白馬岳・主稜 (後編)

 (前編からのつづき)

 傾斜は容赦なく増し、核心の近づきを予兆させるかのようであった。
b0050067_22245341.jpg

 左側の突起が2峰で、さらにその奥(右側)が白馬岳山頂。そして、いよいよココから主稜の核心がはじまる。
b0050067_2227452.jpg

 核心に備えて、風をしのげる場所で小休止!
b0050067_2229248.jpg

 反対側から、姐さん撮影^^。
b0050067_043074.jpg

 写真が2峰の取り付き。岩と雪面の間はシュルンドとなって口を開いているため、左端まで回り込む。傾斜が増すうえ、岩が露出しはじめピッケルのシャフトが入らないため、不安があればロープを出したい場所だ。我々はロープを出さずに慎重に通過。
b0050067_22332964.jpg

 2峰をほとんど登りきった場所から振り返る。あまりに急で、後続のメンバーが見えない。こうやってみると、結構、大雪渓側(右側)にも雪庇が発達している。視界不良時は要注意だ。
b0050067_2235479.jpg

 雪面にバケツを掘り、アンカー(メインとなる支点)をスノーバーで確保する。
b0050067_22381357.jpg

 そしていよいよ、山頂へ向けてアタック開始!写真は、ロープを結び、折角持ってきたからとダブルアックス(両手にピッケルを持つ)を持つワタシ。
b0050067_22365740.jpg

 写真はトップを行くワタシ。
b0050067_2314431.jpg

 見上げると、張り出した雪庇が覆いかぶさる。崩落してこないことを、ただ祈る。
b0050067_22393341.jpg

 30mくらい登ったところで、下から声が。「おーい、ちょっとロープが足りなそうだ~」って。おいおい、マジですか??スノーバーで頼りないセルフを取る。そして、下では別の50mロープを接続している様子。
b0050067_22413779.jpg

 ココから雪庇を見上げる。
b0050067_23211637.jpg
 アタック開始直後は「こりゃ、楽勝か?」と思ったが、傾斜は徐々に増し、シャフトは垂直に刺せないくらいでビビる。ロープ接続が完了し、再び登り始める。

 そして雪庇直下まで登り、トラバースに入る。が!せり出した雪の塊に体が押し出され、ほぼ垂直の壁状態、汗。足下には数百mの空間が広がり、いつ抜けるともわからぬスタンス、20mほどのランナウトに怯えながらも、落ち着いて一歩一歩進む。
 そして急な雪壁を乗り越えると、急に眼前に、まばゆい光が溢れる巨大な空間が広がった!白馬岳山頂(2,932m)だ!!やった~。振り返って、2峰を見下ろす。
b0050067_22493932.jpg

 下から見上げたときは「大した長さはないかなぁ」と思ったが、実際は取り付きの岩から60m以上あったようだ、汗。「50mロープでOK」というのは、ガセネタだったみたいだ、汗。後で聞くと、2ピッチに切るのがフツーのようだ。

 雪庇を避け5mほど内側へ進み、ピッケル2本とスノーバー1本でアンカーを設置し、メインロープを固定。合図をして、セカンド以降が登ってくる。写真で見ると傾斜はそれほどでもないように見えるが、セカンドがいる右側は雪庇本体で、直下は絶壁となっている。
b0050067_22521027.jpg

 写真は、主稜の全景。
b0050067_2313685.jpg

 セカンドのsasaki氏がピックを雪面にきめ、一気によじ登る。お疲れ様でした!!
b0050067_22525459.jpg

 サードの姐さんも登りきり、そしてラストのsato氏をスタンディングアックスビレイで確保。そして、4名みな、無事に白馬主稜の登攀に大成功!会では以前、ことごとく敗退してきたルートのようで、好コンディションに恵まれた我々は、ほんとに幸運だったと思う!
b0050067_22553083.jpg
 ちなみに、トップアウトは11:55、ラストアウトは12:20くらい。猿倉からの登り標高差は、実に1,700m超!8時間に及ぶ、実に登り応えのある登攀となった。

 しばし休憩を取り、ギアを片付けてから小屋へ向かって下りはじめる。そこはもう、天国のよう^^。
b0050067_2302757.jpg

 そして、登頂を祝して乾杯!!そりゃ、旨くない訳がないんな~。
 登っている途中に困難にさしかかったとき、「山頂でビールを飲むぞ!」と自分を励ましていた、汗。いやいや、困ったときは仕事でも遊びでも、まずは身近なつまらない目標を立てると良いらしい^^;。
b0050067_2323916.jpg

