錫杖岳前衛壁・左方カンテ(4級上・V-A0)

 10月13日(祝)
 05:10に周りの声で目覚める。外はまだ暗いぞ!?ぼちぼち起床し、各自で朝食。テントを撤収し、ギアの確認。2人でカム一式、ナッツ一式、ヌンチャク10数本、シュリンゲ類7~8本他+8.5mm&8.2mm・50m。

 完全に空が白んだ06:30に出発。笠ヶ岳へと続く登山道をテクテクと登っていく。太陽の光が西穂高から差し込むと、辺りの紅葉が一気に燃え始めたっ!
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 クリヤ谷を登っていると、次々にヘルメットやロープを装備したパーティが降りてくる。3連休の最終日ということもあるが、一体どれだけの人が入山していたの??そんなことを考えていると、これから登る錫杖岳・前衛壁がドドーンと現れたっ!相変わらず、デカいなぁ。。。
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 錫杖沢と前衛壁。クリヤ谷を渡渉し錫杖沢に入り、途中から北沢を登って岩稜の基部に出る寸法だ。渡渉点で07:50。
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 赤線が左方カンテ(点線は裏側で見えない部分)。標高差は200m以上!?
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 マーキングと踏み跡を頼りに遡行する。基部までもなかなかの登り!?
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 息を切らせて登っていくと、突如として巨大な岸壁が頭上に覆いかぶさってきた。
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 左方カンテの取り付きに08:25着。既に1パーティが準備に取り掛かっていた。関東から来たガイドとお客さんのようで、聞けば昨日は左方カンテだけで13パーティが取り付いていたらしい!?先行パーティが登ってるうちに準備を整え、08:50に登攀開始!
 
 1P目(Ⅲ・30m、トップ Ichiro)
 ルンゼの左フェース&カンテ状を追従する。ボルトはなく、木の枝や根で支点を取る。終了点は木に巻きつけられたシュリンゲの束。
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 2P目(Ⅳ・30m、トップ Kanechin)
 カンテを少し登ってからルンゼに戻る。徐々に傾斜が増し、部分部分でカブリを乗っ越すようなムーブも出てくる。最後の方でチョ~厳しいカブったクラックが出てきてマジパンプしそうになるも、冷静に左を見ればなんのことはない、容易に巻けて小さなテラスに出た^^;。写真はセカンドで抜けてきたIchiro。
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 先行パーティが苦労されているようだったので、ここで小休止。ふと後ろを振り返れば、急峻な錫杖・本峰が構えていた。
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 3P目(V+・20m、トップ Ichiro、スラブの途中でピッチを切る)
 ピナクルを越え、高度感のあるスラブチックなフェース。 岩も固く安定し、フリーをやっている人なら実に快適なピッチである。

 4P目(Ⅳ・40m、トップ Kanechin)
 バンドを右上し、そのまま写真のチムニーに入る。奥に入りすぎるとザックがひっかかる。上に見えるブッシュ帯まで登るが、ほとんど支点が取れずに冷や汗をかいた^^;。木の根っこでアンカー(メインとなる支点)を取る。
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 5P目(Ⅳ+・40m、トップ Ichiro)
 快適なフェースではあるが、思ったよりも支点は少ない。いや、昨年の記録を見ると、明らかにボルトが少ない!?抜いたのか、抜けたのかはわからないが。上部ではカムも積極的に使用。上部で「無名ライン」を登ってきたパーティと鉢合わせ、そこでピッチを切る。
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 写真は5P目終了点でビレー(確保)をするIchiroと、バックは昨日登った西穂高方面。
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 6P目(Ⅱ・15m、トップ Kanechin)
 コンテでも行けそうであったが、先が見えなかったのでスタッカートで登る。が、あっという間に松の木テラスへ出た(11:25)。ここで3パーティ待ち!?靴を脱いで足を安め、ランチを摂ったりと小休止。ロープもゆっくり束ね直したりもできた。
 写真は先行パーティが登っている様子。出だしがⅣ+A1の核心!?しかし、ワタシの核心はこの先に待ち構えていた。なぜカンテに出たところで渋滞しているのか、まだ知る由もなかった。。。
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 7P目(Ⅴ・A0(Ⅳ+・A1、Ⅴ+)・40m、トップ Kanechin)
 時間もかなり遅くなっていたので、迷わずA0で乗っ越す。すぐにチムニー状になるが、これまた支点が少ないし、ナッツが決まりそうな場所もない!?もうとにかく、登るしかない。細かく右往左往しながらルートを探し出し、やっとの思いでカンテへ。
 しかし!カンテを乗り越えると下は150mを越える絶壁の上!?しかも、ちっちゃなハーケンが1枚残置されているだけ!?シュリンゲで伸ばしてクリップ。その上は涙が出る、砂が乗ったスラブへのマントリング。ここで今度は、懸垂待ちのパーティとの渋滞!?

