前穂高岳・北尾根 day2

 7月25日(日) 涸沢-5・6のコル-前穂高岳-岳沢-上高地
 
 午前3時15分、起床。周りのテントに迷惑にならないよう、静かに準備開始。空が白みかかった中でバーナーの音を聞くのは久しぶりだなー。ちゃっちゃと朝食を済ませ、テントを撤収。

 午前4時20分、ヘッドランプをヘルメットに装着し、行動開始。トレランシューズに12本爪を付けたのは初めてであるが、意外に快適であった。雪原を歩き、斜面に差し掛かったところで美しい朝焼けが。天気は大丈夫??
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 小屋泊の5人組み(A隊)が先を歩いていた。やられたー。5・6のコルに伸びる雪渓に入ると、そのさらに前に4人パーティー(B隊、写真左上の小さな点)が小さく見えた。こりゃ、渋滞は必至か!?
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 コルまで残り1/3くらいのところから、急に傾斜が増す。先週、突っ込まなくて本当にヨカッタ^^;。上部のミックス帯ではブルーアイスの部分があり、ちょっと緊張。
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 振り返ると、先週に登った北穂・東稜が。稜線へ続くルンゼには、やはりまだ雪が残っている。
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 コルに到着すると、先行パーティがアンザイレンの準備をしていた。「抜かせる!」、そう思った矢先、早々にピッケルとアイゼンをしまい、速やかにギアをハーネスに装着。何も言わずともSも状況を悟ってくれ、速やかに出発。A隊のリーダーらしき人の焦りが伝わってきた^^;。

 5峰は歩き。ルートは明瞭。後ろから迫ってくるパーティに追われるように登る。こっちはテント泊装備なので、結構大変。頂きまで上がると、どどーんと4峰が頭を覗かせた。
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 写真は、4・5のコル。A隊は5人でアンザイレン(ロープで連結した同時登攀)していたので遅くなるだろう、と思っていたらこれまた速く、始終、追われる形に^^;。風がすんごく強く、ザックが風を受けて体を持っていかれそうにもなる。
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 北尾根は3峰が核心とされるが、悪さ(難しさ)で言えば4峰の方が上とされる。実際、事故も4峰の方が多いらしい。記録だと「まず、涸沢側から巻く」とあるが、なんだかよくわからなかったので、忠実に尾根を登っていく。

 すぐに傾斜は増し、垂壁に近くなる。「ん?こんなに悪いのか?」と思って、涸沢側のカンテを巻いたら、すぐ横に、さらに先を行っていたB隊が至近の距離!直上はかなり悪そうなので、B隊に続いて涸沢側から巻く。じきに傾斜が落ち、巨岩が見えてきた。
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 これを巻くように、今度は奥又側へ。斜上バンドを上がるが、行き過ぎないよう注意。ここでB隊を追い越す。

 急なルンゼを再び尾根めがけて詰めていく。A隊は完全にルートを把握しているのか、迷いなく接近してくる。こっちは偵察を含め、登っては降りを何度か繰り返す。そして、ほぼ頂きに近いところで涸沢側に入る。ん?悪いぞ!?岩も不安定で、足元がすっぱり切れたところを登るはずがない!?

 「ちょっと戻る」と伝えて少しクライムダウンしたら、A隊は再び奥又側へ迷い無く進む!ここで再び、A隊に抜かれてしまった。。。焦っても仕方がないので、周りの風景を楽しみながら4峰を越える。すると、核心の3峰が眼前にそそり立つ!お~、すでに2パーティほど岩に取り付いているではないか!どんだけ早く出たのだろう^^;。
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 連休は、ココで3時間待ちだったらしい。ここで初めて、長めの休憩。前に5人いるので待つナァ、と思ったら、な、なんとトップが行ったあと、残りの4人は同時登攀でフォロー!!す、すごい!時間が短縮できるので、ありがたや、ありがたや。写真は、1P目の取り付きから3・4のコルを振り返ったところ。
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 それほど待たずして、我々の順番が。リング2本の支点からスタート。が、すぐにA隊に追いついてしまった^^;。1P目はいくつかルートがあるが、比較的難しいとされる中央ルートへ。が、4峰に比べたら岩は固く安定し、0.3~0.75番のキャメロットも持参していたので支点も取れ、実に楽しいピッチであった。尾根に上がったところでA隊がピッチを切ったので、手前の急斜面でカムで支点を作ってSのビレーに入る。

