北アルプス・笠ヶ岳 No5「そして、決断のとき」
2005年 08月 15日
予報では、午前中は曇りだが、午後は前線の通過で大雨、雷注意報が発令されていた。
当然、楽しみにしていた、穂高、槍連峰を眺めながらの稜線漫歩など期待できるわけもなかったので、笠新道を下山することにする。
納得の行かない結果になったため、すぐ間近に望める山頂は次回の楽しみに取っておくことにした。
そうと決まれば早々にテントを撤収し、冷たい風が体を打ちつける稜線に歩み出でた。
笠新道を下っていると、深い霧の中に動く物体を発見。雛を6、7羽引き連れた「雷鳥」の親鳥であり、危険を察知したのが鳴き声を上げて雛を呼び集めていた。
降りると決まれば、さっさと降りるに限る。
杓子平への下りも終盤の頃、登りではそれほど気にならなかったコバイケイソウの群落が、ガスの中ではとても荘厳に見えた。
ここまで下れば天候が急変しても大丈夫、ということで、担ぎ上げた「豚汁」の調理を始める。 8月の最中ではあるが、山の上は寒いくらい。アツアツの豚汁が体を心から温めてくれた。
ちなみに、しっかりと豚肉のペミカンを調理し水煮の具材も活用したので、味はなかなかのものであった、と思っている。
以降、土砂降りに近い雨が降り始め、ガレ場の多い登山道の下りでは非常に気を使った。
蒸気浸透性のある雨カッパを着ていたにも関わらず、激しい雨でカッパの中もずぶ濡れ。ズボンを伝った雨で靴の中までびしょ濡れになるほどの雨に辟易した頃、登山口に降りついた。
ターミナルについても雨足が弱まることはなく、周囲にはこの雨で下山してきた人々で溢れかえっていた。
それならばと安房トンネルを越え中の湯温泉に行き、暖かい湯に体を沈めてきた。
天気の安定する季節に、笠ヶ岳との再会を期したい。