レスキュートレ2017。

(本日記は備忘のためのメモであり、相互に技術を検討・確認した記録であるため、記載内容が正しい技術であるとは限りません。)

 2017年5月13日(土) Day1
 毎年恒例の、所属山岳会のトレーニング。少し早めの実施であったが、涼しくてよかったかも。翌週であったら、灼熱地獄であった。

 まずはKY(危険予知)。それから、今年のトレーニングの方針について確認しあう。
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 (1)ごぼう(ポンプアップ)
 フォールした際に壁から離れてしまった場合、墜落距離が短い場合や、支点が強固である場合(支点に2人分の衝撃荷重が加わるため)、もっとも簡単な自己脱出。フリークライマーであれば日常的にやっているが、前傾壁をあまり触らないワタシのような人は一苦労。
 手と全身を使ってロープに登り、一気に手を離す。大きくやるより、小さく多回数やるほうが楽?
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 体重差があっても、ビレイヤーがぶら下ればクライマーは上がることができる。クライマーはぱっと手を離すのもコツ。
 しかし、体重差がある場合や、墜落距離が相当に長い場合は、ビレイヤーはクライマーの体重を支えながらロープを登る必要がある。プルージックなどを使って足で踏み込むと楽であった。
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 (2)自己脱出
 シュリンゲや器具(ベーシックやアッセンダーなど)を使った、通常の自己脱出も確認。アルパインでは、とっさにシステムを作れることが大切。
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 生憎の天気ではあったが、涼しいのは助かる。
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 若さ溢れる地元のS大山岳部は、雨の中でマルチトレ。
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 (3)クライマーのトラブル対応
 リードがロープの半分以上を登り、落石を受けてクライマーがフォールし意識不明のときを想定。

 ぎりぎりまで事故者をロワーダウン。ロープが一杯になったところで、自己脱出の要領でクライマーを重石にカウンターで登りアクセス。
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 支点を構築してクライマーの体重を移す。
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 クライマーのロープを解除し、構築した支点を使ってカウンターラペル。前傾かつテラスが狭い場合には、既存支点にクリップしながら下降。
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 (3)カウンタラペル、(4)懸垂下降時にエイト環、ATCでの結び目通過を確認。

 夜は山岳総合センターの会議室をお借りし座学。
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 昨年のヒヤリハットや事故事例について検証。
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 実際にあった事故事例をもとに、1)事故者及び救助者の安全の確認、2)意識有無の確認、3)視診、触診、出血の確認、4)頸椎、脊椎損傷の確認(指先、⾜先を触って、感覚があるか。両⼿を差し出して、⼿を握ってもらう)、5)移動させる場合の注意事項や姿勢の変え方などを確認。
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 2017年5月14日(日) Day2
 KYとラジオ体操。
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(1)事故者の搬送
 搬送方法として、2人で道具なしに行う方法。意識があって、ちょっと移動させたい場合には良い。長距離の移動や狭い登山道では困難。
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 ザックとポールを使った搬送。上着などをポールに巻き付けると、事故者の足が痛くなりにくい。ポールを複数使えば、強度も上がるし、事故者の負担はより少なくなる。介添えがあったほうが楽。
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 横にストックが出るので、幅が狭い道では少々不便か。
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 カラのザックを使用した方法。安定感も良く、背負うほうも、背負われるほうも楽であるが、荷物を出すのが欠点。
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 ロープを使用する方法。およそ2尋の輪っかを作り、8の字にして事故者の足を入れて担ぐ。シュリンゲでチェストベルトを作ると楽。クッションを入れないと、背負われる方は痛い。ロープを使うような場所ではなく、かつロープも運べるのはメリット。
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 ブルーシートを使用した運搬。ポールを持ち手に巻き込むと、より安定する。ボルダーでは、大抵はブルーシートを持ち運ぶので使える。
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 複数人で交互に手を組んで運ぶ方法。結構、楽に運べる。脊椎を固定する人が頭側を支えると、より安定する。
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 実際に経験したこともあるが、搬送は本当に大変。何より、やはり事故を起こさないことが肝心であることを痛感できる。

(2)懸垂下降時のトラブル対応
 下降中に落石を受けて意識不明になった場合の対応を想定。まずは、荷重が掛かった下降ロープを使ったアクセス。安全環付カラビナを2枚使う方法、エイト環を使う方法を試すが、エイト環の方がセットが楽だし、間違いもないので良い。カラビナを使う場合、セットの仕方によってはゲート荷重される場合があるので注意。
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 傾斜が強い場合は自重を使えるため、比較的に事故者にアクセスしやすい。
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 緩傾斜では、体重が軽い人は下降に苦労することも。
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 事故者へのアクセスに成功したら、長ヌンで事故者と連結し、事故者の体重も活用すると楽。事故者を壁から浮かせて摩擦を減らし、左手でレスキューのバックアップ、右手で事故者のバックアップをずらして下降。
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(3)懸垂下降時に、地⾯までロープが⾜りないときの対応
 次の下降支点が見えている場合、次の下降者が途中で支点の仕切り直しが可能な場合、次の下降者と意思の疎通が可能である場合でないと、かえってリスクが大きくなる。自分の体重を移す支点も必要。
 オートブロックなどでロープの一方を固定し、必要な分だけロープを伸ばしてシングルロープで下降。次の下降者は、途中で下降支点を構築しなおす。
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(4)1/3引き上げシステム
 人数がいて、かつロワーダウンよりも引き上げのほうが良い場合を想定。
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 1/3引き上げシステムを構築し、1人はシングルロープで下降。事故者にアクセスしたら、自己脱出システムを構築し、事故者の壁や障害物から回避させるだけで、引き上げが随分と楽になる。
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(5)トラバースルートでのフォールの対応
 カンテを越えて見えない場所でフォールし、ロワーダウンでは事故者を回収できない場合。
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 2人の場合はロープを固定し、事故者ロープでアクセスするしかないが、実質、1人での引き上げは困難なので、下手には動けない。3人いる場合は1人がアクセスし、事故者を支点側に誘引する支点を作り、ビレイヤーにロワーダウンしてもらうのがせいぜい。今後の課題とする。
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 いよいよ、シーズンイン。年に1度のトレーニングでは足りない気もするが、基本的な技術を確認できる貴重な機会なのでありがたい。皆さん、今年もこのような技術を使うことなく、安全に山を楽しめますように。

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by kanechins | 2017-05-14 23:51 | 「岩」の独り言 | Comments(0)


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