明星山・西壁 P2西稜末端壁「風ルート」

 2014年10月11日(土) 
 連休は台風19号の来襲により計画変更を余儀なくされ、明星山へ行くことに。今までに2度来たのだが、予報は悪くなくてもなぜか雨に祟られてきた。3度目の正直となるか。

 おのおの仕事の都合で前夜発が叶わず、05:30amに長野を出発。明星展望台に到着したのは07:30。好天が約束された週末。当たり前だけど、既に南壁は多くのクライマーで大賑わい。ざっと見ただけでも、左岩稜に3人、クイーンズウェイに4人、JADEに2人、そして当初計画していたフリースピリッツには、な、なんと8人!?人気なのね^^;。
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 急いで準備をしても取り付きに08:30。時間も遅く、先行パーティも多く、また先日のOちんのクィーンズウェイでの事故(上部岩壁で剥離した岩と一緒に墜落)もあったので、今日の南壁登攀は潔く諦める。

 代替案は、明星西壁はP2西稜末端壁にある「風ルート」(5.11a、7P フリー化1994)。トポには「春の息吹」(5.10d、7P)の不快な部分をクリアすべく、大凹角のスラブのど真ん中を貫いたとある。橋の近くに車を停め、ギアをまとめて08:15に歩き始める。
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 クマが多いとのことであったので、クマ鈴をうるさいほどに鳴らしながら歩くこと50分で、P2西稜末端壁大凹角の基部へ。前は濡れて真っ黒な印象であったが、今日はパリッと乾いて石灰岩らしい白さが輝いていた。
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 時間も時間なので4人でロープを結び、ワタシとsonoが交代でリードすることに。09:50に登攀開始。1P目(5.10d、25m)はワタシ。久しぶりの石灰岩はスタンスがシビアでシビれる。下半分は岩は硬く、薄かぶりのルートはムーヴもあり楽しい。が、ハンガーが「お手製」(切断したアングルに穴を開けてボルトで固定したもの)なうえサビサビで、あんまり衝撃加重をかけたくはない。

 上部に右トラバースしてからがムズい。斜めに傾いた前傾壁はホールドの向きが絶妙に悪く、核心ではスタンスを置きたいカンテ沿いがボロボロと崩壊しておっかない。これが硬い岩でしっかりした支点があったら、楽しいピッチだと思う。終了点は狭く、ほとんどハンギング状態。
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 2P目(5.10d、20m)はsono。出だしの垂壁~ハング越えが悪そう。途中のスラブもなかなか悪そうであったが、上手く弱点を突いて右巻きに登り切ってくれた。ミョウジシンパク(ミヤマビャクシン、以下シンパク)はショボく見えてもかなり強度があるみたいで、タイオフしてうまく支点にしていた。
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 ビレーを解除し、サードのmegを引き上げる。到着したところでワタシが2P目をフォロー。出だしからシビれたが、探せば弱点があって面白い。途中、「ぶぅん」という音が聞こえ、「お、鷹でもいるのかな?」と思った瞬間、今度は「びゅーん!」という音とともに、大きな岩が墜ちていった。落石は多いと聞いてはいたが、そのスピードが半端ない。当たればひとたまりもない。

 うまく弱点を突いて終了点へ。そこでmegのロープをアップし、今度はmegが4番手のお父さんをビレイ。1P目、2P目とも終了点は2人までと狭く、また支点強度も怪しいので、できるだけ支点にインパクトを与えないよう注意する。

 続く3P目(5.10b、20m)はワタシ。「春の息吹」は凹角沿いに直上するが、「風」はまず右方向に斜上。ピンの間隔は欲しいところにある感じで好感。が、ホールドが悪いというか、欠ける!丁寧に押しつけるように持っても剥がれるのでおっかない、汗。ムーヴそのものはなかなか面白いのに、岩が脆いのが珠に瑕。

 「やれやれ、リップまで来たぞ」と思ったら、次のピンが遠い!!石灰岩スラブのランナウト、まじか。行くしかないので自分の足を信じて突っ込む。(後で聞いたら、以前はリップの上に手製ハンガーがあったらしいが、下降時に確認したら折れて無くなっていた)。まぁ、花崗岩の5.9のスラブが登れれば大丈夫。

 12:35に3P目の終了点へ。大凹角のスラブが眼前に。う、美しい。美しい岩は難しいのだが。ほぼ中央を上がり、見ていてる最上部まで上がるようだ。
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 少し広いテラスではあるが、いつまた落石が飛んでくるかわからず、うかうかもしていられない。ビレイを解除してもらい、ロープアップ。セカンドのsonoがサードのmegを2P目終了点まで上げるまで、しばし休憩。天気も良く、風も穏やかで眠気を誘う。写真は3P目をフォローするsono。
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 写真が3P目の終了点。手製ハンガーはサビサビ。(後に、新たにリングボルト1本と捨て縄を追加)
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 セカンドのsono、サードのmegが上がって来たのは13:30。megのロープを束ねて渡し、4P目(Ⅲ、20m)はsono。ろくに支点はなく、ミョウジシンパクで支点を取りながら高度を上げていく。

 ロープはどんどん伸び、予定の20mを過ぎてもまだ登っていき、そのまま核心の5P目(5.11a)へ入ってしまった!?ロープは半分の25mを過ぎてしまったので、とにかく抜けて貰うしかない。
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 傾斜が変わるパートからすごく悪いみたいで、苦戦を強いられるsono。それでもなんとか1ピンずつ高度を上げ、14:30に終了点へ到着。よく頑張った!

