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剱岳・源次郎尾根 day2

 2017年9月10日(日)
 午前2:50起床。昨晩は隣のテントから0時過ぎても話声が聞こえた気がする。テントを打ち付ける雨音にも何度か起こされ、眠い目を擦りながらバーナーを点火し、目覚めのコーヒーを淹れる。

 朝食を作りながら、テントを撤収しやすいように荷物をまとめる。 
 03:40、ヘルメットにヘッドランプを装着し、テントを残して出発。剱沢小屋脇から剱沢に入る。下見をしていたので、迷わずにぐいぐい高度を下げていく。

 このルートだけは先行者を許したくなかったので、周囲にヘッドランプの灯りが見えずに、心底ほっとした。

 雪渓に入り、6本爪アイゼンを装着。早朝の雪渓はカリンコリンに凍結していたので、軽アイゼンを持参して正解。ザクザク降りれるので速い。右岸から離れすぎないよう下降し、平蔵谷出合いへ。

 明るい時とは全く雰囲気が異なる。「取り付きには蛍光テープの目印があるかも」と言われて来たが、そんなものは存在しなかった。よかった。

 およその見当をつけてガレ場を登ると、1発で取り付きの踏み跡に。いや、ほんと下見しておいてよかった。
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 04:35、登攀開始。踏み跡は比較的に明瞭だが、真っ暗闇なので、所々、迷いの踏み跡に悩まされる。初登者の気持ちになって弱点を狙っていけば、自ずと正しい道にたどり着く。明るければなんともない道なのだろうが。
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 05:00、東の空が白み始める。
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 じきに、ハーケンが打ってある垂直の岩場。昨晩の小雨で濡れていて、ちょっと悪い。墜ちれば、後ろの巨岩に打ち付けられそうな恐怖感もあったが、わくわくしている自分もいる。短いがⅣ級以上あると思われ、岩登りに慣れていないメンバーがいる場合は、迷わずロープを出した方が良さそう。
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  右手から対岸の尾根が迫ってくる。
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 尾根上は、所々岩が露出している。支点はなかったと思う。墜ちるような難しさはないが、不意にホールドやスタンスが取れれば墜落の危険もあるので、一手、一手慎重に登る。
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 眼下に剱沢が望める。
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 露出した岩尾根は硬く、なかなか快適。
 天気が悪い時にはあまり登りたくないなぁ。このような場所が点在するので、いざ撤退となると、かなり面倒なことになりそう。
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 剱沢キャンプ場がある、剱沢源頭を振り返る。
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 堕ちるような難しさはないが、墜ちればひとたまりもない。
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 05:55、ルンゼルートと合流。上部は崩落が進んでおり、ブッシュを高巻く。写真左上がⅠ峰。
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 05:45、稜線に太陽が上がる。
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 朝陽に照らし出される剱沢源頭。
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 尾根上を忠実に辿ると、ふと壁に行き当たった。
 あちこちに踏み跡が散在し、右と左のルートを確認。直登する踏み跡もあるが、上に行くほど壁が立ってくる様子。ろくに支点も取れなそうで、行き詰るのだけは避けたい。尾根全体を俯瞰し、右手が弱点と判断。
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 踏み跡を辿ると、大きなスラブ壁が。まるでココを通ってください、とばかりに右上する溝が走る。右下は数百メートルの崖となっており、滑落は許されない。
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 慎重にスラブをトラバースするはねとん。「ルート違うんじゃね?」と何度も言われるが、もう戻ることはできません。
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 地形図から、右手の尾根に上がるのが正解と判断し、右側のスカイラインに沿って登る。踏み跡も多々残っているので、あながち間違いとも思えない。
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 じきに明瞭な踏み跡へ。もしかしたら、もっと楽なトレースがあったかもしれない。都度、弱点を突いてベストのルートを選択してきたと思うので、良しとされたい。
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 07:00、源次郎尾根Ⅰ峰(2,709m)山頂。
 剱岳山頂、Ⅱ峰が眼前に聳える。圧巻である。
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 07:15、Ⅰ峰とⅡ峰のコル。Ⅰ峰の下降は歩きで、なんら問題なし。
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 Ⅱ峰の登りは傾斜が強そうに見えたが、右手にハイマツ、左手に硬い岩をホールドできるので、むしろ楽しいくらい。
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 07:35に、あっけなくⅡ峰山頂に到達。冷たい風が強く当たる。
 下降地点には、頑丈な鎖が。が、下を見て愕然とした。
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 「これ、50m位あるんじゃね?」「もしかして、50mが2本必要だった?」と焦る。ハングしており、ロープを投げても下の様子がわからない。ロープ1本と思い込んでいて、ろくに確認してこなかった、反省。

 最悪、登り返してシングルで降りることも覚悟し、空身で下降。周囲のスケールが大きすぎて目が錯覚したらしく、50mロープ折り返しでテラスまで降りることができた。はねとんにザックを降ろしてもらう。
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 08:00、下降終了。恐らく、これで核心は全てクリアしたと思われたので、ゆっくりブランチを摂る。右手に八ツ峰が迫る。中央の巨岩が「熊の岩」っぽい。下の雪渓にはテントが3張。
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 08:15、剱岳本峰を目指して登り始める。
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 核心を過ぎたといっても、過信は禁物。迷い道も多いので、先を見て慎重にルートを取る。
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 そして、09:05に多くの人で賑わう剱岳山頂(2,999m)に初登頂!
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 名残惜しいが、09:25に下山開始。まずは、カニの横這い。隠れて見えづらいが、スタンスは豊富。
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 下から見上げたところ。
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 アンカー3本に鎖が6本、さすが。餓鬼岳の針金1本と対照的。
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 登りルートの、カニの縦這い。
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 ここを越えれば、平蔵の頭(へいぞうのずこ)。
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 登りルートと下りルートが分かれている。
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 ガスが退くと、富山の街並みまで一望できる。
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 源次郎尾根が一望できる場所から。
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 前剱への登り返し。
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 09:55に前剱(2,813m)をスルー。ここの下りも事故が多いらしい。
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 下降途中から前剱を振り返る。なかなかの傾斜である。
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 下が武蔵コル。一服剱(2,618m)へ若干の登り返し。
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 一服剱を越えると、剱山荘が見えてきた。
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 剱沢小屋から剱沢へ延びる道。雪渓が融けるに従い道が下がっていくので、これだけ多くの道ができるのかな。左下に黒ユリの滝が望める。
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 11:20に剱山荘着。ここもスルー。
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 剱沢源頭まで来ると、源次郎尾根の全容がわかる。中央右がⅠ峰。
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 拡大。Ⅰ峰に突き上げる14ピッチのルートがあるらしい。
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 11:45、剱沢キャンプ場に帰着。テントをひっくり返して、床を干しながら昼食。出来ることなら、帰りたくない。
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 最終トロリーバスに遅れる訳にはいかない。テントを撤収して、12:30に出発。
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 さようなら、剱岳。
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 なんだろ、別山乗越が遠く感じる。フィジカルなものなのか、メンタルに起因するのか。歳か、いんや違う。
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 13:00、剱御前小屋。
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 いつか、今度は八ツ峰へ。素晴らしい1日をありがとう、剱さん。
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 13:20、雷鳥沢に向けて下降開始。
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 14:10、雷鳥沢キャンプ場。15分休憩。
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 14:25、出発。写真は雷鳥沢キャンプ場と、左が別山、右が真砂岳。
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 15:05、室堂着。みくりが池越しの雄山。
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 15:40のトロリーバスに、無事に乗車。お疲れ様でした。

