穂高・屏風岩「雲稜ルート」 day2

 2014年 9月28日(日)
 夜半、1ルンゼの激しい崩落音で何度か目が覚め、そのたびに身を丸めてヒヤヒヤする。標高が2,000m前後あるT4でのビバークは、シュラフカバーとツェルトだけだと寒さが身にこたえる季節となってきた。

 朝5時に一旦目覚めたものの、まだ暗くて2度寝。次に気付いたときは外は明るく、寝坊!午前5時半過ぎに起床。夜露か結露か、ツェルトはびしょびしょに濡れていた。お湯を沸かし、軽く朝食を摂る。ツェルトなどを撤収しパッキングしたり、ギアを整えたりしていると、あっという間に時間が過ぎていく。

 一緒になったパーティは今夜も泊まりというのでトップを譲って頂く、多謝。さっさと出たいところであったが、06:40に登攀開始。遅すぎる。このロスは痛いな。1P目(V:5.7、45m)はワタシ。出だしから落ちられないスラブフェイス。凹角へ入ると思ったよりも傾斜が強い。ここは支点の取り方(延長の仕方)がポイントで、ロープの流れ注意しながら慎重にオールフリーで登る。登りの技術よりも、支点取りの技術が求められる感じ。
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 ハング下に終了点があったが越え、その上のテラスにあった終了点でピッチを切る。時間は07:00。ほぼロープ一杯。07:30にフォローも1P目終了点へ。
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 2P目(Ⅴ+:5.8、40m)はsono。テラスを3、4mほど上がって右にトラバースすると終了点があった。ピナクルもあるし、ここが正規の1P目終了点っぽい?けど、多分50mロープだと届かない?そこから先のルートが判然としないらしく、ロープが出たり戻ったりを何度か繰り返す。

 すぐに次のパーティが終了点まで上がってきた。sonoはカンテの向こう側に行ってしまっているので、状況がわからない。が、じきに意を決したようにロープが伸び始めた。頭の中で、上まで抜けるには時間が足りないことを、うすうす感じ始めていた。

 ワタシが2P目を登り始めた時間は08:30。最初の垂壁が少し手強い。焦っていたのでホールドを見逃したのかもしれないが、5.10はあると思う。後続も待っているし味わう時間的余裕もなくA0で越え、ピナクルを目指して右上する。下が見える垂壁を登っていくため高度感がすごく、難しくはないのだがビビる。ピナクルから扇テラスまではバンド状を左上。ここは歩きに近いのだが、支点がないのでしびれる。
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 2P目を登っている最中、またも1ルンゼから大きな崩落音が。写真の白い煙はガスや雲ではなく、落石により生じた岩の粉が舞っているところ。
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 08:38に扇テラスに到着。当初はフリー化された5.11cのピッチをトライするつもりでいたが、後続も来ていること、いきなり5mほどノーピンであることなどからさっさと諦め、アブミを取り出す。08:50に、3P目(A1)はワタシで登攀開始。
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 幸いなことにボルト間隔は近めで、リングが欠落しているボルトにかかっているシュリンゲも比較的新しめで、慎重に1ピンずつ高度を上げていく。途中、人工からフリーになる場所が2箇所ほどあったが、悪くはないのだが怖い。次のピッチのトラバースが眼前に迫ったところで、09:15にリング3本の終了点着。09:20にsonoがフォローを開始し、09:45に終了点へ。
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 フォローが登ってくる間、時間計算。4P目は悪そうなうえ、大きく右にトラバース。一旦取り付いたら、下降するためにはもう1~2ピッチは登らないといけなそうで2時間かかる可能性。12:00に下降開始、素直に降りられるかもわからずT4に13:30。荷物をまとめて5ピッチの懸垂下降+歩きで横尾15:30、上高地18:00かぁ。大丈夫な気もするけれど、明日はアサイチから抜けられない仕事があることも気になり、ここで撤退することに。

 そうと決まれば、後続パーティに意思を伝えてすぐに準備に入り、09:55に下降開始。
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 3P目を登る後続パーティ。折角譲って下さったのに、ごめんなさい。
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 同じく、3P目を登る後続パーティ。
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 扇岩からは一旦、2P目のピナクルに向けて一旦下降し、扇岩の縁まで来たらまっすぐ下ると2P目の取り付きピナクルへ。そこから、最初にピッチを切った部分まで短く懸垂しようかとも思ったが、そのまま下降し取り付き方面へ下っていくと、1P目の取り付きに降りることができた。岩沿いの踏み跡は、下降跡だったのね。
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 10:50にT4へ帰着。
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 ギアを分け、パッキング。11:15にT4尾根の下降開始。落石を誘発するような道を下るので要注意。狭い林の中を下降するので、ロープを丁寧に束ねて、少しずつ出しながらの下降を繰り返す。
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 途中、どなたか設置してくれたのかわからないが、ありがた~い下降リングが各ピッチに設置されていた。感謝。
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 暗い1ルンゼ方向への下降。時折、落石の音が聞こえるたびに身を丸めてしまう。
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 2P目取り付きにも、立派な下降支点が。本当にありがたいなぁ。
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 雲稜、T4尾根を継続して8ピッチの懸垂下降を繰り返し、12:35にT4尾根の取り付きへ。
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 いつまた1ルンゼが崩落するのかわからないので、手短に荷物をまとめて、12:45に下降開始。1ルンゼは危険なので、草付きの踏み跡を辿る。意外によく踏まれている。途中、小さな落石が発生して焦る。岩の粉で全身真っ白に染まりながら安全地帯まで進む。さようなら、屏風。また、いつの日か。
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 渡渉は靴を脱がずにいけた。13:35に登山道。荷物をパッキングしなおし、14:00出発。横尾で15分ほど休憩し、一気に上高地まで歩く。河童橋周辺は、紅葉に染まる穂高連峰を眺める人々で賑わっていた。
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 上高地BTには16:30に帰着。ちょうど沢渡行きのバスが待っており、17:10に沢渡着。平年よりも紅葉が早く始まっていたためか、意外にBT周辺は空いていて助かったなぁ。

 写真の赤線が、今回登ったルート。
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 1泊で雲稜を抜けるのであれば、下降するにしても「屏風の頭」に抜けるにしても、扇岩でビバークするほうが確実と思われた。またいつの日か、今度はちゃんとコンディションを整え、まだ2daysでトライしてみたい。
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by kanechins | 2014-09-28 14:50 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)


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