セルフレスキュートレーニング。

 2015年 5月10日(土) day1
 この週末は、所属山岳会で毎年行っている「セルフレスキュートレーニング」で大町へ。最近、周りで立て続けに事故が発生している。今一度、しっかりと確認しておきたいと思っていたので、タイミングはばっちりだ。

 まず、朝のKY。他のパーティも大勢いるので、ギアなどの落下に気をつける。
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 早速、事故の対応から。想定は、「ダブルロープで、明星山のマルチピッチを登攀。2ピッチ目で1ピン取ったところでリードがビレイヤーよりも下に墜落し、意識不明。下は川になっていて降ろせない」という状況で、どうするか。

 事務局のsono、遭難対策委員のワタシでペアを組んで、早速開始。まずは、sonoがリード。
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 ワタシはフォローし、テラスでツルベに入る。1ピン目をかけたところでフォールし、ビレイヤーよりも下で意識を喪失。(安全のために、セルフを取る)
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 sonoは引き上げを試みるも、体重差がありすぎて引き上げ不可能と判断。携帯で留守宅へ連絡。留守宅は会長であるお父さんへ連絡。会員へはメーリングリストを実際に使って連絡し、事務所へギアを持って集合する想定。

 救助隊として、44&Hidekiが。44がリードし、テラスへ。そこへ、登ったロープをFIXする。
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 レスキューに必要なギアを担いだHidekiは、川の対岸から引いたロープを引きながら、アッセンダーでフォロー。
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 その間に、44は1/3引き上げシステムを構築し、2人でワタシの引き上げに入り、テラスまでの引き上げに成功。吊り下げの準備に入る。対岸の救援隊は、斜張りのロープテンション確保と搬出の準備。
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 斜張りを介して、ムンターでワタシを対岸へ降ろす。
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 下部でも誘導。
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 ブルーシートを使い、ヘリがアプローチできる場所まで搬出。
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 この一連の動作を、順々に行う。全てがこれで対応できる訳ではないが、一連の流れを反復することで、対応手段のイメージが固まった。

 夜は、山岳総合センターへ。遭難対策委員で作成した緊急時対応マニュアルと救援要請チャートの内容確認。幾つかの修正ポイントを指摘いただき、より良いものに仕上げたい。お父さんからは、ヘリが到着したときの対応や、事故が多い懸垂下降について、資料を交えて教授くださった。

 医療委員であり、看護師でもあるえりちゃんからは、傷病者評価システムの説明。まず、自分とパートナーの安全を確保し、ついで第3者、傷病者の順に安全を確保する。救命のために、神経系の確保(AVPUや脊椎の損傷確認)、呼吸器系の確保(気道、呼吸)、循環器系の確保(脈、止血など)など。

 また、先日、えりちゃんと一緒にウィルダネス医療の講習を受けてきたsonoからは、ボリュームショック(血液損失によって引き起こされる還流圧不足)とその処置、呼吸器系トラブルの対応、脳機能の評価、体温調節や、熱疲労、熱射病、低ナトリウム血症とそれらの対応について講義してくれ、非常に勉強になった。

 21時過ぎまで及んだ講義を追え、お酒も入ってフリートーク。お父さんは、ネットで調べた様々な事故の記録を持ってきてくださり、今までの事故やヒヤリハット経験について語り合う。事故は起きないに越したことはないが、起きてしまってからどう行動するか、考えるよい機会となった。


 2015年 5月10日(土) day2
 朝のKY。シーズン前だからか、今日も人工壁は3つの会で大賑わい。
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 昨日の復習を行う班と分かれ、お父さんと44にボルト打ちについて。改めて見ると、リングボルトの軸の細さと短さには驚かされる。しかし、実際に打ってみると、それも仕方がないこともわかる。
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 手打ち用のギア。
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 持参した石に、ハンマーで実際に穴あけ。こ、これは大変!
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 センターの許可を得て、支点構築の練習に使える支点打ち。実際にハンマードリルを使って、ハンガーを打たせて頂く。RCCボルトも、実際に手打ちで穴を開けて打たせてもらったが、柔らかいとされるコンクリートですら、1本打つのに20分くらいかかった。これを、アブミに乗りながら延々打ち続けるだなんて。クラシックルートの開拓者に、改めて敬意を表したい。
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 懸垂下降時にロープが足りなくなり、あとほんの数m降りたいときにどうするか、を検討。シュリンゲの継ぎ足しで降りる方法を確認。
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 斜張りを使ったロワーにも、みんな随分と慣れてきた。
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 sonoと、斜め懸垂。今年、もし丸山東壁に行くとすると、必須の技術となる。
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 ランナーの位置や長さ、最初に下降した人のロープの張り具合など、実際にやってみてわかることも少なくなかった。
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 人工登攀もやっておく。ボルトが近いので、それほど極端な立ちこみは要らない。もう少し、ボルトが遠いルートもあったらよいな。以前は考えなくても体が動いたものだが、やっていないと手順を考えながらでないと登れない。
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 まずは、事故を起こさないこと。山で事故がひとたび起これば、その対応は厳しく、そして大変であることも再確認できた。これから本格的なシーズインを迎える。事故なく、笑顔溢れる山行が続くことを祈り、今年のトレーニングを終えた。
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by kanechins | 2015-05-10 19:29 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)


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