 初めての山域、初めてのルートは、難易度が高くなくても冒険心を満たしてくれる。また、尾根を詰めて頂きに上がるルートは、とても楽しい。ルート内容も充実し、初登者には頭が下がる。

 登りそのものの難易度的には、一部難しい岩場があるものの、高くはない。しかし、絶対に滑落が許されないパートがほとんどであること、標高差も高いこと、撤退が容易ではないことから、気楽に取り付けるルートでもないと感じた。

 もし紐付きでガイドされていくのであれば、体力のある中学生なら登れてしまうだろう。しかし、初見で自らルートや天候判断していくとなると、なかなかに経験と体力が必要となる、手応えのある素晴らしいバリエーションルートと思う。

 忘れかけていた剱岳。共に歩いてくれたはねとんには心から感謝。

(参考コースタイム)
2017.9.9
9:00 室堂
9:45 雷鳥沢キャンプ場(0:45 CT不明)
10:50 剱御前小屋(1:05 CT2:00)11:00発
11:30 剱沢キャンプ場(0:30 CT0:40)
12:10 偵察開始(1:50)
14:00 帰着
~実行動時間 4:10

20017.9.10
03:40 出発
04:35 取り付き(0:55)
07:00 Ⅰ峰山頂(2:25)
07:35 Ⅱ峰山頂(0:35)
09:05 剱岳山頂(1:30)9:25発
09:55 前剱(0:30)
11:20 剱山荘(1:25)
11:45 剱沢キャンプ場(0:25)12:30発
13:00 剱御前小屋(0:30)13:20発
14:10 雷鳥沢キャンプ場(0:50)14:25発
15:05 室堂着(0:40)
~実行動時間 9:45(2日間計 13:55)

(標高差データ)1/25,000図から算出
初日(偵察無し)累積登高505m、下降477m
初日(偵察含む)累積登高815m、下降787m
2日目 累積登高1,656m、下降1,684m
合計(偵察無し)累積登高・下降2,161m
合計(偵察含む)累積登高・下降2,471m
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by kanechins | 2017-09-10 11:54 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

剱岳・源次郎尾根 day1

 2017年9月9日(土)day1
 永いこと山を登り続けているが、剱岳は未踏。北アルプス連峰の中でも、剱岳の存在感は格別。どうせならバリエーションルートから登りたい山、と思っている内に機会がなく、この歳になってしまった。

 そんな折り、お盆にはねとんから「源次郎どうよ?」と言われて二つ返事。しかし、天候に恵まれず延期。
 そして、この週末がやってきた。天気予報は好天を告げ、申し分ない。二人とも剱岳は初めてなので、心地よい緊張感もあってなお良い。偶然にも今日は剱岳の日らしく(H29.9.9)、お膳立てはばっちり。

 7:00に改札集合だったのでのんびり出発するが、忘れていた。扇沢の混雑振りを。
 06:45に扇沢着。市営第一は既に満車、第二は閉鎖。第三駐車場に戻っても駐車できる保証はなく、時間も迫っていたので有料駐車場(1日1,000円)へ。

 チケット売り場には長蛇の列。WEBチケットという窓口があった。事前にネットで予約すれば、並ばずに済むのかな?
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 無事にはねとんと合流し、始発である7:30のトロリーバスに乗車。黒部ダムを渡る。
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 この時期は毎日、観光放水しているらしい。
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 ケーブルカーに乗車の際、ロープウェイの整理券を頂く。
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 黒部平駅で、最初のロープウェイに乗車。グリーンシーズンのたんぼ平を眺めながら、大観峰まで空中移動。
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 再びトロリーバスに乗車。トレラン風の方が数名。
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 9:00に室堂(標高2,432m)着。左が雄山、右は浄土山。
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 みくりが池と別山。
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 雷鳥荘が見えてきた。
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 下が雷鳥平キャンプ場、コル(別山乗越)にあるのが剱御前小屋。来シーズンは、滑りに来たいな。
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 9:45、雷鳥沢キャンプ場(標高2,260m)。
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 休まずに足を進める。雷鳥沢沿いに高度を上げ、途中から尾根に。振り返ると、右手に奥大日岳が見えてきた。
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 箱庭のような、室堂。
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 10:50、剱御前小屋(標高2,755m)着。間近に迫る剱岳が。はじめまして、だ。
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 20分ほど休憩し、11:00発。カール右手の裾を巻くように進む。
 じきに、色とりどりのテントがひしめく剱沢キャンプ場が見えてきた。
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 11:30、剱沢キャンプ場(標高2,460m)着。始発で来たためか、スペースは一杯空いている。水場にも近い好適地にテントを設営することに(これは失敗)。
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 野営場管理所の建物には、診療所と剱沢警備派出所(山岳警備隊)も併設。特にルートに問題は無さそうだ。
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 テントを設営し、12:10に源次郎尾根の偵察に向けて出発。
 逆さ剱が映える小池に寄ったり。
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 写真中央右の双耳が源次郎尾根Ⅱ・Ⅰ峰のようだ。剱沢へ下る道は踏み跡だらけ。明日は真っ暗の中で行動するので、歩くルートを決めておく。
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 黒ユリの滝を過ぎて5分位で雪渓末端に。この時間帯は雪渓表面が腐っており、アイゼン無しでも歩けた。
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 雪渓中央を避けてぐんぐんと下る。左手から平蔵谷が入り込むところに、巨大な岩が。その対岸に、源次郎尾根の踏み跡を見つける。
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 見上げると、巨大な源次郎尾根が天に向かって伸びていた。なかなかの迫力。
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 再び、キャンプ場に向けて300m以上の登り返し。写真は黒ユリの滝。
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 14:00にテント帰着。受付(1人1泊500円)を済ます。「初めて」と言ったら、消毒して飲用可の水道と冷たい沢水が汲める水場(共に無料)、トイレ2カ所を説明してくれた。振り返れば、別山が。なんという素敵なロケーション。
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 時間がたっぷりあるので、持参したワインを開けて剱岳に向かって乾杯。いつもながら、贅沢な時間を過ごす。夕ご飯を食べ終える頃には、深い霧に剱岳は包まれてしまった。
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 明日は早いので、18時前に就寝。しっかり休めそうだ。

