約できる)、その他一式。エイリアンかTCUがあったら、1ピッチ目でランナウトしないで済んだかも。

 帰りはお決まり、鮮味館(長野稲里店)で油淋鶏定食で登攀の成功(としておこう)を祝う。
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 久しぶりに登り応えがあるルートを共にしてくれた仲間に感謝!なんとかもってくれた天気にも感謝!
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by kanechins | 2013-07-21 23:23 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

伊豆合宿 day4 「城山・エキスカーション」

 2013年 5月 6日(祝)振替休日
 GW最終日の今日は、相棒のリクエストにお応えして城山・南壁でマルチ。「いくらなんでも、南壁は賑わっているだろう」と思っていたが、結局、この日に南壁を訪れたのは我々と大阪パーティの2組だけ!?ほんと、みんなどこに行ってしまったのだろう?左側の壁が南壁。
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 まずは前菜に「ホームボーイ」(5.8★★)に登る。南壁特有のポケット&ゴーなスラブが楽しい。
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 本日のメインディッシュは、憧れていた往年の名ルート「エキスカーション」(6P、5.10c★★★)。50mのダブルロープでアンザイレンし、トライ。

 1P目(5.10a)はワタシ。スラブ~小ハングまでは、ルートファインディングできれば快適なスラブ。小ハングはボルトもあるし、スタンスもあるので容易。そこから先が核心で、ココに10aが付いていると思われる。森からの沁み出しで湿っておりちょっと怖い感じであったが、スケールも大きく「マルチしてるっ」という雰囲気が溢れた、なかなか充実したピッチであった。ボルト位置は少し遠めではあったが、自然であった。OS/m
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 2P目(5.10b)は相棒。ぱっと見からイヤらしい雰囲気が漂っていたが、あれあれという間に相棒は2ピン目にクリップ。テンションを交えながらも抜け切った相棒よ、あっぱれ。TO/m
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 3P目(5.10c)はワタシ。下部は快適であったが、段差が出始めるところで迷子に。トポには「ルートファインディングが核心」とあったが、一発でムーヴを見い出せずに涙のテンション。
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 まさに右往左往しながら終了点に抜けた。写真は3P目をフォローする相棒。TO/m
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 何年かしたら、今度は冷静にRP目指してトライしてみたい。
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 4P目(5.10a)は相棒。三日月ハングに向かって長大なスラブを登る。相棒は右往左往しながらも見事、OS/m。この高度でのスラブは、なかなか爽快かも。
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 この頃から、猛烈な風に煽られるようになってきた。5P目(5.10a)はワタシ。ハング部は特段に難しい部分もなく、着実に越えていく。いよいよ、二間バンドの森が眼前まで近づいてきた。OS/m
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 こんな絶壁に佇む野鳥。
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 いつも冬にしか来ないので、緑色に輝く大仁の町並みが新鮮。
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 なかなかの高度感。
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 6P目(5.9)は相棒。1ピン目がちょっと遠目だったけれど、何の躊躇もオブザベもなく普通に突っ込んでいき、OS/m。こりゃ、強くなるなぁ。
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 終了点は、ケミカル3本のチェーン連結とゴージャス!
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 さぁ、下るか。複数ピッチの懸垂下降について確認しながら、結局、4ピッチで取りつきまで下ることができた。
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 大阪組は既に岐路についたみたいで、南壁は完全に貸切状態となった。本当に指皮がなくなり、またGW最終日とあって帰り道の混雑も気がかりであったので、これにて伊豆合宿は幕引き。登山道の入口にはジオパークの新しい看板が。
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 三島までは思いのほか道路が住んでおり、「村の駅」で小休止。「しめさば」ならぬ「しめあじ」寿司が手ごろな価格。うまうま。
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 東名も新東名ができたからかガラガラで、あっという間に朝霧高原へ。思ったよりも早く帰ってきたので、音無の滝や白糸の滝を見物しながらマイナスイオンに癒される。
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 さようなら、富士さん。どうも最近、ゴキゲン斜めのご様子。怒りが爆発する前に、一度くらいは登っておいたほうがよいのかな?
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 東北ツアーは残念ではあったけれど、転戦したお蔭で4日間とも天候に恵まれ、予想外に人がいなくて静かに岩と戯れることができた。きっと、例年のGWはもっと暑いんだろうけれど、寒気のお蔭で快適であった。グレードは大したことはないが、ずっと憧れであった「シャックシャイン」「ゼルダ」「エキスカーション」を登れたことも嬉しかった^^。

