魚野川水系「西ゼン」(2級上★★★★★)

 魚野川・仙ノ倉谷水系「西ゼン」(2級上★★★★★)
 流程の8割が、快適だがスリップが許されない巨大スラブ帯。確実なルートファインディング能力が求められるという「西ゼン」は、ずっと気になっていた沢のひとつ。今年の沢の締めくくりに、憧れの「西ゼン」を遡行してきた。

 10月4日(土)
 今日は土曜日出勤。仕事を終え、急いで沢支度。21時にピックアップしてもらい、土樽を目指す。2時間半ほどでゲートに到着。急いでテントを設営し寝袋へ転がり込む。既に1パーティがテントで就寝しているようだ。

 10月5日(日)
 午前5時起床。空はほんのり白む程度。すっかり夜が長くなった。お湯を沸かして朝食をとりパッキング。もう1台の車が到着し、7人パーティが歩き始めた。幕営していた3人も歩き始め、ワタシが「鍵紛失騒ぎ」を起こしている間に出遅れてしまった。。。
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 06:05出発。15分ほど歩くうちに3人組を追い越し、毛渡沢出合へ。吊り橋を渡って平標新道へ入る。
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 40分ちょっとで遡行準備をしている7人パーティに追いついた。ここが仙ノ倉・西ゼン出合か?準備をしてるうちに3人パーティも追いついた。なんしか、賑やか~^^。
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 いきなり、ツルツルのナメが続く。う~ん、こりゃ先が楽しみ!?
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 ゴーロの伏流帯を越えダイコンオロシ沢を何気なく過ぎると、沢は明るく開けてくる。ここからはナメ滝の連続!彼方に望む山肌は紅や黄色に染まっている。う~ん、秋だなぁ。
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 さらにすすむと、東ゼンとの出合いに。「両門の滝」を想わせる、巨大スラブが現れた。写真は、これから進む西ゼン。さぁ、小川山スラブでの練習の成果はいかに??
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 出だしの2、3手が悪いが、後は斜上バンド沿いに快適に上がれる。まぁ、落ちても天然スライダー&淵ではあるが、この寒さでは濡れたくはないなぁ。
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 とにかく、ゴーロ帯ゼロなスラブの連続!適当に登って行き詰ったらセミになってしまいそうなので、ラインを慎重に選ぶ。浮石が多く、後続パーティがいるので神経を使う。
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 さらにナメ滝を進むと、奥に広大なスラブ帯が見える。これが第1スラブのようだ。
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 さらに進むと、6mチムニー状の滝。この季節に濡れる度胸がなかったので、無難に右岸を巻く。それにしても、もし青空だったらすんごくキレイだろうな~。雨が降らないだけマシか^^;。
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 気が付いたら、既に第1スラブの中にいるようだ。左岸を詰めすぎてエラい目にあったという記録が多かったので、右岸よりにルートを選ぶ。このルンゼ沿いは快適であった。
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 先のまたその先を読みながらラインを選定し、慎重に登る。登りながら、感覚的ではあるが水流沿いの方がホールドやスタンスが得られる感じがした。
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 第1スラブ帯は、なんだかアレッという間に終わってしまった。さぁ、核心はここからか!?第2スラブ帯の入口にある滝。右岸からコンパクトに高巻くが、草付きでチョイワル。
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 いよいよ第2スラブが始まった。傾斜は第1のそれよりも急になる。どこでもルートが取れそうに見えるが、ずっと先を読んでから取り付かないと後で泣きそうだ!?水流から外れないよう、ジグザグに登る。
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 ドキドキ、ワクワクの瞬間であった。
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 右に行き過ぎるとタイヘンという思い込みと、水流沿いにラインが見えたこと。それに加え、takeshiさんの記録にあった「2段・ハング状の黒壁」というのが頭に残り、自然と歩みはここに向かっていた。後続パーティははるか下方。このままトップでスラブ帯を抜けられるか!?
 写真の傾斜は、かなり実際に近い。左側の中洲状の尾根をノーロープで登る。かなりの高度感に圧倒される。
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 黒壁・1段目右側の白い部分にサビたハーケンがあり、ここでセルフを取りアンザイレン(ロープを互いに結び合う)する。
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 1本目のアンカーも同じハーケンに取る。ゼッタイに落ちられない状況だ。思い切って1段上がると、ゲ!なんのスタンスもないドスラブ!固まりかけたが、思い切って水流のド真ん中に突っ込み、シャワーの洗礼を受ける。。。
 なんとかラインを取り、30m、40mとロープを伸ばしていく。残りロープを確認しながら、落ち口のブッシュまであと5mというところでロープが一杯に!?少しクライムダウンし、極小の4番ナッツをかろうじて決めてGOサインを出す。結局、50m一杯、支点が一つも取れなかった^^;。墜ちれば、100mくらい吹っ飛ぶということか!?
 フォローも取り付きから苦労してるようだが、一歩一歩、慎重に上がってきた。その間、ワタシは両手がふさがったままブヨとの戦いに明け暮れていた。そうこうしているうちに7人パーティが左岸をかなり巻いて登ってきた。3人パーティも同様に巻いてきて、タイミングが悪く終了点で全員の通過を待つことに、汗。それでも、水流沿いに第2スラブを登れてヨカッタ、ヨカッタ!

