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by kanechin
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映画「運命を分けたザイル」 (2003年、英)

 楽しみにしていた山も雨で中止。ふて腐れてビデオ屋を歩いていると、なんと「運命を分けたザイル」が並んでいるではないか!
 当時は単館でしか見ることができず、東京まで行く「ずく」もなく、そのまま私の中から消えていた映画である。
映画「運命を分けたザイル」 (2003年、英)_b0050067_15541719.jpg

  ストーリーは、南米のアンデス山脈にある未踏の6,000m峰「シウラ・グランデ峰」西壁登頂に挑んだジョーとサイモンの2人は、困難な登攀を成し遂げ登頂する。
映画「運命を分けたザイル」 (2003年、英)_b0050067_15593547.jpg

映画「運命を分けたザイル」 (2003年、英)_b0050067_1559194.jpg

 しかし、下山中にジョーが滑落し、片足を骨折してしまう。高所における骨折=死をも意味するのだ。サイモンは、2人ともこのまま凍死するか、動ける自分だけが助かるべきかで悩んだ末、ザイルを切断する。そして・・・。
 実話に基づいたストーリーで、当時を回想する本人たちとその情景が交互に映し出されるドキュメンタリー映画である。

 山岳映画といえば「クリフハンガー」「ヴァーチカル・リミット」が有名だが、この映画にはそんな派手さはない。一方で、雪壁におけるクライマーを凄まじいほどリアルに描写(って、リアルなんだろうけど)している。
 アイススクリューがねじ込まれるシーンから始まり、ピトンを打ち込む音、バイルを打ち込み砕ける氷塊、無音の中に響く風と息遣い、クレバスに差し込む光、天を流れる雲。まがい物でない大自然が併せ持つ、神々しい美しさと厳しさが、画面一杯に流れていく。
 
 昔、厳冬の八ヶ岳で腕を骨折した人のレスキューに携わったことがある。人数も多く、その気になればヘリを呼ぶことができる状況ではあったものの、迫り来る凍てつく闇夜を前に「人間ってちっちゃいなぁ」と思った記憶がある。
 それが標高6,000m、マイナス60℃の世界で2人きり。救援不可能。極限の中での2人の行動は驚嘆に値する。
 年を取るに従い、なんだか諦めが良く「なりすぎている」自分に気付くときがある。映画を観ながらも「もう、諦めようよ」と何度も思った。なんだか、色々と考えさせれられたなぁ。

 【自己評価 ☆☆☆☆☆】 


by kanechins | 2006-07-17 16:27 | 「映画」の独り言