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by kanechin
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雨と「とびっくら」な岩旅 (瑞牆・不動沢、他)

 2011年 7月 9日(土)
 今年の目標に向け避けては通れないもの、それはワイドクラック。
 初日の選択権を行使し、ワイド修行に不動沢・前絵星岩へ。朝から蒸し暑く、沢の涼風が心地よい。
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 下部はびったびたに濡れていたので、Ⅲ級のアプローチルートへ。ギアを整え「行って来ます!」。
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 2ピッチ目は、オフィズスの「ジキル博士」へ。恐ろしいほどに、美しいラインだ。
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 1本目に練習でチューブチョックを入れてみるも、フレアしているとセットがすごく難しい。ただ結晶に引っかかっているだけって感じで、とても堕ちられないな。オフィズスの登り方を忘れ、ギアの選定にも四苦八苦。テンション交じりで終了点へ。ホントに去年、登れたのか?まぁ、シーズンはじめということで^^;。
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 天気も良いし、きもちいー。
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 3ピッチ目はチムニーにしようかとも思ったが、ちょっと下降しないといけないみたいで素直に登ることに。後にコレが正解となることに。
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 瑞牆本峰。夏、本番だ。
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 そして4ピッチ目。「好きなラインをいいよー」ってことで、左端にある顕著なオフィズスが圧倒的な「新緑荒野」を選択。師匠から「変態」の称号を頂けた、光栄だ。が、早くも出だしで後悔の香りが!?もはや降りられないので、がんばりまっす。
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 #4、#5が決まるが数は限られ、葛藤の連続。途中にリングボルトが1本。これを利用しないと、振られたときにクラックに吸い込まれてえげつないことになりそうだったので利用。トポにもピンの×印があるから、使用してOKなのかなー??
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 なんとかかんとかテンションを交えながら前進し、終了点へ。ロープスケール25mほどの、登り甲斐のある1本!と思っていたら、正規ルートは途中のバンドを右へトラバースするようだ!?素直に登ると「ダイレクト」というルートに。

 師匠はさすが、ノーテンで。リービテーションという、両手をクロスし岩にハメるという高度な技を使って、かっちょ良く登ってくる。次回、真似してみたい。ここで降りるという選択肢もあったが「折角なので上まで行こう」ということでトップ交代。
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 コレが魅惑的な割れ目に見えてくる日は、まだまだ遠いな^^;。
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 巨岩を乗っ越すと、そこが前絵星岩の岩頭だ。
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 岩頭!うん、やっぱ上まで登ってよかった。景色は広がるし、風も通りめっちゃ気持ちいい!「頂きまで登る」というのが、やっぱマルチの醍醐味だな~。
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 あまりに気持ちがよいのでゆったりランチなどして過ごす。

 しばらくして、ふっと振り返ると不穏な雲が!?積雲や積乱雲の底面にできやすい乳房雲に似ている。
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 直感的にヤバいと感じ、下降開始。15mほど下降し、新緑荒野の終了点へ。ロープの流れが非常に悪く回収に手間取ってしまうが、のちにこのタイムロスがよかったことに。「真夏の太陽」をTRで登ろうということになって支点を構築。先にワタシが下降。60mロープでほぼ一杯。
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 その直後だ。ポツポツと来た。「フッテキタヨー」「TRだからダイジョウブじゃないー?」。で、まさに下降を始めた瞬間に、ザーっと雨が来た!「チョット待ッター、テッシューーーっ!!!」。見る間に雨粒が大きくなり、雷鳴まで聞こえてきた。支点を回収してもらい、下降を始めた頃には岩は滝と化していた。
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 いやー、やばかった。これが岩頭だったらものすごくロープの流れが悪かったので、濡れたロープは回収不能になっていたと思う。回収すると、ロープは完全に水を吸っている。松の下で雨宿り。強烈な雨なのですぐに止むかと思ったが、20分ほど待っても止む気配がない。いや、むしろひどくなってる!?
 