 さらに進むと、黒壁を想わせる滝に。3人組みが左岸で苦労している中、右岸をさくっと巻いて追い越す。
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 10:20、水量比1:1の二俣。ここで全パーティが一時休戦!?高所恐怖症のワタシは、やっとここで落ち着いて食事を摂ることができた。遡行図は右俣を行く記録が多いが、takeshiさんの記録によると左俣も良いらしく、そちらに行こうか悩んでいた。
 3人パーティは右俣へ。7人パーティはしばらく悩んでいたが、お話してみて左俣へ行くことに。ここからは賑やかに、のんびりと稜線を目指すだけだ。
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 じき、7mくらいの滝が現れた。皆は右側から登っていたが、追越しをかけて左壁に取り付いたら、思ったよりもボロボロで悪いうえに、上部は猛烈なヤブが待っていた。。。結局、逆に引き離されてしまった。。。
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 やっとの思いでヤブからの脱出。
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 そしていよいよ、源頭の装いに。
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 う~ん、とってもいい感じ^^。
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 ここで水涸れになる。
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 自然が造った展望台にて。
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 ここから踏み跡もないヤブへ突入!背丈よりも高いところがあれば、ヒザくらいのところも。
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 ヤブは久しぶり~!平泳ぎの要領でヤブを漕いで行く。なんでこんなに楽しいのだろう!?水涸れから15分ほどで稜線に到着(11:45)!写真は仙ノ倉山方面。稜線は、もう晩秋の装いだ。
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 平標山方面。なんか、急に見える!?いや、実際に急登であった。冷たい強烈な谷風が吹き荒れ、見る間に体温を奪われていく。山頂には、こんな天気でも一般ハイカーの人たちが多かった。風に流されるワタシたち。ここで遡行装備を解除。7人パーティもじきに上がってきた。(山頂12:05着)
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 さぁ、いよいよ楽しい下り!のはずであった。が、傾斜がある上に笹が乗り、滑る、滑る。池塘から山頂を見返る。すごいところに道を作ったナァ。
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 ちょうど標高1,800mくらいが紅葉のピークのようだ。
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 急な斜面を慎重に下る。しつこいけど、すんごいところに道を作ったナァ。。。
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 こんな感じの急斜面。足にキテいると、ここの下りが核心になるかも!?
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 途中で、ワタシたちが登ってきた第2スラブ帯が一望できた。あの水流沿いに直登したと思うと、感慨深い。
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 上が第2スラブ帯、下が第1スラブ帯だ。
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 第2スラブ帯の拡大写真。
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 青いラインがワタシの取ったライン。赤いラインが後続パーティが取ったと思われるライン。ちなみに、水流左側にもラインが取れるらしい。
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 時折、西ゼンを振り返りながら、急な尾根を下っていく。仙ノ倉谷の出合い、毛渡沢の出合いを過ぎ、林道を下りゲートへ(15:40)!いやぁ、なかなか歩き応えのある沢であった。。。
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 お決まりの「岩の湯」(400円)で疲れを癒していると、雨が降り始めた。なんとか天気が持ちこたえてくれたことに感謝である。さすが、五つ星だけはある充実の遡行で、今年の沢は幕締めとなった。怪我なく、シーズンを楽しく過ごすことができた。仲間にも感謝である。ありがたや、ありがたや。
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by kanechins | 2008-10-05 23:52 | 「沢」の独り事 | Comments(4)
Commented by namaste at 2008-10-08 16:56 x
たいへんご無沙汰しています。

いや〜、西ゼンお帰りなさい。ご無事で何よりでしたね。
10年くらい前、僕は第2スラブで激しい雷雨に遭遇したことがあって、その時は命からがらスラブ出口左側のコブ(写真の青線と赤線が合流する左上約1cmの小ピーク)に這い上がってビバークしました。無論、顔も頭もアブとブヨに刺されまくり。スラブ全体が滝と化した恐怖は、今でも時々夢となって襲ってきます。こわ〜。

ところで近々、南信へ引っ越すことになりそうです!
またメール送りますね。
Commented by kanechins at 2008-10-10 00:37
★namasteさん!
 こちらこそ、ご無沙汰しております!お元気そうですね^^

 高い所が苦手なワタシにとってはちょっと落ち着かない感もありましたが、見事なスラブを堪能してまいりました~。第2スラブで雷雨!?そ、それはなんとも恐ろしい!スラブ全体がびしょびしょに濡れ、滝のようになるんでしょうね。。。考えただけでも恐ろしいデス。

 この季節なら大丈夫だろうと思ったら、ブヨに襲われまくりました。壮絶なビバークであったことと想像いたします。ほんと、ご無事でなによりでした~。

 いよいよ、南信へ転居されるんですね!新たな生活の門出を、お祝い申し上げます!今後とも、よろしくお願いします!
Commented by takeshi at 2008-11-01 00:17 x
遅ればせながら・・・西ゼンご苦労様でした。
私が書いたルートですが、いま一つでしたでしょうか?
たしか第2スラブを超えて2つ目の二俣を左に入った記憶があります。背丈ほどの笹はなく草付きの感じでゴールだったような記憶なのですが・・・私もまたいつか行ってみます♪
Commented by kanechins at 2008-11-03 23:18
★takeshiさん!
 コメント、ありがとうございます!いつもHP、大変参考にさせていただいております!とても助かってます!

 はい!2つめを左に入りました!恐らく、水涸れからのルートを外してしまったのではないかと思います。背丈ほどのヤブもところどころなだけで、快適やヤブ漕ぎでした。稜線までも遠くはありませんでしたし、これからのトレンドは左俣になる予感です!?
 ひとつ目の沢を左に入るルートも興味深かったですが、ワタシの体力ではちょっと自信がありません^^;。素敵な沢ですので、今度は青空の下で、また歩きたいなーと思います!


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