 ところが、どこから歩いてきたのか、18:30過ぎにヘッドランプを点けたパーティが到着し、すぐ横にテントを設営。遅い夕食の後に宴会が始まった、汗。テント泊の登山者が随分と増えた感があるが、もう少しマナーに気を配って頂きたいところである。(つづく)

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by kanechins | 2017-09-09 23:33 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

穂高合宿day3(涸沢~上高地)

 2017年7月17日(祝)
 前線の通過に伴い夕方から降り始めた雨は、空が白み始めるまで降り続けた。今日はのんびり、午前5時半に起床。朝食を摂り、テントを撤収。
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 昨日登った前穂高岳・北尾根を、涸沢ヒュッテ越しに望む。
 忘れた頃に、また訪れたい。
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 何度訪れても、天気が悪くても、ここはやはり楽園であった。
 3日間、ありがとうございました。
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 名残惜しいが、7:30に下山開始。
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 8:50、本谷橋。
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 9:30、出発。
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 10:30、横尾着。10:50、出発。
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 あのスカイラインを歩いてきたと思うと、感慨深い。
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 11:50、徳沢園着。名物、ソフトクリームを頂く。んー!うまい!
 12:20、出発。
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 明神をスルーし、14:00に河童橋。生憎の天気で、穂高は雲の中。
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 14:05、上高地バスターミナルに帰着。連休だから、バスに乗るのに長蛇の列かと思っていたが、1台分待っただけで乗車することができた。
 
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 生憎の天気ではあったが、合宿に相応しく、久しぶりにがっつり歩くことができた。前穂~奥穂周遊ルートは初めてではあったが、美味しいところを2つも頂けるので、これはこれでよいルートと思った。前穂から下るほうが、後々はラクではあるが、汗。

 3日間ご一緒させていただいた、しげのり夫妻に感謝。
 また、どこかの山を登りましょう~。

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by kanechins | 2017-07-17 20:24 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

穂高合宿day2(前穂高岳・北尾根~奥穂高岳)

 2017年7月16日(日)
 午前2:30起床。テントから顔を出すと、漆黒の夜空に星が散りばめられている。機内モードを解除し天気図を確認すると、太平洋高気圧の縁にある前線が昼頃に南下するようだ。それまでには、稜線には出られるであろうと判断。

 各々で朝食を摂り、アイゼン、ピッケル、ヘッドランプを装着して、涸沢を午前3:55に出発。(撮影:しげ)
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 例年よりも雪が多いと聞いていたが、7月に入ってからの高温と多雨により、かなり融雪が進んでいた。
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 北穂方面の雪も、思っていたよりも少ない。
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 途中でアイゼンを外し、礫地帯を登る。
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 5:25に5・6のコルへ。テントは2張程度張ることができる。ブヨだらけで、48のミントスプレーを拝借。5:35、出発。
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 まずは、5峰の登り。下部はリッジ状を辿る。(撮影:しげ)
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 主に奥又白側に巻きながら、踏み跡を辿る。
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 こんにちは、槍ヶ岳。
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 5峰への登りは難しくはないが、滑落が許されない部分が多々ある。
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 5峰に立つと、そそり立つ4峰が現れる。ぱっと見は、かなり険しい。
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 先行パーティは既に4峰を登り終えている様子。6:25、4・5のコル。北部の峰々がガスに飲み込まれ、槍ヶ岳周辺の峰々にもレンズ雲がかかり始める。天気が荒れるのは時間の問題だ。休まずに、先を急ぐ。

 4峰は涸沢側から入り、ぼろぼろのルンゼを詰めるところから始まり神経を使う。(撮影:しげ)
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 右に左に偵察を繰り返しながら、高度を上げる。ロープが欲しくなるような場所に出たら間違いで、少し戻って反対側を見ると、ちゃんと弱点がある。ルートファインディングが楽しめるパートである。

 奥穂高岳。雲が厚みを増してきた。
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 要所要所に、下降用の支点がある。
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 できるだけ、岩が硬い部分を選ぶ。(撮影:しげ)
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 途中から涸沢側を登るようになる。行き詰ったところで、奥又白側へトラバース。
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 何年か前に、sonoと登った前穂高岳・奥壁が見えてきた。こんなところを登っていたのか!?
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 4峰の頂きまで上がると、いよいよ核心の3峰が見えてきた。取り付き、中間部そして上部に人がいるのがわかる。3・4のコルへは、つい踏み跡がある奥又白側に入りがちであるが、山頂まで詰めるのが正解。
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 取り付き周辺の様子。
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  7:45、3・4のコル。先行パーティが登っている間に、ハーネスやギアを装着。あまり時間に余裕が無さそうであったので、トップで行かせて頂く。ありがと~。8:00、出発。

 先行パーティは30m位でピッチを切っていた。こっちは、50m一杯までロープを伸ばして確保体制に。1P目はⅢ級程度?
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 2P目はチムニーから。立体的な動きが楽しめる下部、テクニカルな動きが楽しい上部に分かれる。Ⅳ級あるかないか。写真は、先行パーティのロープ。
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 3P目は歩きから。
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 山頂直下の抜け口は、ややかぶっていてパワフル。(撮影:のり)
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 3峰の山頂直下で、とうとうガスに追いつかれてしまう。
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 程なくして、3峰の山頂。写真は、懸垂下降地点。
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 わずか10m程なのであるが、過去に岩を抱いたまま落ちた人の話を聞くので懸垂下降する。
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 2峰、そして本峰への登りは歩き。コンティニュアスでロープを引くも、傾斜がなく、湿って重みが増したロープはずしりと重いが、足取りは軽い。
  
 そして、10:10に前穂高岳(3,090m)山頂!
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 荷をまとめ、軽く食事を摂る。天気は徐々に悪化しているので、先を急いで10:30に出発。岳沢から上がってくるガスはどんどんと濃くなり、暗くなってきた。どこも歩けそうな道だけに、マーキングに救われる。
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 11:00、紀美子平。さすがに、この予報で奥穂方面に進む人はいないようだ。
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 休憩もほどほどに、強い風、時折混じる雨の中、吊尾根を進む。迷いの踏み跡が多く、このガスではマーキングがないとタイムロスにつながりそうだ。

 途中から雨が本格的に降り出し、強風と3,000mという標高に体温が奪われる。ゆっくり、しかし確実に歩みを進め、12:50に日本第3位の高峰、奥穂高岳(3,190m)山頂。なんか、晴れた奥穂に来たことがない、苦笑。
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 風は益々強さを増し、すぐに出発。強い西風に耐えながら高度を下げ、後半の鎖場、ハシゴ場を慎重に下る。
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 そして、13:35に穂高岳山荘着。油断はできないが、ほぼほぼ安全地帯に降りてきた感じでほっとする。
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 残ったパンを頬張りながら、小屋で暖かいコーヒーを頂く。おー!冷えた身体に染み渡るコーヒーの香り!こんなにおいしいコーヒーは久しぶりである、ご馳走さまでした!14:10、出発。

 ザイテングラードは雪はほぼ無し。濡れた岩尾根を慎重に下る。
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 ザイテングラードの末端。
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 ここから北へ大きくトラバースし、涸沢小屋方面に下るトレースを辿る。
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 そして、16:15に涸沢小屋着。お疲れ様でした!