 8P目(Ⅳ・40m、トップ Ichiro)
 ここもまたイヤラシイ!叩けばカスカスな音がする、風化したフレーク。おまけに錆びたリングボルトが1本だけ!?落ちれば吹っ飛びそうで、ビレーする方もシビれた~。
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 8P目終了点のIchiro。いやぁIchiro、このピッチはよくぞ頑張った!パチパチ!ほんと、お疲れ様でした~^^。でも、まだ握手は早い。そう、ここから降りなければならないのだ(終了点13:30)。
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 登ってしまって、じゃじゃじゃじゃ~ん。
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 ここから懸垂下降を4ピッチ。懸垂下降は最も事故が起こりやすいもの。指差し確認も交えて、間違えのないように下降開始。アホみたいな高度感にビビりの入った私は、しっかりバックアップも取る。でも、これが正解。1本のロープが新品で、下降しているとキンクしまくりで絡まったり!?両手を使って解除できたのでよかった。。。

 写真は最終ピッチの下降。大ハングの直下にあるペツルボルト2本の下降支点だが、ハンギング状態での支点セットとなる。ロープ一杯、ギリギリで地に立つことができた(14:55)。
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 ロープが垂れている高さの4倍近い高さに居たってことか、汗。ここでIchiroと握手を交わす!好天に恵まれた左方カンテ、ビビリながらも楽しませて頂いた!
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 さぁ、のんびりしている時間はない。取り付きまで戻って荷物を回収し、15:20に下山開始。暗くなるのは必至かと思ったがペースが良く、暗くなる直前の16:50に無事下山することができた。
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 まず、反省点。わかっているのに、今年も出発が遅れてしまった。紅葉の晴れた休日は、渋滞して当然と思わなければ。これは完全にワタシの判断ミス。秋の日は短いので、空が白み始める頃にはやはり出発したい。
 それと、複数回に渡るダブルロープでの懸垂下降。次の下降に移る際の手際が実に悪く、めっちゃ時間が掛かってしまった。なかなか練習できる場所もないが、頭の中で整理したい。

 昨年は全くダメダメで高度感にもすっかり呑まれ、師匠の足を引っ張りっぱなしであった。あれから1年。自分なりにトレーニングを積み、沢登りでプアな支点や高度感に鍛えられたのか、昨年の自分とは全く違う自分に出会えた。正直、今年もダメダメかと思っていたので、自分でびっくりであった。共に力を出し合い登り切ることができたので、感激もひとしお。スバラシきパートナーであったIchiroには、ほんと感謝である!!ありがと~!!
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by kanechins | 2008-10-13 23:12 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(2)
Commented by maya at 2008-10-20 23:15 x
おつかれ(と思われる)人と何処に行ったかと思いきや
こんなすごいところにーー
こわそう!
長野はいろいろルートがあってすてきですねえ・・・
私はとりあえず谷川の初心者ルートから始めます!
再来週末に初挑戦です。
Commented by kanechins at 2008-10-21 01:12
★mayaさん
 高い所がダメなワタシですので、ホントおっかなかったです。しかも、けっこうランナウトも多い!?登ったときは「もう二度と来ないだろう」と思いましたが、今は「もう1回くらい行ってもいいカナ?」になりつつあります。びょーきです^^;
厳密には岐阜県なのですが、まぁ遠くはないですね~。そちらは谷川や丹沢が近いのがウラヤマシイですが、隣りの芝生は、ってことでしょうね^^;
谷川!記録を楽しみにしてます!3連休ですね~。お気をつけて!


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