 Sにツルベで、そのままトップに入ってもらい2P目へ。そして、大クラック直下でピッチを切る。3P目は再びワタシがトップに。
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 傾斜は緩いが、岩のひとつひとつが大きくって、マントルの繰り返しで重荷にはちょっと辛かった^^;。窓状の大きなチョックストーンがあるところでA隊に追いついてしまい、また少し下でカムで支点を作ってSにフォローしてもらう。次のピッチはSがリード。このピッチはクライミングらしいピッチであった。よくがんばりました^^。

 先が読めないので、その先もスタッカートで登攀。Sをビレーするワタシ。
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 3峰直下はSがリード。振り返ると、遠く槍ヶ岳まで見渡せる。
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 3峰直下も、よくわからない。カムをセットしながらトラバースに入るSが、じきに「何か違うー」と引き返してきた。途中で支点を作ってもらい、とりあえずフォローしトップへ。
 が、直上もトラバースも悪そう。なんとか行けるかな、という弱点をついて、パワーで越えた。結論から言えば、最後は直上が正解っぽい^^;。ここまで来ると、奥穂高岳から続く吊尾根がすぐそこに望める。
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 2・1のコルへは、練習を兼ねて懸垂下降。荷が重かったので、ちょっとクライムダウンする気になれなかったというのも、正直な気持ちではあった^^;。そして、ちょろっと登れば、もう高いところがない。そう、前穂高岳山頂(3,090m)だ!A隊に写真を撮ってもらう。お疲れ様でした!
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 登攀具を解いて、大休止。実は北尾根は2回目。10年以上前に、当時所属していた会の大先輩に連れて来てもらったことがある。そのときはロープに引かれてついていくだけであったので正直「楽勝」と思ったし、そんなもんでルートの記憶は皆無に等しかった。。。

 が、いざ、こうやって自分達の力で登ってみると、結構大変であり、そして充実した、実に登り甲斐のある1本となった。ともに道を分かち合ったSには、ココロから感謝。写真もね^^;。

 1時間近く休憩。が、B隊が登ってこない!?かなり心配していたが、じきに尾根にヘルメットが見えて一安心^^。写真は、2峰を進むB隊。
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 さぁ、いよいよ、本当の核心である重太郎新道の下り!ここから一気に1,600mの下り!?重荷がヒザにかかり、ほんとに大変な下りの始まり。。。
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 下る、下る、とにかく下る。途中、軽く3度ほど休憩。思ったよりも疲れているみたいで、ペースが上がらない。やばい、ちょっと時間が押している。その焦りも加わってか、最後の休憩場所にカメラを忘れてしまう。気がついたのは、岳沢小屋に着いてから、涙。

 慌てて、あまり考えずに走って重太郎新道を登り帰す。5分ほどの間、途中で追い抜いた3パーティに「カメラ、落ちてませんでしたか?」と聞くが、「気がつかなかったなぁ~」と。すると、遠くで雷鳴が聞こえ始めた。時計を見ると、15時。これは、諦めるしかない。。。

 再び、走って小屋へ。かなりショックではあったが、落ち込んでいる場合ではない。飛ばして飛ばして、1時間ちょっとで上高地へ。終バスは16時だと思っていたが、17時であった。よかった、間にあった。

 終わりがちょっと切なかったが、それでもずっと自力で再登したいと気にかけていた北尾根に登ることができた。が、これはまだワタシには、そしてSにも、それぞれの通過点である。Sにはかなり無茶を言ってきたけれど、よくがんばりました。ほんと、ありがとー。

 大事なカメラを失くすなんて、あー、ばかばかばか。ほんと、焦るとロクなことがない。。。
 けれど、やっぱ、山はいいなー。
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by kanechins | 2010-07-25 23:02 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(0)


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