 一旦テントに戻って荷をまとめ、涸沢ヒュッテへ。この天気なので、連休中日なのにテラスはガラガラ。ビールで乾杯し、ラーメンを頂く。体が塩分を欲しているのがわかり、これまた美味しい!
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 そうこうしているうちに、また雨が本格的に降り始めた。屋根の下で雨が遠のくのを待つが、前線の真下にいるのか止む気配がない。まぁでも、涼しい涸沢でのんびり過ごせるのは贅沢なことである。

 雨が弱まった隙にテントに戻ると、やはり今日も暗くなる前に寝息を立て始めたようだ。(つづく)

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by kanechins | 2017-07-16 21:48 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

穂高合宿day1(上高地~涸沢)

 2017年7月15日(土)
 連休は、山岳会で4ヶ月前から計画していた穂高合宿。午前5時半にしげ、のり夫妻と沢渡で合流。知らぬ間にバスターミナル周辺が新しくなっており、バスの始発もバスターミナルに変わっていた。

 上高地への往復バスチケット(2,050円)を購入し、ホームへ。まるで、空港のターミナルみたいにお洒落な感じ!
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 連休なのですんごく並んでいるかと思いきや、ガラガラ?予報が芳しくなかったからかなあ。6:10、バスは定刻に発車。
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 大正池と、我々が目指す穂高連峰。
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 6:30分過ぎに、上高地バスターミナル着。連休の割りに閑散としていてびっくり。
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 登山届を提出し、6:50に出発。
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 河童橋にて。
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 7:35に明神を通過。予報は芳しくなかったが、なかなかの好天に感謝。
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 明神はスルーし、8:35に徳沢に到着。20分ほど休憩。

 9:45に横尾着。トイレが増設され、ベンチも追加されていた。
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 慌てる旅でもなし、30分休憩。昨晩はほとんど寝ていないので、心地よい眠気が襲ってくる。10:15に横尾発。
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 今日も屏風は輝いている。
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 11:15に本谷橋。キャンパーが多そうだったので10分ほど休憩して、場所取りをしに先に出発。崩落地はよく整備されており、歩きやすくなっていた。
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 涸沢直下の雪渓。すごく雪が多いと聞いていたが、今月からの多雨と高温で融雪が進んでいる様子。
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 そして、12:40に涸沢着。いつでも、この瞬間は嬉しい。
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 テントの受付(1,000円/泊)を行い、設営に入る。今年は階段状に雪を掻いてあって助かったが、幅が狭いのがちょっと難点。
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 じきに、しげのり夫妻も到着。
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 夕方には、テント場はカラフルなテントで彩鮮やかに染まっていた。
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 しげのりは、涸沢カレーで夕ご飯、美味しそう!
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 ワタシは焼きビーフンを調理。ビールが合うのよね。
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 階段状に雪が切ってあるので、テントは整然と並んでいた。
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 予報では前線の南下により良いことは言ってはいなかったが、少なくとも朝のうちは悪くはなさそうだ。

 日没と同時に就寝。
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 普段は寝付けないこともあるが、昨晩の寝不足と今日の疲れで、あっという間に寝入ることができた。(つづく)

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by kanechins | 2017-07-15 21:30 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

瑞牆山「調和の幻想」。

 2015年10月 4日(日)
 2時間ちょっとの睡眠を経て、04:30に起床。
 05:30にRicky、sonoと合流して、一路、瑞牆山を目指す。

 午前9時に末端壁に到着。まだ太陽光が谷底まで届かず、肌寒い。
 何パーティーかが、正面壁か奥壁を目指して登っていく。

 ギアを整え、じゃんけんでオーダーを決めて09:45に登攀開始。
 右側のラインが「調和の幻想」(5.10a、5P、145m)である。
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 1P目(5.9+、30m)はワタシ。出だしのテラスまでが濡れており、及び腰に。出だしのワイドは入るに狭く、しかし、トポにあるように右側のフレークだけで突っ込む技量も度胸もない。ワイドに挟まり6番を入れる。

 決まったところで、右側のフレークも使いながら、ずりずり上がっていく。が、ワイド技術が未熟なワタシに登れるほど甘くはなく、早速1テン><。とにかく抜けないことにはお話しにならない。なんとかかんとか上がっていく。ワイドパートが終わり、一段乗り越すが、支点が取れずに汗が噴き出す。

 慌てて5番を上のクラックに入れようとするが、狭すぎてボトミングになってしまった。そうこうしているうちに腕がパンプしてきた。回収しようとした瞬間、おっきな5番カムが顔面を直撃して前歯を欠損><。とにかく、テラスへ上がる。
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 2P目(5.8、20m)はRicky。出だしはワイドっぽい感じ。クラックの奥にフィンガーがあってそれで体を上げる。フィンガーの感覚が未熟なワタシには、体を上げるのに四苦八苦。その後はスラブを越え、左側のテラスへ上がる。
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 3P目(5.9、20m)はsono。カンテの右下のテラスへ上がり、左上の木の生えたテラスを目指してフェースを直上。そこから右に迂回して上に抜ける。
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 ふと横に目を送ると、巨大な垂壁を登るクライマーが。
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 4P目(5.10a、30m)は、再びsono。立木とスラブの間をバック&フットで登り始める。スラブ面に移ってからダイクを右にトラバース。リングボルト1本にクリップ。
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 さらにスラブを上がり、左へトラバース。見ているほうもシビれるムーヴメント。左のクラックにカムを入れてからは、水を得た魚のように登るsono。やるなぁ!
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 そして、5P目(5.9、45m)はRicky。ノーピンのままオフィズスに入る。登りは安定感バツグンであるが、見ているほうがヒヤヒヤするピッチである。
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 持ち弾を上手に使い、上部のオフィズスも越えていく。
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 フォローは上からロープが垂れているので、素直に楽しむことができる。
 と思うのも束の間。ここを越えると、このピッチの本当の核心が現れた。5.8はここに付いている。
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 ここを越えると、いよいよ終了点である。
 Ricky、お疲れさまでした&ありがとう!強いわ、あなた!
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 捨て縄2本で支点を補強。
 古いシュリンゲを整理しようとしたが、ナイフを5P目取り付きに置いてきてしまっていた。
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 5P目取り付きで、一旦ピッチを切る。
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 荷物を回収し、ここの下降点も捨て縄で整理する。リップにダイクが走っており、ロープの回収に苦労しそうだったので、コブをずらしながら下降し、3P目取り付きへ。ここから取り付きまで下降できたので、下降は3ピッチである。

 取り付きはすごく賑わっていた。
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 未熟さが痛いほどわかった一日。
 それでも、天候に恵まれ、静かで豊かなクライミングを共有させてくれたお二人に、心から感謝。