 ワタシもフォローする。下部は支点を取れる場所が少なく、見た目以上に立っている。おまけに、かなり大きい岩まで不安定で、1手、1歩をすごく慎重に進む。核心部は薄カブリのスラブ(?)で、おまけにホールドスタンスがここでも脆い!フォローだからと、吹っ飛ぶのを覚悟で登っていく。終了点に到着したら、15:00に。
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 ここでお父さんから「残りのピッチは二人で行っておいで~」と声が。時間も残り少ないので、残りの2ピッチ、先を急ぐことに。写真は次のピッチ。グレードは下がるが、岩が剥がれた跡が目立つのが気になる。
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 5P目(本来の6P目、5.10b、15m)はワタシ。出だしいきなりのトラバースで、右手でピンチしたホールドが簡単にもげた。高いところが苦手な自分はかなり「いっぱいいっぱい」な上、脆いホールドはほんとメンタル的にもキツい。自分的には降りても良かったのだが、sonoに「また来るのイヤでしょ!!」と(今思えば)なんともわからん理論で説き伏せられ、「うん、イヤ!」と答えて登攀を継続する。

 トポには「出だしが悪い」と書いてあったが、個人的には始終悪かった気がする。写真はフォローするsono。
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 15:50にsonoが到着。sonoの中には「降りる」という選択肢はないみたいで、すぐに6P目(本来の7P目、5.8-25m)に入る。これまた、体くらいの大きさの岩が浮いている感じがして、悪そう。
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 ナチュプロはTCUしか上げてこなかったので岩の間で支点が取れないまま登っていく。途中、右壁にハーケンを見付けたみたいで一息。
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 なんとか登り詰めるが、今度は終了点が判然としないらしい。「春の息吹」と合流する場所に下降点があるはずなのだが、あるのはサビサビの手製ハーケンとRCCボルト2本だけ。時間がないので支点を構築してもらい、16:25にフォロー開始。とうとう、太陽が尾根に隠れてしまった。先を急がねば。
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 下降途中にランナーの回収があり、ヘッドランプは3P目終了点に置いてきたので焦りを隠せず、フォローだからとゴイゴイ登っていく。登りそのものは確かに5.8くらいかもしれないが、岩の不安定さを考慮したら、やっぱりⅤ+という表記のほうがしっくり来るなぁ。つくづく、アルパインルートにデシマルは似合わない気がする。

 そうこうしながらも。16:35に終了点に到着!いやぁ、本当にしびれたなぁ。捨て縄を残置ハーケンに通すが、薄めの手製ハーケンは穴が面取りしていなくて、シュリンゲが角に当たって嫌な感じ。しかも、かすかに動く。。。
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 念のためにTCUで下降支点のバックアップをセットし、sonoから下降開始。sonoの体重がかかる度に、ハーケンがかすかにしなる。衝撃が加わらないよう静かに下降し、なんとか本来の5P目の終了点まで降りることができた。
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 ワタシの番。TCUを回収し、静かに支点に体重を掛ける。じわじわと少しずつ下降し、5P目の終了点(ココも決して良くはいないのだが)に到着してセルフを取った瞬間、無事に感謝してしまうほどであった。次の下降はワタシ。4&5P目のヌンチャクを回収しながら下降し、3P目終了点まで。お父さんとmegは待ってくれている間に新たにリングボルトを1本打ち足してくれており、新しい捨て縄も掛けてくれていたので安心。

 そこからは1回で取り付きまで下降することができた。下部は空中懸垂になったので、いかにカブっていたかがわかった。
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 sonoが取り付きまで下降し、ロープを回収したのが17:30。夜の帳はほとんど閉じつつある。朝にはなかった激しい獣臭が漂い不気味。荷物をまとめ、ヘッドランプを点灯し、クマ鈴を激しく鳴らしながら17:45に下山開始。

 すぐに暗闇に包まれ、獣臭から逃れるように下山を急ぐ。下りは早く、18:15に無事に車に戻ることができた。みなさん、本当にお疲れ様でした。
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 【使用ギア(4人)】
 50mシングル1本、60mシングル1本、50mダブル2本(2人なら50mダブル2本でOK)、ヌンチャク類(含むアルパイン)30数本(2人なら10数本でOK)、TCU1セット(さらにキャメロットの#1~#2が1つずつ有ったら7P目は安心か)。捨て縄、ハンマー&ハーケン&ジャンピング。(捨て縄2本、リングボルト1本設置)

 【トポ】 『岩と雪』 1995年4月号 P63~65
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 全ての支点と岩が強固であったなら、人気ルートになったであろうなぁ。が、この不安定な要素があってこその「明星山」とすれば、素晴らしい1本なのは間違いないと思う。ルートを開拓してくださった広瀬さん、愛瀬さん、ありがとうございました。岩が不安定な部分が少なくなく、上に山を抱えているので自然落石のリスクもあるので、トライの際は十分にご注意ください。
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by kanechins | 2014-10-11 23:50 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)


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