 信州に帰れば、仕事はいよいよ忙しさを増す。たっぷり充電できたので、明日からまた頑張ろう!これで伊豆はホントに当分はおあずけだな。また、涼しい季節が訪れたら行きたいな。
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by kanechins | 2013-05-06 22:30 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

瑞牆・不動沢合宿 day3

 2013年 4月29日(祝) 昭和の日
 いよいよ不動沢合宿、最終日。今朝も明るくなると目覚めてしまった。これって、ま、まさか!?sonoが持ってきた「ホットサンド焼き器」(正式名称不明)に朝から独りテンションが上がり、焼かせてもらう。これは楽しく、香ばしく、美味しい!ちなみに、パンは「高原のパン屋さん」のゴマ入り食パン。
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 今日は手頃なマルチを求め、コズミック・サーフィン壁にある「果てありの岩稜」を目指す。カーテン状岸壁で小休止。いつみても、なかなかの迫力。
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 以前、ぶらいあん、sonoと3人で登った○友ルートが懐かしくもある。あの頃は元気だったなぁ、遠い目。
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 丸木橋を渡り、不動沢の右岸へ。さらに登山道を進むと、トポにある丸木橋が!?そこから左手奥を目指して森の中を彷徨う。しかし、登れども登れども岩は出てこないし、傾斜が増して歩きづらい。ここで1時間以上、ルートを探して右往左往することに。

 結局、登れそうな場所が見つからない。「もっと上流なのでは!?」ということで、一旦登山道まで戻り、不動滝を目指して登っていく。すると、登山道にかかる丸木橋が次々と現れる。一体、どれがトポの丸木橋?
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 全体像を把握すべく、一旦、不動滝まで上がってみる。おぉ、これが不動滝か!なかなかの迫力である。溢れるマイナスイオンが森に漂っているのか、心地よい空間。
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 不動滝からトポと岩を照らし合わせながら下る。大阪から来たというクライマーがトライアングルフェースに取りついていた。うーん、悪そうなスラブだ。
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 こんなに広大なスラブは見たことがないなぁ~。次回、トライしてみたい。
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 ザックを置いて、再び偵察に。コズミック・サーフィン壁の位置はおよそ推定できたが、トポに合致するクラックが見つからない!?しかも、落ち葉や苔で岩肌は覆われどんどん自然に還っているようだ。周りをぐるっと回ってみるが、これも結局わからず仕舞い。
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 さぁ、いよいよどうするか?カモシカ岩にある「カモシカルート」に行ってみよう、ということになった。しかし・・・これまたよくわからない。カモシカ岩は前回、武田菱ルートを登っているので場所は間違いない。しかし、周囲を彷徨うが、どうしてもトポに合う取り付きが見つからない。写真は武田菱ルートの取り付き。
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 このとき、既に午後1時を回っていた。これ以上ウロウロしても埒もないので、屏風岩・エンペラータワーの「寒々ルート」へ。1P目は5.7のレイバックらしく、ワタシがリードで取りつく。取りつきは湿っていたが、そんなに嫌じゃないのが不思議。下部はレイバックではカムセットを含めて厳しいなぁ。
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 トポには「F2.5~4」(フレンズの2.5~4番)って書いてあったし、見た感じ上部は閉じているように見えたし、グレードは5.7だし、キャメロット1セット+3.5番、4番を担いで取りつく。が・・・登れば登るほどクラックの幅が広くなっていく!しかも、上部は閉じるどころかどんどん開いていく。4番ですら、下部1/3くらいのところまで。傾斜も落ちてくるし、多分、突っ込めば手は悪くないんだろうなとは思うものの、やっぱり未知のパートに突っ込むのは度胸がいる。