 使用ギア:50mダブル、スモールカムを含む2セット+5番、6番
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by kanechins | 2015-10-04 20:39 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

瑞牆合宿 day2(十一面岩・錦秋カナトコ)

 2015年9月6日(日)
 午前6時起床。「午後から雨」という予報のなかで未知のマルチルートに行くのは憚られたが、合宿の目標でもあったので、行けるところまで行ってみることに。
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 7:00に植樹祭広場を出発。
 7:30には十一面岩・末端壁。さらにルンゼを登り、正面壁基部に7:50到着。燕返しのハングを過ぎ、取り付きを探す。

 左岩壁の左端に「逆くの字」のフレークを発見。Fukuちゃんとダブルロープで結びあい、8:20に登攀開始。
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 1P目(5.8、30m)はワタシ。フレークを叩くと軽い音がし、カムをセットするも墜ちられない。丁寧に足を拾ってフレークを越え、ルンゼ状を左上。
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 ガスが少しずつ上がってきた。
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 クラックをつないで、最後はスラブ。
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 2P目(5.10a、25m)はFukuちゃん。出だしがシビアっぽく、体重差があるだけにビレイも緊張。上手にスラブ面に入り、ボルト2本をつなぐ。その先も数手が難しそうであったが、無事に越えた、ぱちぱち。
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 3P目(Ⅲ、30m)はワタシ。歩きだと思っていたが、途中からルンゼ状の草付き。先が読めなかったので、念のためにランナーを取ってビレイしてもらうが、なんてことはなかった。

 4P目(20m)はFukuちゃん。屏風状の岩まで歩き、左端にある岩を乗っ越すとテラス。

 5P目(5.8、40m)はワタシ。
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 残置されていたナッツをスルーし、2度ほどマントルを返すとテラス状。
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 そこからは幾つかルート取りできそう。弱点をついて、クラック&スラブを越えていく。
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 短いオフィズスを越えると、肩のテラスへ。結局、おっきいカムを持ってはきたけれど、使う場所がなかった。ザックが引っ掛かりそうだったので、取り付きに置いてくるよう指示(後で後悔)。時折、霧状の雨が舞ってきて焦りを隠せない。
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 6P目(5.7、10m)はFukuちゃん。リングボルトに支点を取り、カンテを上手に使ってスラブ面をあがる。10:10、カナトコ岩の頂上へ!
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 天候悪化は必至。写真を撮って、10:20に速やかに下降開始。支点は新しめのリングボルト2本+残置ビナ2枚。
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 チムニー状をダイレクトに下降し、木が生えた広めのテラスへ。
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 テラスからの下降支点を探すが、木からシュリンゲで伸ばした残置ビナ2枚が。延長してあるものの、リップから遠く、ロープ回収はシビアそうだ。
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 困ったことに、5P目の取り付きにザックを置いてきたので、回収に。そこから、できるだけ右に回り込むが、木がうるさくてロープの取り回しに苦労する。
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 かなりロープは重かったものの、無事に回収できてよかった。4P目は歩きで下降し、3P目は残置シュリンゲを使って懸垂。

 宴会テラスには、頑強な立木に立派な下降支点が構築されていた、感謝。
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 そこからは、50mロープダブルで1回で取り付きまで下降することができた。
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 11:10、ルート基部に帰着。グレードは低くとも、2人とも未知のルートをオンサイトできたことは素直に嬉しく、Fukuちゃんとグータッチ。

 喜ぶのも束の間。いつの間にか南アルプスはすっかり雲に覆われ、雨足が届くのも時間の問題。
 ギアを分け、パッキングしなおして11:30、下山開始。

 ノンストップで降り、12:10には植樹祭広場へ帰着。
 車に到着すると同時に、ざーっと雨が降ってきた。ぎりぎりセーフ!
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 グレードはさておき、未知のルートを登るという行為は、先が読めないだけに冒険的であった。
 天候悪化の兆しもあり、久しぶりに緊張感をもって登ることができた。どきどきしながらも、素晴らしい時間を共有してくれたFukuちゃんには感謝。実際に使用したギアは、C0.5~3まで1セット。

 帰り道。お決まりの「天鳳」にて「安養寺ラーメン」。うーん、安定のおいしさ。
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 佐久平駅でFukuちゃんと再会を誓って別れ、帰路についた。
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by kanechins | 2015-09-06 23:07 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

セルフレスキュートレーニング。

 2015年 5月10日(土) day1
 この週末は、所属山岳会で毎年行っている「セルフレスキュートレーニング」で大町へ。最近、周りで立て続けに事故が発生している。今一度、しっかりと確認しておきたいと思っていたので、タイミングはばっちりだ。

 まず、朝のKY。他のパーティも大勢いるので、ギアなどの落下に気をつける。
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 早速、事故の対応から。想定は、「ダブルロープで、明星山のマルチピッチを登攀。2ピッチ目で1ピン取ったところでリードがビレイヤーよりも下に墜落し、意識不明。下は川になっていて降ろせない」という状況で、どうするか。

 事務局のsono、遭難対策委員のワタシでペアを組んで、早速開始。まずは、sonoがリード。
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 ワタシはフォローし、テラスでツルベに入る。1ピン目をかけたところでフォールし、ビレイヤーよりも下で意識を喪失。(安全のために、セルフを取る)
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 sonoは引き上げを試みるも、体重差がありすぎて引き上げ不可能と判断。携帯で留守宅へ連絡。留守宅は会長であるお父さんへ連絡。会員へはメーリングリストを実際に使って連絡し、事務所へギアを持って集合する想定。

 救助隊として、44&Hidekiが。44がリードし、テラスへ。そこへ、登ったロープをFIXする。
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 レスキューに必要なギアを担いだHidekiは、川の対岸から引いたロープを引きながら、アッセンダーでフォロー。
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 その間に、44は1/3引き上げシステムを構築し、2人でワタシの引き上げに入り、テラスまでの引き上げに成功。吊り下げの準備に入る。対岸の救援隊は、斜張りのロープテンション確保と搬出の準備。
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 斜張りを介して、ムンターでワタシを対岸へ降ろす。
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 下部でも誘導。
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 ブルーシートを使い、ヘリがアプローチできる場所まで搬出。
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 この一連の動作を、順々に行う。全てがこれで対応できる訳ではないが、一連の流れを反復することで、対応手段のイメージが固まった。

 夜は、山岳総合センターへ。遭難対策委員で作成した緊急時対応マニュアルと救援要請チャートの内容確認。幾つかの修正ポイントを指摘いただき、より良いものに仕上げたい。お父さんからは、ヘリが到着したときの対応や、事故が多い懸垂下降について、資料を交えて教授くださった。

 医療委員であり、看護師でもあるえりちゃんからは、傷病者評価システムの説明。まず、自分とパートナーの安全を確保し、ついで第3者、傷病者の順に安全を確保する。救命のために、神経系の確保(AVPUや脊椎の損傷確認)、呼吸器系の確保(気道、呼吸)、循環器系の確保(脈、止血など)など。

