瑞牆山・十一面岩「ベルジュエール」。
2014年 09月 23日
今年の夏はあまり天気に恵まれず、ほとんど登れてない。が、やっと好天に恵まれた休日が!今日はsonoと、往年の課題となっている瑞牆山・十一面岩の「ベルジュエール」(5.11b、10P)へ。
午前06:00に植樹祭広場を出発。振り返れば、植樹祭広場は今年初。小川山は今年はまだ一度も行っていないな><。06:40、誰もいない末端壁着。
さらに歩みを進め、ベルジュエールの取り付きに07:05着。ハーネスを装着し、ギアを確認。水や食糧、前半は不用な大きなカムなどをザックに詰め、07:45に登攀開始。
1P目(5.11b)はワタシ。気温は低く、岩は結露でしっとりと冷たい。体も十分に温まっていない中でのこのピッチは未熟な自分にはやはり厳しく、凹角上部、ハングの乗っ越し、カンテへの乗っ越しでテンションが入る。それでも、フリーでトップアウトできたので良しとし、先を急ぐ。チョーク跡が酷くてびっくり。
2P目(5.10a)はsono。相変わらず悪そうだ。小ハング下を左にトラバースし、凹角を上がっていく。ランナーの長さか鍵。苦労している声は聞こえてくるが、姿は見えず。じきに解除コール。
3P目(5.7)はワタシ。前回の反省を活かし、下部は直線的にロープが流れるようノープロテクションで上がっていく。
後半、立木で2個所ほどランナーを取って、クラック直下へ。ロープの流れは悪くはないが、40m以上スラブ面を這わせてきているので、めっちゃ重い。手繰りながら、リングボルト1本だけのコワイスラブを登って、クラック下部の終了点でピッチを切る。コワイスラブをフォローするsono。
4P目(5.9)はsono。あれから湯川や不動沢で修行を積んだだけあって、クラックはより洗練された感じ。余裕で抜けた。ココはワタシは前回、フォローでも大変に苦労した記憶があるが、今回は足が見えるようになってきて、苦労しながらもノーテンで抜けることができた。
そして、10:30に白クマのコルへ。早くはないけれど、少し時間に余裕を感じて大休止。
今回は山頂まで抜けるつもりでいたが、白クマのコルに荷物を置いておいて回収できるのかわからず、フォローが持ち上げることに。そして後に、これが大変なことになる。
5P目(5.10a、大フレーク)はワタシ。
中間部の横に走るクラックにハーケンが打ってあった気がしたが、無くなっていた。今回はキャメロットの#4~6まで1つずつある。上手に使いわけながら上がるが、やっぱりオフィズスは修行が足りない。背に腹は変えられず、カムエイドを交えながらフレーク上部へ。途中からレイバック体勢に入ろうとするも、「圧倒的な高度感」と「自信の無さ」からオフィズス登りを続け、本当に上部だけレイバックに入る。テラスにあったボルト2本でピッチを切る。フォローするsono。
小ヤスリ岩を登るクライマー。
6P目(5.7、チムニー)はsono。前回はかなり苦労して登った感があったが、今回はスムーズに抜けてくれた。sonoにとっては、このチムニーサイズはぴったんこみたい。
そしてフォロー。ザックを背負ったらチムニーに入れず、自分の上のロープにクローブヒッチで荷物をセット。押し上げながらチムニーに入る。2、3mほどずり上がったところで消耗していることに気付くが、テンションを入れようにも荷物と自分の間のロープがたるんでいてテンションできず焦る!チムニーをクライムダウンしてテンションをかけレスト。
sonoから「荷物は自分の下にぶら下げたほうがいいんじゃない?」と言われ、60cmのシュリンゲで下げてみる。が、今度は自分の体を上げようとしても下から引っ張られているので登れない、汗。結局、余ったロープを下げて貰い、プーリー効果で荷物を上げてもらう。最初からこうすればよかった。
しかし、チムニーは自分には狭すぎてやはり苦戦。ヘルメットは引っかかるし、必死のパッチだ。それでもなんとか抜けることができた。
