トヨタ産業技術記念館(1)繊維機械館
2014年 12月 06日
この週末は、日本海側から関東にかけて雪マーク。「どこか登れるところは?」と探すと、東海は大丈夫?久しぶりに豊田でボルダリングと思い、信州を南下。が、中津川を過ぎても小雪が舞い、路面はびっちゃびちゃ。恵那峡SAのスタバでチャイを頂きながら、転戦先を模索。
が、豊田がダメなら他も厳しそう。i-Padで面白そうな場所を探していると、ふと「トヨタ産業技術記念館」というものを発見。相棒も「面白そう!」ということで、スマホのナビに設定し、言われるがままに現着。スマホナビ、すごいな。
全く知らなかったが、誰もが知っているトヨタは、織物機械から始まったのね。まずは、繊維機械館から。入ってすぐにある「環状織機」。縦糸と横糸が織り成す「織物」は幅が限られるが、この機械はすごく幅広の布が織れると。動力も少なく、音も静かで画期的な発明らしいが、オドロキは明治39年(1906年)に豊田佐吉発明されたこと(写真の大型機は1924年に完成)。この機械、ただ展示されているだけでなく、実際に日に何回か動かしてくれるらしい!
正直、「何だ、織り機かぁ」と思っていたが、展示を見るに従い、そんな思いはカンタンに吹っ飛ぶことに。自分、織物のことを何も知らなかった。まず、繊維原料から。綿から麻、ウール、絹などの天然物から合成繊維、そして炭素繊維まで解説。
綿はもっともポピュラーな繊維原料と思うが、綿花からどうやって糸が作られるかなんて、考えたことがなかた。まず、種子をローラーで取り除き、弓を使って綿花をほぐす。それから糸車に掛けるが、(1)ほぐし(撚りをかけながら引くと糸状になる)、(2)撚り(固定し回転を加えることでより撚りを強め、硬く細くする)、(3)巻き(糸車に巻き取る)という3つの動作を行っていた。ただクルクル回すだけではダメなのね。
これを自動的に30本行う機械(ガラ紡機)がこれ。綿がなくなると、自動的に止まる仕組みになっている。
水車の力で128本まとめるガラ紡機。
自動的に糸の太さが調節される機構。よく考えてあるなぁ。
次に、原料の綿(原綿)から原糸を作る機械。
原綿は硬く締まり、すごく重たい。
これを解きほぐし、不純物を取り除いたものを、太い糸状のスライバにまとめるのが「練条機」。数本のスライバを合わせて引き伸ばし1本のスライバにすることで、繊維の平行度を高め、太さのムラを少なくする。通常、荒台、中台、仕上げ台と3回練条を行う。糸への道は、まだ遠い。
スライバを撚りながら引き出し、大きなボビンに。
その状態ではまだ手で切れるほどの強度しかなく、さらに撚りをかけて細く、強く仕上げていく(リング精紡機)。動く機械を見て、そして実際に綿や糸を触れるのがよい。
続いて、機織の基本から。縦糸に横糸をまとめた杼(ひ、シャトル)を通し、手前に締めるのを繰り返すのが機織機。元々は横糸を通すのは人力であったが、写真は豊田佐吉が発明した「手前に引いた持ち手(筬、おさ」)を奥に戻すと自動的にシャトルが戻る」半自動機織機。すごいわ、これ。
機械は次第に発達し、全ての動作を自動的に行うように。写真の機械は、シャトルの横糸が無くなると自動的に糸を継いで、動力と糸がある限り、延々を機を織ってくれる。一度に8台動くと、なかなか圧巻!
さらに高速化を考え、「横糸を往復させる」という考え方は「横糸は一方通行で切る」というものに。写真は、右側から横糸を保持した棒が延びてきて、左側から延びてきた棒に糸を渡して切るというもの。往復式のものに比べ、圧倒的に静かで速い!!
写真は、高圧ジェット水を使って横糸を飛ばす織機!より静かで、熱も持たずにこれまた速い!!
さらには、高圧エアジェットを使って横糸を高速に飛ばす機械も!動きがわかりやすいよう、ノズルにエアが入ったところが赤く示される。とにかく、目も止まらぬ速さ!
極めつけは、縦糸を1本1本制御するジャガード装置と、エアジェット装置を組み合わせた織機。「オレに織れないものはないぜ!」って雰囲気ぷんぷんだ。上から降りてる白い棒が全て縦糸につながっていてコントロールするらしい。
その、カラフルな横糸。もはや、何かの兵器にしか見えてこない。
こーんなに大きな布を織る機械もある。
最後に、紡績工程をほぼ無人化させた「全自動紡績システム」の展示。
サーボモーターを使い、毎分25,000回転を誇る「高速精紡機」。糸の太さも、液晶パネルでカンタンに調整できるとか。ここまでくると、ほんと、機械の動きが速すぎて見えません。
とにかく、なめてた。圧倒的なボリューム、実際に動く機械にすっかり魅了され、もうすぐ15時!すみません。これからもっと、糸や繊維を大切にします。(つづく)