 また、先日、えりちゃんと一緒にウィルダネス医療の講習を受けてきたsonoからは、ボリュームショック(血液損失によって引き起こされる還流圧不足)とその処置、呼吸器系トラブルの対応、脳機能の評価、体温調節や、熱疲労、熱射病、低ナトリウム血症とそれらの対応について講義してくれ、非常に勉強になった。

 21時過ぎまで及んだ講義を追え、お酒も入ってフリートーク。お父さんは、ネットで調べた様々な事故の記録を持ってきてくださり、今までの事故やヒヤリハット経験について語り合う。事故は起きないに越したことはないが、起きてしまってからどう行動するか、考えるよい機会となった。


 2015年 5月10日(土) day2
 朝のKY。シーズン前だからか、今日も人工壁は3つの会で大賑わい。
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 昨日の復習を行う班と分かれ、お父さんと44にボルト打ちについて。改めて見ると、リングボルトの軸の細さと短さには驚かされる。しかし、実際に打ってみると、それも仕方がないこともわかる。
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 手打ち用のギア。
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 持参した石に、ハンマーで実際に穴あけ。こ、これは大変!
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 センターの許可を得て、支点構築の練習に使える支点打ち。実際にハンマードリルを使って、ハンガーを打たせて頂く。RCCボルトも、実際に手打ちで穴を開けて打たせてもらったが、柔らかいとされるコンクリートですら、1本打つのに20分くらいかかった。これを、アブミに乗りながら延々打ち続けるだなんて。クラシックルートの開拓者に、改めて敬意を表したい。
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 懸垂下降時にロープが足りなくなり、あとほんの数m降りたいときにどうするか、を検討。シュリンゲの継ぎ足しで降りる方法を確認。
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 斜張りを使ったロワーにも、みんな随分と慣れてきた。
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 sonoと、斜め懸垂。今年、もし丸山東壁に行くとすると、必須の技術となる。
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 ランナーの位置や長さ、最初に下降した人のロープの張り具合など、実際にやってみてわかることも少なくなかった。
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 人工登攀もやっておく。ボルトが近いので、それほど極端な立ちこみは要らない。もう少し、ボルトが遠いルートもあったらよいな。以前は考えなくても体が動いたものだが、やっていないと手順を考えながらでないと登れない。
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 まずは、事故を起こさないこと。山で事故がひとたび起これば、その対応は厳しく、そして大変であることも再確認できた。これから本格的なシーズインを迎える。事故なく、笑顔溢れる山行が続くことを祈り、今年のトレーニングを終えた。
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by kanechins | 2015-05-10 19:29 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

八ヶ岳・石尊稜(1級上・Ⅳ-)

 2015年 3月14日(土) day1
 この冬は本当に忙しく、ろくに山に入ることができないまま3月を迎えてしまった。これはイカン!と、久しぶりにsonoと雪稜に行くことに。「北西稜?」「・・・ごめん、自信ないわ。(もちろん、ワタシ)」。

 ということで、まだ二人とも行ったことがないルートを探してみると、石尊稜が残っていた。某ガイドブックを見ると「初心者同士でも楽しめる」と、おお!

 金曜も早く帰れないのがわかっていたので、土曜日は移動日に。午前8時にウチに集合し、久しぶりの八ヶ岳山荘へ。そういえば、sonoと山に行くのはいつ振りだろう。お互いに話題が尽きることがなく、危うく諏訪南ICで降りそびれるところであった。

 八ヶ岳山荘には午前10時過ぎに到着。1日500円の駐車料金を八ヶ岳山荘で支払う。駐車券はシールになっており、車のダッシュボードに置く仕組みに変わったのね。裏を読むと、「コーヒーをサービスします」って、ほんと?帰りに検証だ。

 10:50、八ヶ岳山荘を出発。久しぶりの冬装備は重い、けど嬉しい!
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 11:35、やまのこ村着。美濃戸口の駐車場も満杯。当初は赤岳鉱泉でテント泊する予定であったが、この分だと相当の混雑が予想されたため、急遽、南沢を辿り行者小屋を目指すことに。
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 美濃戸山荘。ダブルアックスを持った団体さん。流行っているのね、アイス。
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 南沢は静か。雪が舞う道を歩む。肩に食い込むザック、沈むつぼ足、上がる息。下界の雑事を忘れることができる、よい。しかし、3月中旬にしては、雪が多い。
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 14:10、行者小屋着。例年、この時期はテント村になるはずなのだが、予報が芳しくなかったためか、この週末は静かそうだ。出発が遅かったが、良い場所にテントを設営できた。
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 雪が多いので水場を心配して水を担いできたが、杞憂であった。
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 冬の装いの行者。
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 持参したワインを飲みながら、早めの夕食。やることもないので、早々に寝袋に入る。風の音、隣のテントの談笑が子守唄に。山って、やっぱいいな。
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 2015年 3月15日(日) day2
 03:45、起床。テントの内側、シュラフカバーには霜がしっかり降りている。3月とはいえ、気温はかなり下がったと思われる。ガスを点け、お湯を沸かして朝食。

 05:40、出発。ちょっと、出遅れた感あり。
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 中山峠を越え、急な斜面を下る。すぐの沢はニセモノ。さらに下り、明るい沢に入る。今日、踏まれたばかりのトレースが雪面に延びていた。
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 07:00、下部岩壁の取り付きへ。既に下部岩壁の左側に4人パーティ、右側に3人パーティが取り付いている。さらに、2人組みが並んでいた。この隙に、ギアやロープを整える。
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 じきに、阿弥陀が朝陽に照らし出される。
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 さらに後ろに3人パーティが到着。その後ろに、さらに3人パーティが到着したが、この混雑振りを見て諦めたのか、下山していった。07:45、登攀開始。いつもは1P目はワタシと決まっていたが、今日のオーダーは珍しくsonoから。
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 思ったよりも悪そうで、苦戦を強いられていた。姿が見えなくなってからも、なかなか終了点に着く様子もなく、ロープは45m以上出た。コールすると、近くでピッチを切ってくれた。どうも、まっすぐに登り過ぎたっぽい。

 フォロー。氷が融けきった後にがっつり雪が積もった感じで、ピックがことごとく岩に弾かれる。下部の出だしから中間部が悪い。えらい難しいトコを選んだなぁ。これだから、登れる人は。
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 2P目はワタシで、カンタンな雪稜。ピナクルっぽい岩は左に巻いた。ロープ一杯伸ばし、シラカバでピッチを切る。3P目はsono。
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 徐々に高度が増し、一連の北アルプス連峰が望める。
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 4P目はワタシ。コンテで行こうと思っていたが、草付きはグサグサに腐っており悪く、再びロープ一杯伸ばしたところでピッチを切る。
 
