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by kanechin
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フィリピン旅行記 3.Iloilo~San Dionisio

 2012年9月16日(日)
 ニノイ・アキノ国際空港の中では新造の第3ターミナルから、セブパシフィック航空でイロイロ国際空港へ。国内線はカードがあればネットで簡単にチケットを購入できるので便利。飛行時間は1時間ちょっとで、運賃は空港税など含めてPHP1,700(3,400円)程度。一旦国内に入ってしまえば、交通費が手頃(フィリピン人には高いな^^;)なのは旅行者には助かる。

 が、まずは空港ターミナルに入るのに一苦労。厳重な検査があり、まずは入口で大渋滞。
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 チェックインするまでも一苦労。なぜチェックインにこんなに時間がかかるのかナゾではあるが、まぁ、コレがフィリピンタイムなんだろうな。
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 カウンターでは「これ何?」「Donation(寄贈)?」とか聞かれる。焦っても仕方ないのに、「後ろが詰まってるのよー!」って思ってしまうのは日本人なんだろうな。英語で車いすをなんて呼ぶか知らず、そのまんまwheelchairであることをこのとき知る。うっかりして、手荷物申請してなかった48の方に車いすの重さが課金されてしまう。普通は2人分の荷物を合計して超過しない限り課金されないのに、ここは日本ではなかった。「良いように取り計らってくれるだろう」だなんて考えの方が甘かったわ、反省^^;。

 なんとかかんとか、搭乗。セブパシは機体も新しく、デザインも南国っぽく好き。
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 フィリピン上空は気流が乱れることが多いらしいが、48が言った通り確かに操縦も上手で快適なフライト。
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 残念ながら、パナイ島のイロイロ空港に到着したら雨。空港からイロイロ市内はかなり距離があり、タクシーで2~30分くらいは走ったかな?マニラと違って、運転手さんは極めて普通。メーターも普通に回してくれ、遠回りどころか、近道(悪路だったけど)で行ってくれる、Salamat(ありがと)!
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 バスターミナルで、すぐにバスに乗車。フィリピンでは大手のCeresという黄色い車体のバスが目立つ。冷房がないので窓を開ける。すると、雨が入ってきて窓を閉める。車掌のお兄さんが親切に窓を開けてくれるが、水が入ってくるのだよ~。
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 2時間くらい乗るが、これでPHP111(222円)、1って何よ、1って。48はたまに学生に間違われて、運賃が安くなったりするらしい。
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 いわゆるノンストップバスなためか、到着は早いが運転も速いっ、荒いっ。路面がビッタビタに濡れているのに、クラクションを頻繁に鳴らしつつガンガン車を抜いていく。広いパナイ島、そんなに急いでどこへ行く?途中、大きなバス停に止まると売り子の人たちが乗り組んでくる。
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 およそ100km離れた街、Saraに到着。ちょうどSan Dionisioに行くジプニーがいたみたいで、屋根に車いすを積んで乗りこむ。48はやたらデカいサングラスをしていたが、すぐに納得。ジプニーが巻き上げる砂ぼこりが即座に両眼に入って涙ぼろぼろ、眼も当てられぬ><(ハードコンタクトは辛いのよ)。
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 霞む眼に映る風景は、逆にとても落ち着くものがあった。
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 San Dionisioに到着してからは、もう48の街。みんな声を掛けてくる。車いすも丁寧に運んでくれてSalamat!
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 歩いて行けない距離でもないらしいが、「車いすもあるので」バイクでホストファミリー宅へ。え、バイクで!?郷に入れば、郷に従えだわな。素晴らしい運転技術に拍手だが、これこそコケたら車いす共々ちーんだな。。。

 マニラから飛行機、タクシー、バス、ジプニー、バイクを乗り継ぎ、恐らく日本ーマニラ間くらいの時間をかけて、なんとか無事にホストファミリー宅に到着!すごいとこで活動してるんだなー、48。

 ちょうど週末ということもあり、ファミリーは玄関口でご近所さんと麻雀中。普通にイロンゴ語で言葉を交わしている48に感銘を受けつつ、事前に聞いて用意してきた缶入りクッキー(缶が重要らしい)を手渡す。「日本のクッキーは本当に喜ばれるよ!」とは聞いていたが、ほんとにおいしそうに食べてくださるので、はるばる運んできた甲斐がある。普通にランブータンが置いてあるのが印象的。
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 夕食まで時間があったので、海岸を案内してもらうことに。48の任地が決まった時に見せてもらった写真のトンガリ山(島の名前は"Pan de Azucar” 砂糖パン??)が、実際に目の前にある、この不思議さ。
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 椰子の実って、改めてみるとこんなに実をつけるものなんだ!
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 海は、正直言うときれいではない。生活雑排水が浄化されることなく流れ込んでいるのだから仕方がない。住んでいる人たちにとっては、これがSan Dionisioの海。よそ者が「きれいじゃないなー」なんて言う方がおこがましいな。
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 この辺りで生まれた人たちは、ほとんどの人がこのまま一生をここで終えるらしい。シティ(ここではメトロマニラではなく、イロイロを指す)に行くことすらままならない。病院や交番すらないこの地域では、なるようにしかならない生活を強いられるが、これがここでの現実。
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 ところで、日本の皆が気になるひとつに48の仕事があろう。そもそもは、NGO(非政府組織)のHandicap International(ベルギー、スイス、ルクセンブルグ、ドイツ、イギリス、カナダ、アメリカ、フランスからなる途上国での障がい者支援団体:http://www.handicap-international.org/)が以前からパナイ島で広域に活動しており、JOCAへは現地での直接的な作業療法士としてのニーズに応えるべく要請があったとのこと。ただし、実態は日本で言う社会福祉士(social worker)ような仕事ニーズの方が強いみたいで、48はなかなか苦労している様子。