 前にも書いたが、20年に渡る「長い夢」であった白馬主稜。目標どおり(1)好天のもと、(2)自分たちの力で、(3)猿倉からの日帰りで、(4)オールトップで行かせていただけた!ということで、自分にも乾杯!してもいいでしょ^^;。
b0050067_236239.jpg

 かなりゆっくり休憩を取る。大雪渓からは、スキーやボードを担いだ人たちも多く上がってくる。左側が杓子岳、真ん中が白馬鑓ヶ岳。かっちょいー。
b0050067_2374560.jpg

 展望、天候も良く1時間以上休憩し、13:50に下降開始。雪渓上部は適度に締まり、快適に下れる。
b0050067_239364.jpg

 杓子岳よ、また来る日まで。
b0050067_2395936.jpg

 後半は雪がぐさぐさに腐り、ヒザまでの深いラッセル!?疲れた体には堪えるが、ええい、あとは下るまでよ!そして白馬尻を15:10に通過。登ってきた主稜を振り返る。素晴らしき1日を、ありがとう!
b0050067_231205.jpg

 そして、猿倉に16:00着!行動時間12時間の大冒険となったが、好天、トレース、適度な積雪量と足並み揃ったメンバーにより、予想よりもかなり早く下山でき、明るいうちに自宅に帰ることができた。

 20年来の夢であった白馬岳・主稜。楽しく無事に登ることができて、あらゆるものに大感謝である。
 一緒に歩んだメンバー、心配してくれたあなた、応援してくださった皆様。ありがとうございました!

 参考装備 (4人パーティ)
 ツェルト(簡易テント) 4、スコップ 2、ゾンデ 2、雪崩ビーコン4、バーナー&鍋 2セット、
 スノーバー 3本、9mm×50mロープ 2本、ギアは適宜 など
[PR]
by kanechins | 2009-05-02 22:00 | 「アルパイン」の独り言 | Comments(3)
Commented by わんちゃん at 2009-05-05 20:58 x
白馬主稜、よかったですね。そんな夢があって、実現されて、素晴らしいことです!
Commented by kanechins at 2009-05-08 21:43
★わんちゃん
 コメント、ありがとうございます!はい、好コンディションのもと、念願叶ってよかったです!感謝、感謝です~。いよいよ、滑りや雪稜の季節も終わってしまいますね。。。少し寂しいです。。。
Commented by kanechins at 2009-05-18 03:38
追加情報
2峰から山頂までの登りは写真のように直登して雪庇をトラバースするよりも、最初から雪庇の切れ目を目指して右上する方がラク&安全なようです^^;


【 Facebook、Twitter、mixi からご訪問の方】  最新の投稿を見るには、タイトル「旅鳥の独り言」をクリックしてみてください。


by kanechin

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

最新のコメント

 Take.Gさん、コメ..
by kanechins at 16:01
久々に遊びにきたら、読み..
by 02 Take.G at 15:41
 eco nekoさん、..
by kanechins at 11:27
 miezoさん、コメン..
by kanechins at 11:16

カテゴリ

全体
「日常」の独り言
「山」の独り言
「岩」の独り言
「アルパイン」の独り言
「滑り」の独り言
「人工壁」の独り言
「沢」の独り事
「料理」の独り言
「旅」の独り言
「走り」の独り言
「氷」の独り言
「潜り」の独り言
「映画」の独り言
「本」の独り言
「音楽」の独り言
「釣り」の独り言
「農業」の独り言
未分類

ブログパーツ

登山について

クライミング、沢に限らず「登山」は体力、技術、経験、ルート状況、気象条件、装備などによりリスクを伴う活動です。本ブログに起因するいかなる事象についても責任は負いかねます。皆様の安全登山をお祈りします!
 ★ 記事下部にある「comments」をクリックするとコメントできます!

以前の記事

2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
more...

記事ランキング

フォロー中のブログ

エコ猫な人々
iron日記
おなかがすいたら登れない(旧)
デブまっしぐら!ツッキー編

ファン

ブログジャンル

アウトドア
登山

画像一覧