 脚もぱんぱんになってきたのでテンションを入れ、ロープを垂らしてキャメロットの5番とフレンズの6番を上げてもらう。その6番ですら、ルートの半分位のところにキメられ、あとは突っ込むしかない。結果的には、傾斜も落ちて手の効きも悪くはないのだが、やっぱりランアウトは怖いなぁ。でも、とても面白い1本であったので、また次回、取りついてみたい。

 sono、fukuちゃんもトップロープで登る。sonoは2P目のチムニーの下見。すんごくきれいなチムニーらしく、思わずワタシも見に行ってしまった。「まさかこんな場所に!?」という隠れた場所に、太陽の光を浴びて輝くチムニーが。これは次回、ぜひ登ってみたい。

 GWで高速も混雑するかもしれないので撤収。松本のKスポーツ、豊科の「きまはち」経由で岐路についた。極太麺が2玉入った「きま八郎」を頂く。
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 さて、GW後半戦に向けて、また明日からお仕事がんばろー! (つづく)
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by kanechins | 2013-04-29 01:24 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

瑞牆・不動沢合宿 day2

 2013年 4月28日(日)
 ほんと最近、明るくなると目が覚めてしまう。まだ寝ている2人を他所に、昨晩の鍋を活用して「うどん」を作り始める。外はド快晴、キンと冷えた空気が心地よい。2人も徐に起き出し、朝食。

 今日は不動沢・前絵星岩を目指す。いつもの徒渉点が消失していたので、カサメリ用の徒渉点まで回り込んで「天然の橋」を渡る。
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 前絵星岩の基部まで上がり、ワタシ-fukuちゃん-sonoのオーダーで50mシングルロープでアンザイレン。久し振りの前絵星はギアがどれだけ必要かわからず、あるだけ揚げて後で大変なことに^^;。
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 1P目(Ⅲ級)はワタシ。出だしに#3を決めたら、一気にバンドへ。難しくはないのだが、切り立ったバンドを歩むのは相変わらず落ち着かない。
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 フォローするsono。ほとんどノープロなので、フォローも落ち着かないであろう。
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 2P目の「ジキル博士」(5.10aに格上げ)はsono。出だしのオフィズスでしばし苦闘。
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 フォローするfukuちゃん。
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 ワタシはといえば、#4以上のおっきなカムを幾つもぶら下げて登ったからか、後ろに引かれてかなりの苦戦を強いられた。何年か前にRPしたのがウソのようだ。2P目終了点にて。
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 3P目はⅡ級のチムニー、荷が重いと苦しい。
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 4P目は「新緑荒野」(5.10a)に合流。何を誤ったか、ワタシがトップ。「今度こそオールフリーで抜けてやる!」と気合十分だったのも束の間、ボルトが打ってあるところでA0が入ってからぐだぐだに。。。
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 写真は、フォローするfukuちゃん。
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 リーチもタッパもあるfukuちゃんでも、ここはやっぱりお手上げだったみたい!?
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 それにしても、チムニー寸前のオフィズスってホントに大変だ。
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 5P目はsono。ほどなくして、前絵星岩の山頂。
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 十一面に触れるのはまだまだ先のようだ。
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 2回の懸垂で中間テラスへ。
 
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 もっと修行を積んで、再訪したい。
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 大して登ってもいないのに、全身ばきばき。慣れないワイドに体が悲鳴をあげているようだったので、「増富の湯」で疲れを癒す。 (つづく)
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by kanechins | 2013-04-28 23:34 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(2)


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