 たまたま、San Dionisioに極近いConcepcionでの活動レポート(http://www.handicap-international.us/in-the-us/in-brief/?dechi_actus[id]=208&cHash=bb603deb80)があったので読んでみると、NGOの達成目標は①政府の障がい者登録者数を40人から1,000人以上にする(48の話だと登録されたところで病院もないし、減免されるはずの交通機関がそもそもないなどほとんどメリットがない)、②昨年の倍額となる障がい者支援予算5,000ドルを確保する(48の話だとフィリピン政府そのものの福祉予算は相当あるらしいが、中間搾取が多すぎてほとんど末端には来ない。おまけに、福祉スタッフの給与すら出ていない状況らしい)、③2012年から3年間の地域開発計画を策定する役割を担う、④障がい者の社会生活支援を主導する、とある。

 が、そもそも収入源すらままならない地方の中の地方。何か事を起こそうとした場合、それが相当に困難なことは想像に難くない。(帰国後の後日談で、とうとうNGOのパナイ島からの完全引き上げが正式に決まったらしい><。48の運命やいかに!?)

 そうこうしていると、子供たちも帰ってきた。元気なサム(7歳)とシャイなヘヴン(2歳)はたまらなくかわいいな~。って、48のブログで見ていたよりも随分育っていてびっくり!じきにお父さんも帰ってきて食卓を囲む(失礼かと思って写真なし)。
 たっぷりおいしいご飯を用意してくださり、小エビを炒めたものや干し魚を焼いたものなどを供してくださった。特に、ご飯がおいしい!食事を頂きながら、お母さん(学校の先生をしていて英語が達者)と色々な話ができて楽しかった。

 フィリピンの夜は早い。旅の疲れで免疫力を落とさないためにも、ここはしっかり寝てリカバリーしておかないと。しかし、ただでさえ寝付きが悪いのに、とにかく蒸し暑くて眠れない。ワタシの周りの山ヤはご存じだと思うが、本当に暑さに弱いのだ。かといって、外で寝て蚊に襲われ搭乗前にデング熱を発症させるわけにもいかない。

 そして、狙ったかのように停電、うけるわ^^;。扇風機も止まり、空気が異様に重く感じるじめ蒸し暑い夜が訪れた。iPodの睡眠導入アプリを使おうが何しようが、眠れないものは眠れない。午前4時頃になってやっと涼を感じるようになり「さ、ほんとに寝るぞ!」と思ったら、今度はコケコッ攻撃。笑うしかないな。

 2012年9月17日(月)
 そして、フィリピンの朝も当然早い。気付けば、みんな洗濯とか活動を始めている。水を分けてもらい体を洗って、やっと人心地ついた。朝食で印象的だったのが、ナスとタマゴの揚げ料理みたいなやつ。すっかり詳細は忘れたけれど、これはうまかった!48、帰国したらみんなにふるまってー。

 子供たちは学校へ。そして、車いすを転がしながら48の出勤に同行。噂のダンス大好きリッキーとも無事に会えた。機嫌が悪かったらどうしようと48は心配していたが、妙にゴキゲンで一安心。無事に車いすも届けられ、こっちも一安心。写真は48の職場。
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 車いすが1つ届いたところで、焼け石に水なのかもしれない。けれど、多くの人たちの気持ちが詰まったこの車いすが、たとえ1人の生活に少しでも役立てば幸いである。しかし、見ていれば竹細工や木工細工、バイクの修理技術などは地域にはある様子。工具と金属材料などがあれば、車いすの修理技術はすぐに習得できそう。

 福祉の課題はそこに留まらず、地域の収入源確保やインフラ整備、食糧生産の確保、栄養管理、教育などイロイロなものが関係してくるのは、何もSan Dionisioだけの話ではない。しかし、48のイロンゴ語力には正直びっくり。この1年で地域に溶け込み、課題もイロイロと捉えてはいる。実行するのに予算や同僚の協力など課題山積に思えたが、山で鍛えたバイタリティーで残りの1年、活躍されることを祈っている。(つづく)
by kanechins | 2012-09-23 23:15 | 「旅」の独り言