 下降路を覚えていたので、バケツをひっくり返したような雷雨の中を歩き始める。なんだかおかしくって、笑いすら出てきた^^。基部に着くとめっさ暗い。どうにか雨の激しさを表現したいとフラッシュを使ってみたら、こんな感じ。
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 なんとかかんとか荷物回収。防水対策なんてまーったく考えてなかったので、トポもおにぎりも財布もパンツも全てがびっちゃびちゃ。諦めがつくとかえって楽しい、ってやっぱ変態だ。増水した川もなんとか渡渉するも、駐車場にはまだ多くの車が。この雨なので、回収に苦労しているのだろうな。

 とにかく、寒い!!暖房を効かせながら「増富の湯」へ駆け込み、やっと暖を得た。
 トポのページを一枚一枚はがして乾かしつつ、今夜は夏なのに「豆乳鍋」!このくそ暑い夏に、鍋がこんなにありがたいとは^^。
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 先ほどまでの雨はウソみたいに上がり、半月が山々を照らし出してくれた。
 ニュースで梅雨明けを知る。明日は、きっとダイジョウブだろう。

 2011年 7月10日(日)
 午前5:30起床、晴れ。だけど空気は湿っぽく、ギア類もまだ半乾き。
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 慌てても岩は濡れているだろうし、のんびり朝食。山梨らしく「豆乳ほうとう」に。
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 のーんびり寛げるのは久しぶり。そうは言っても、10時には撤収して小川山へ移動開始。こんな天気なのに車が多いな~。どう見ても岩が黒々していたので、ギアを広げて乾かしながらコーヒーを淹れる。標高があるので、木陰は涼しく快適だ。

 さぁ、ぼちぼち。と荷をまとめ始めると、ポツっ、ポツっと雨粒が!!西の空には、またも不穏な雲が。潔く諦めて、臨機応変に雨でも登れる湯川を目指す!

 アスファルトが切れて鼻歌まじりで林道へ。すると、突如、なぜか林道に川が出現!?
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 偵察してみると、奥で水路からあふれた水が林道をえぐっているみたい。写真で見た以上にえぐれているので、水が引いてもしばらくは普通車は厳しいと思われる。当分は、林道分岐に駐車し歩くのが無難か。

 レーダーを見ると北は晴れている。ということで、思い切ってSの岩場へ再移動。てくてく登っていくと降りてくるクライマーらが。「濡れてました?」「ダイジョウブだと思います」、ということで基部へ。岩場にはソロで登っているオジサマが。まるで仙人のようなその方は「雨がくるぞー」と。

 いずれは夕立が来るだろうな、と早速に岩を物色。ハーネスを装着し、ヌンチャクをホルダーにかけたところで、「ん?あ、雨ダヨ!?」。パートナーは登る気満々で、少々の雨なら登る勢い!が、無常にも雨は大粒となり、雷様もすぐとなりの尾根にどかーんと落ち始める。見る間に岩は黒くなり、おとなしく岩陰で雷雨をやり過ごす。最後にゃ雹まで降ってきた、これはもう登るなということだな^^;。
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 まぁでも、登り始めてからこの雷雨に当たっていたらもっと悲惨なことになっていたので、よしとしよう!そういう意味では、雨に追いつかれるのが必然とするなら、今回は見事にぎりぎり最悪の事態を回避できたとも言えよう。

 先ほどまでの強烈な蒸し暑さがウソのように涼しくなった。雷雲と雷雲の間を縫うように下山開始。梅雨明けを告げる大雷雨なら、仕方ないなー。カエル君たちは、喜び勇んで道路を闊歩。昔に見た、懐かしいような夏の風景、雨の香り。
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 なんだろ。普通なら嫌になっちゃうはずなのに、なんだか楽しい。
 自然の中で遊ぶって、こういうことなんだな、きっと^^。

 さぁ、これでスカッと去ってくれよ梅雨前線!いよいよ、夏のはじまりだ!

 PS.タイトルの「とびっくら」は、信州弁で「かけっこ」のこと。
by kanechins | 2011-07-10 21:25 | 「岩」の独り言