 5P目はsono。この辺りから、雪は安定してきた。ロープが半分位出たところで解除し、ロールアップ。ここからコンテ(同時登攀)に入る。
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 気持ちの良い雪稜を辿ると、じきに上部岩壁が近づいてきた。
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 阿弥陀方面。中央下の稜線が、以前に登った中山尾根。その上の顕著な尾根が文三郎尾根。
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 10:40、上部岩壁。左側の顕著な尾根の、下部のルンゼに支点があった。
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 後続が迫っていたので、すぐに取り付く。6P目はワタシ。ホールド、スタンスは豊富ではあるが、どこまで行ってもピンが見当たらない。雪に埋まってる?風は冷たく強いし、まぁ落ちる気もしなかったのでぐいぐい登っていく。さすがにヤバイなぁ、というところで、やっとハーケン発見。ほっ。そこから右側のルンゼに入り、頂点のピナクルでピッチを切る。
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 sonoと阿弥陀。風が吹くたびに雪煙が舞う。
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 7P目はsono。ピナクルからは裏側のルンゼに入り、すぐに姿が見えなくなる。ロープはゆっくり伸び、一杯になったところで解除し、そのままコンテに入る。sonoは、まだ上部を登っていた。もしブルーアイスだったら、支点も取れずかなり嫌な感じになりそうだ。
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 11:45、石尊峰の山頂へ。これ以上、高い所がないのって気持ちいい。
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 ロープとギアをまとめ、主稜線を南に辿る。左が赤岳、右が阿弥陀岳。
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 日ノ岳を振り返る。かっこいいなぁ~。
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 12:30、地蔵分岐。
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 尾根にはしっかりと雪が乗っていた。
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 一面つるんつるんに氷化すると、かなりしびれるルートに豹変することも。しっかり雪が付いているので、比較的安心できた。
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 13:00、行者小屋。テントでお湯を沸かし、予備食として持ってきたカップラーメンを頂く。うーん、ただのインスタント麺なのに、うまいなぁ。周りの景色と一緒に、コーヒーの香りも愉しむ。贅沢な時間である。
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 時間だ。テントを撤収し、14:20に美しき白銀の八ヶ岳連峰を後にする。
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 16:20、八ヶ岳山荘。お疲れ様でした!
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 荷物を積み込み、駐車券を持って八ヶ岳山荘へ。そして、駐車券があるとコーヒーサービスというのは本当であった!ありがたく、挽きたてのコーヒーの香りを楽しめた。
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 帰り道。豊科ICで降り、相棒も合流して「きまぐれ八兵衛」へ。久しぶりの「きまはち長浜ラーメン」は、やっぱ美味しい!迷わず、替え玉も注文!
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 好天に恵まれ、3月にしては雪の量も豊富で、久しぶりの雪稜登りを愉しむことができた。石尊稜は初めてであったのでわからないが、岩のコンディションがあまりよくなかったのかもしれないが、とてもガイドブックにあるように「初心者同士でも楽しめる」という気はしなかったなー。

 しかし、ルートは変化に富み、人気も頷けるコンパクトにまとまった楽しい1本であった。

[装備]
・50mダブルロープのシングルユース(懸垂に備え1本は背負った)
・アルパインヌンチャクは2人で10本(十分に足りた)
・アイススクリュー1本、TCU1セットを持参したが使用せず。
・各自、シングルアックス。他のパーティは、ほとんどがアックスを2本所持していた。
・グレードは、1P目はⅣ+付けても良いと思う。個人的には、中山尾根1P目のほうがカンタンに感じた。上部岩壁1P目はⅢ+程度だが、ランナーは取れないつもりでいたほうがよいか。
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by kanechins | 2015-03-15 19:11 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)

明星山・西壁 P2西稜末端壁「風ルート」

 2014年10月11日(土) 
 連休は台風19号の来襲により計画変更を余儀なくされ、明星山へ行くことに。今までに2度来たのだが、予報は悪くなくてもなぜか雨に祟られてきた。3度目の正直となるか。

 おのおの仕事の都合で前夜発が叶わず、05:30amに長野を出発。明星展望台に到着したのは07:30。好天が約束された週末。当たり前だけど、既に南壁は多くのクライマーで大賑わい。ざっと見ただけでも、左岩稜に3人、クイーンズウェイに4人、JADEに2人、そして当初計画していたフリースピリッツには、な、なんと8人!?人気なのね^^;。
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 急いで準備をしても取り付きに08:30。時間も遅く、先行パーティも多く、また先日のOちんのクィーンズウェイでの事故(上部岩壁で剥離した岩と一緒に墜落)もあったので、今日の南壁登攀は潔く諦める。

 代替案は、明星西壁はP2西稜末端壁にある「風ルート」(5.11a、7P フリー化1994)。トポには「春の息吹」(5.10d、7P)の不快な部分をクリアすべく、大凹角のスラブのど真ん中を貫いたとある。橋の近くに車を停め、ギアをまとめて08:15に歩き始める。
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 クマが多いとのことであったので、クマ鈴をうるさいほどに鳴らしながら歩くこと50分で、P2西稜末端壁大凹角の基部へ。前は濡れて真っ黒な印象であったが、今日はパリッと乾いて石灰岩らしい白さが輝いていた。
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 時間も時間なので4人でロープを結び、ワタシとsonoが交代でリードすることに。09:50に登攀開始。1P目(5.10d、25m)はワタシ。久しぶりの石灰岩はスタンスがシビアでシビれる。下半分は岩は硬く、薄かぶりのルートはムーヴもあり楽しい。が、ハンガーが「お手製」(切断したアングルに穴を開けてボルトで固定したもの)なうえサビサビで、あんまり衝撃加重をかけたくはない。

 上部に右トラバースしてからがムズい。斜めに傾いた前傾壁はホールドの向きが絶妙に悪く、核心ではスタンスを置きたいカンテ沿いがボロボロと崩壊しておっかない。これが硬い岩でしっかりした支点があったら、楽しいピッチだと思う。終了点は狭く、ほとんどハンギング状態。
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 2P目(5.10d、20m)はsono。出だしの垂壁~ハング越えが悪そう。途中のスラブもなかなか悪そうであったが、上手く弱点を突いて右巻きに登り切ってくれた。ミョウジシンパク(ミヤマビャクシン、以下シンパク)はショボく見えてもかなり強度があるみたいで、タイオフしてうまく支点にしていた。
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 ビレーを解除し、サードのmegを引き上げる。到着したところでワタシが2P目をフォロー。出だしからシビれたが、探せば弱点があって面白い。途中、「ぶぅん」という音が聞こえ、「お、鷹でもいるのかな?」と思った瞬間、今度は「びゅーん!」という音とともに、大きな岩が墜ちていった。落石は多いと聞いてはいたが、そのスピードが半端ない。当たればひとたまりもない。

 うまく弱点を突いて終了点へ。そこでmegのロープをアップし、今度はmegが4番手のお父さんをビレイ。1P目、2P目とも終了点は2人までと狭く、また支点強度も怪しいので、できるだけ支点にインパクトを与えないよう注意する。