7P目(Ⅲ級、チムニー)はワタシ。ブッシュの中の踏み跡を右上に向かって進むと、チムニーが現れた。ここをバック&フットで乗り越える。ここから未知の領域だ。左上に向かってクラックが走っているので、ここからが8P目に違いない。
8P目(5.10b、ハンド)はsono。一段上がると、すぐに姿が見えなくなった。そこから先に、ルート取りできそうなクラックがいくつかあって、どれかわからないらしい。しばらくロープが出たり戻ったりした後、意を決したようにロープが伸びていく。苦戦している様子はロープを伝ってきた。しばらくしてロープが流れるようになり、解除コール。
フォローすると、一段上がったところに終了点があった。7P目はチムニーを登ったあと、この終了点まで来てピッチを切ったほうが、8P目のリードのロープの流れも良さそうだ。
9P目(Ⅲ級)はワタシ。巨岩がごろごろと積み上がった場所をノープロで歩いて行く。高度感はそれほどではないが、ふと足下を見ると、穴の中はどこまでも深くぽっかり穴が空いていて、落ちたらヤバそうだ。松の木が生えたテラスまで行く。腰がらみでsonoをビレー。
そして、花道である10P目(5.10a、ハンド~スラブ)はsono。出だしのクラックは少しかぶっており、体力が尽きた感がある我々にとってはなかなか手強かった。個人的には、8P目よりもニガテ。
sonoは根性でマントルを返し「やっと終わったか!?」と思っていたら、どうも最後のスラブがコワ悪いらしい。かなりの時間を逡巡した後、意を決したかのようにロープが伸び、解除コール。写真は、最後のスラブを登るワタシ。疲れたカラダに鞭打って、最後にノーピンのスラブかぁ。最後まで楽しませてくれる。
そして、15:30。8時間弱もかけて、憧れであった十一面岩の頂きへ。すごい。言葉に詰まる360度の風景。ずっと思い描いていた光景が眼前に広がっている。久しぶりに、感動した。写真は小ヤスリ岩。
植樹祭広場も、こんなに小さく見える。
不動沢も、上から眺めるとちっちゃく見える。
16:00、下降開始。リングボルト、RCC、アルミハンガーと、支点の歴史が組み合わさった下降点。
まず、10P目を懸垂下降。上に向かって、テラスを右側へ回りこみ、瑞牆本峰方面へ歩く。暗くなったら、特に滑落注意。広場の奥の藪の中に踏み後があるので、本峰とのコル(鞍部)を目指して降りていく。コル直前は右手から回り込むと、コルに到着。
右側に巨岩が連なっており、穴が3つ。一番右側の穴の木に白いマーキングがあるが、穴への下降が悪い。穴の上を過ぎると立ち木がある。それを使って左回りに下ると、右側の穴の中へカンタンに降りれる。そこから写真の三角形の穴をくぐる。
そこからルンゼを歩いて下る。途中、残置ロープで懸垂下降。ロープはかなり傷んでいるので、不安であれば自分のロープを出したほうが安心か。
2ピッチほどの懸垂下降で「白熊のコル」へ続く広場へ。コルへはすぐであったので、ザックはココに置いておけば、6P目のチムニーはラクである。下降を始めて1時間後の17:00に取り付き。かなり迷ったので時間が掛かったが、わかっていれば3~40分ほどで降りられると思う。
ギアを整理し下降開始。末端壁の辺りでヘッドランプを点灯。昔に比べて踏み後がしっかり付いており、安心して下ることができる。そして、18:20に植樹祭広場へ帰着。アプローチを含めると12時間を越えた。まだまだ実力が及ばないルートではあったが、でもこうやって少しずつ経験値を上げていくしかないな。それにしても、素晴らしいルートだなぁ、と改めて実感。もっと実力をつけて、またトライしたい!
念願の登頂を果たしたということで、久しぶりに鮮味館へ。定番の油淋鶏定食で、体重はすぐに戻ってしまったかな?
往年のクラシックルート、人気も頷ける素晴らしい1本であった。もっと修行を積んで、いつかちゃんとレッドポイントできたらいいな。