 続く3P目(5.10b、20m)はワタシ。「春の息吹」は凹角沿いに直上するが、「風」はまず右方向に斜上。ピンの間隔は欲しいところにある感じで好感。が、ホールドが悪いというか、欠ける!丁寧に押しつけるように持っても剥がれるのでおっかない、汗。ムーヴそのものはなかなか面白いのに、岩が脆いのが珠に瑕。

 「やれやれ、リップまで来たぞ」と思ったら、次のピンが遠い!!石灰岩スラブのランナウト、まじか。行くしかないので自分の足を信じて突っ込む。(後で聞いたら、以前はリップの上に手製ハンガーがあったらしいが、下降時に確認したら折れて無くなっていた)。まぁ、花崗岩の5.9のスラブが登れれば大丈夫。

 12:35に3P目の終了点へ。大凹角のスラブが眼前に。う、美しい。美しい岩は難しいのだが。ほぼ中央を上がり、見ていてる最上部まで上がるようだ。
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 少し広いテラスではあるが、いつまた落石が飛んでくるかわからず、うかうかもしていられない。ビレイを解除してもらい、ロープアップ。セカンドのsonoがサードのmegを2P目終了点まで上げるまで、しばし休憩。天気も良く、風も穏やかで眠気を誘う。写真は3P目をフォローするsono。
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 写真が3P目の終了点。手製ハンガーはサビサビ。(後に、新たにリングボルト1本と捨て縄を追加)
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 セカンドのsono、サードのmegが上がって来たのは13:30。megのロープを束ねて渡し、4P目(Ⅲ、20m)はsono。ろくに支点はなく、ミョウジシンパクで支点を取りながら高度を上げていく。

 ロープはどんどん伸び、予定の20mを過ぎてもまだ登っていき、そのまま核心の5P目(5.11a)へ入ってしまった!?ロープは半分の25mを過ぎてしまったので、とにかく抜けて貰うしかない。
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 傾斜が変わるパートからすごく悪いみたいで、苦戦を強いられるsono。それでもなんとか1ピンずつ高度を上げ、14:30に終了点へ到着。よく頑張った!

 ワタシもフォローする。下部は支点を取れる場所が少なく、見た目以上に立っている。おまけに、かなり大きい岩まで不安定で、1手、1歩をすごく慎重に進む。核心部は薄カブリのスラブ(?)で、おまけにホールドスタンスがここでも脆い!フォローだからと、吹っ飛ぶのを覚悟で登っていく。終了点に到着したら、15:00に。
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 ここでお父さんから「残りのピッチは二人で行っておいで~」と声が。時間も残り少ないので、残りの2ピッチ、先を急ぐことに。写真は次のピッチ。グレードは下がるが、岩が剥がれた跡が目立つのが気になる。
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 5P目(本来の6P目、5.10b、15m)はワタシ。出だしいきなりのトラバースで、右手でピンチしたホールドが簡単にもげた。高いところが苦手な自分はかなり「いっぱいいっぱい」な上、脆いホールドはほんとメンタル的にもキツい。自分的には降りても良かったのだが、sonoに「また来るのイヤでしょ!!」と(今思えば)なんともわからん理論で説き伏せられ、「うん、イヤ!」と答えて登攀を継続する。

 トポには「出だしが悪い」と書いてあったが、個人的には始終悪かった気がする。写真はフォローするsono。
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 15:50にsonoが到着。sonoの中には「降りる」という選択肢はないみたいで、すぐに6P目(本来の7P目、5.8-25m)に入る。これまた、体くらいの大きさの岩が浮いている感じがして、悪そう。
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 ナチュプロはTCUしか上げてこなかったので岩の間で支点が取れないまま登っていく。途中、右壁にハーケンを見付けたみたいで一息。
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 なんとか登り詰めるが、今度は終了点が判然としないらしい。「春の息吹」と合流する場所に下降点があるはずなのだが、あるのはサビサビの手製ハーケンとRCCボルト2本だけ。時間がないので支点を構築してもらい、16:25にフォロー開始。とうとう、太陽が尾根に隠れてしまった。先を急がねば。
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 下降途中にランナーの回収があり、ヘッドランプは3P目終了点に置いてきたので焦りを隠せず、フォローだからとゴイゴイ登っていく。登りそのものは確かに5.8くらいかもしれないが、岩の不安定さを考慮したら、やっぱりⅤ+という表記のほうがしっくり来るなぁ。つくづく、アルパインルートにデシマルは似合わない気がする。

 そうこうしながらも。16:35に終了点に到着!いやぁ、本当にしびれたなぁ。捨て縄を残置ハーケンに通すが、薄めの手製ハーケンは穴が面取りしていなくて、シュリンゲが角に当たって嫌な感じ。しかも、かすかに動く。。。
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 念のためにTCUで下降支点のバックアップをセットし、sonoから下降開始。sonoの体重がかかる度に、ハーケンがかすかにしなる。衝撃が加わらないよう静かに下降し、なんとか本来の5P目の終了点まで降りることができた。
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 ワタシの番。TCUを回収し、静かに支点に体重を掛ける。じわじわと少しずつ下降し、5P目の終了点(ココも決して良くはいないのだが)に到着してセルフを取った瞬間、無事に感謝してしまうほどであった。次の下降はワタシ。4&5P目のヌンチャクを回収しながら下降し、3P目終了点まで。お父さんとmegは待ってくれている間に新たにリングボルトを1本打ち足してくれており、新しい捨て縄も掛けてくれていたので安心。

 そこからは1回で取り付きまで下降することができた。下部は空中懸垂になったので、いかにカブっていたかがわかった。
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 sonoが取り付きまで下降し、ロープを回収したのが17:30。夜の帳はほとんど閉じつつある。朝にはなかった激しい獣臭が漂い不気味。荷物をまとめ、ヘッドランプを点灯し、クマ鈴を激しく鳴らしながら17:45に下山開始。

 すぐに暗闇に包まれ、獣臭から逃れるように下山を急ぐ。下りは早く、18:15に無事に車に戻ることができた。みなさん、本当にお疲れ様でした。
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 【使用ギア(4人)】
 50mシングル1本、60mシングル1本、50mダブル2本(2人なら50mダブル2本でOK)、ヌンチャク類(含むアルパイン)30数本(2人なら10数本でOK)、TCU1セット(さらにキャメロットの#1~#2が1つずつ有ったら7P目は安心か)。捨て縄、ハンマー&ハーケン&ジャンピング。(捨て縄2本、リングボルト1本設置)

 【トポ】 『岩と雪』 1995年4月号 P63~65
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 全ての支点と岩が強固であったなら、人気ルートになったであろうなぁ。が、この不安定な要素があってこその「明星山」とすれば、素晴らしい1本なのは間違いないと思う。ルートを開拓してくださった広瀬さん、愛瀬さん、ありがとうございました。岩が不安定な部分が少なくなく、上に山を抱えているので自然落石のリスクもあるので、トライの際は十分にご注意ください。
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by kanechins | 2014-10-11 23:50 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)


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